現代で求められるリーダーシップとは?~伝統的なリーダー像からの脱却~
以前、リーダーシップの関連で技術的課題(Technical Challenges)と適応課題(Adaptive Challenges)について紹介しました。
単に知識やスキルを身に付けるのではなく、自らの価値観・物の見方自体を問い直して対処する必要がある適応課題。これにどう対処していけば良いのか?
…ということで、今回はそれに当たり求められるリーダーシップとはどのようなものか、伝統的なリーダー像と対比しながら綴ってみます。
1. 伝統的なリーダー像
これまでのいわゆる「理想的なリーダー」としては、以下のような要素が主に挙げられていたと思います。
・リーダーは、正しい「答え」を持っている。
・リーダーは、方向性を決定し、舵取りをしていく。
・リーダーは、変化・改革を強力に推進する。
・リーダーは、カリスマ的存在である。
対応している課題が技術的課題であった時代は、これで機能していたことも多々あったと思います。
しかし、適応課題が増えてきた現代においては、こうした「伝統的なリーダー像」が必ずしも機能しない場面が多々出てきました。
また、皆さんの周りでも、「あの人リーダーとしては頼りないんだけど、あの人のいる組織ってなぜか上手く回っている…!」という事例はないでしょうか。
私は、そこに現代で求められるリーダーシップの鍵が潜んでいると思っています。
2. 現代のリーダーシップ① ~リーダーも弱みを見せ、学び続ける~
そもそも適応課題においては、正しい「答え」がある訳ではありません。
リーダーが正しい「答え」を持っている、というのは過度な期待を抱いていないでしょうか。
むしろ、そこで必要なのは、様々な選択肢のメリデメを整理しつつ、関係者と粘り強く「納得解」を形成していくことです。
リーダーも完璧ではなく、間違えることがある。
リーダーも、強いだけではなく、弱みを見せても良い。
自己開示をしながらも、失敗を通じて学ぶ柔軟さこそが重要になってくると思います。
3. 現代のリーダーシップ② ~ファシリテーターとして当事者意識を促進~
リーダーが自分のビジョンを示し、方向性を決めて舵取りをしていく。
もちろんそれは改革を進める上で重要ですが、それをトップダウンで推進すればするほど、周りの人は「自分事」ではなく「他人事」として捉えるようになります。
これからのリーダーシップに重要なのは、「リーダーからファシリテーターへ」です。
自分で思っている方向性を全て自分からテーブルの上に出すのではなく、周りの人がテーブルに出すように仕向ける。
組織としての最終的な意思決定内容は同じでも、そのプロセスは全く異なります。
これによって、関係者の「当事者意識」が醸成され、ビジョンが「Aさんのビジョン」ではなく、「組織としてのビジョン」に深化します。
そうすると、浸透の度合いが全然変わってきますね。
4. 現代のリーダーシップ③ ~変化の「熱」をコントロール~
変革を起こす時によく使われるレトリックはこうです。
「現状はこんなにダメだ!」
「だから抜本的に取り組みを見直す必要がある!」
しかし、あなたが必死に取り組んでいることについて、そのように言われたらどう感じるでしょうか。
おそらく、「これまで自分がやってきたことが否定されている」と捉えるのではないかと思います。
現状というのは、居心地の良いもの。
それを変えるのは、「居心地の悪い」ものなのです。
変革は必ず、不協和音をもたらします。
もちろん現状維持がいい訳ではありません。が、問題になるのはその不協和音の程度です。
これが一定レベルを超えると、耳を塞ぐ方々が必ず発生します。
なので、変化の「熱」を、熱すぎず、冷たすぎずのバランスでコントロールする必要があるのです。
私はこれを、「居心地の悪い一歩」と呼んでいます。
まずは一歩から。いきなり10歩とか100歩進めと言われても、難しいですからね…。
5. 現代のリーダーシップ④ ~リーダーシップを特定の人ではなく、組織文化に埋め込む~
これが一番難しいかもしれません。
よくある改革は、カリスマ的な特定の人に依存しています。
「この改革ってBさんのものだよね」と、誰もが思い浮かべるパターンです。
一見美談のように語られますが、
私は、このようなリーダーは「二流」だと思っています。
特定の人に依存すればするほど、その人が去った時に「焼け野原」のようになり、改革が途切れたり、180度逆の方向に振り子が戻ったりしていないでしょうか。
自分でしか出来ない付加価値と、自分がいなくても続く持続可能性のバランスを図っていく。
リーダーシップを組織文化に埋め込むことで、持続可能性を確保していくことが重要で、それが出来るリーダーこそが「一流」と言えるのではないでしょうか。
6. おわりに
ここまでをまとめたのがこちらの図になります。
実は、タイトルを敢えて伝統的なところは「リーダー」、現代に求められるのは「リーダーシップ」と書き分けました。
これは、現代の適応課題はもはや特定の「リーダー」だけで解決できるものではなくなっているからです。
「分散型リーダーシップ」や「サーバントリーダーシップ」「フォロワーシップ」などと言われるように、リーダーシップを特定の個人に紐づくものではなく、人間間の相互作用として捉える動きも踏まえたものになります。
今回の内容について、いかがだったでしょうか?
単純に対比出来ない部分もあるとは思いますが、少しでも枠組みとして御参考になったようであれば幸いです!
リーダーシップ関係についても、折に触れて紹介していきますので、是非本noteやマガジンをフォローいただけますと幸いですm(_ _)m
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