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[旅行記] アルト・ドウロ ワインの生まれる場所へ

ポートワインのメーカーを見学した次の日は、ワイナリーへのツアーに参加。

ポートワイン製造の説明にもあったように、ポートワインはドウロ川で運ばれてきたワインを河口にあるポルトの街(ガイア地区)で熟成させて、そこから世界へ運ばれていった。つまり、ワインはどこからやってくるか、というとドウロ川の上流。

それなら、やっぱり川の上流の方がどうなっているのか、気になるというもの。

アルト・ドウロのワイン生産地域へは、アクセスがあまり良くなくて公共交通機関だとちょっと大変。駅まで行くのはなんとかなるけれど、そこから先ワイナリーへ向かうのに足が無いのと、どこのワイナリーが見学など受け入れてくれるのか探すのもなかなか骨が折れる。

ならいっそ、ツアーに参加してしまったほうが良いのでは。
普段はあまりツアー的なものには参加しないタチなのだけど、いくつか見繕って良さそうなツアーに参加。

朝8:00にサン・ベント駅近くからバスに乗り込んでスタート。30人乗りくらいの大きさのバスが、ちょうど満員というくらいの参加者。ほとんどが仲間や夫婦での参加のようで、ソロでの参加は自分ともうひとりくらい。なので、ちょっと肩身が狭い感じだけど、まあなんとなく予想していた通りなのでそこまで気にしない。

最初のワイナリーまで2時間ほど(途中休憩1回あり)で、その間はガイドさんがいろいろな話をしてくれる。どれもとても興味深くて楽しい。

例えばポルトガルという国の由来。
ポルトゥス(港)・ガレ(温暖な)でポルトガレ → ポルトガル

例えば気候の話。
大西洋から流れ込んでくる湿度の高い風はアマランテ(Amarante)付近の山脈で雲を作るけど、そこから東のアルト・ドウロの方へいったん下る形になる。そうすると東側は一気に乾燥して気温も高めになる。まるで日本海側と太平洋側みたいな関係。そのおかげで、アルト・ドウロのワイン生産地域は夏暑く、冬寒い。

例えばエネルギー事情の話。
山あいの土地では風が強く、また雨もかなり多い地域なので、自然エネルギーの利用が盛ん。風力発電が60%、水力発電が40%で、これらの自然エネルギー利用の発電だけで地域一帯の電力を100%賄っているとか。事実なら凄い。実際、後で調べてみたら、似たようなエネルギー事情の記事も見つかったりしたので、ポルトガルの再生エネルギー使用はかなりのものらしい。

そうこうしているうちに、確かにアルト・ドウロに近づくにつれて霧は晴れて、2000m級の山々がくっきりと見えるように。いろいろなワイナリーが姿を表す中で、最初のワイナリーに到着。

ワインの製造工程やブドウの品種の話を聞きつつ、ここではワイン畑の間を実際に歩く。土壌は石が多いみたい。ブドウの樹はとても古く、100年を超えるものもあるとか。V.V.が実際に見れるとは思わなかったので、ちょっと感動。

ここではさらっと見学&試飲。白、赤、そして7年熟成のポートワイン。白が、レモンとリンゴのフレッシュ感に、花のような香りがあって美味しい。

2つ目のワイナリーの前に、ドウロ川のクルーズ。雨だったら微妙かな、と思っていたけれど、天気が良くてラッキー。ドウロ川から眺める斜面は本当のどこもブドウ畑だらけ。この地域はブドウしか作っていないのだろうか。

昔からこんな感じで産業として成り立って来たのかと思うと、なんだか不思議な土地。日本みたいに、米があって主食にもなるけど酒も醸す、とかならまだ分かるのだけど、ブドウだと主食にはならないだろうし。それとも、昔はブドウ畑ばかりではなく麦畑もあったとか? でもこれだけの斜面だとそれも難しそうだけど。他に使い道がない急斜面だからこそ、ブドウくらいしか育てられなかったようにも思える。

1時間ほどのクルーズを終えて、次のワイナリーでワイン試飲と共にやや遅めのランチ。

なんだか思ったよりも豪華なセットだな、と思ったら出てくる料理もかなりしっかりしたもので、地元産のパンやチーズに、スープ、メイン、デザートに合わせてポートワイン、さらにお好みで締めのエスプレッソにグラッパまで。

赤、白ともにかなり美味しいワインで、特に赤がほどほどのタンニンに熟成感が乗っていて、料理にもよく合っていた。美味しいなあ、と思いながらメインをしっかり食べてしまって、その後にデザートまで出てきたものだから、おなかがかなりいっぱいいっぱいに。でもやっぱり美味しかった。かなりの満足感。

ブランドアンバサダーらしい女性が、ワインの説明と共に各テーブル全員に声をかけてくれたりして、アルコールも手伝って場の空気はかなり賑やかに。そして、同じテーブルに付いた人たちの間で自己紹介も兼ねて話が盛り上がる。

アメリカはオレゴンからの旅行中の母娘。オレゴンにはちょっとした縁があったのでその辺りの話をしてちょっと盛り上がる。

カリフォルニアからの女性は日本にも来たことがあるらしく、広島や名古屋が楽しかったとか。お酒好きらしく、日本酒についても詳しい。まさか「ジュンマイダイギンジョウ」がしっかり通じるとは。

インドはムンバイに住んでいる親子は、息子さんがアメリカ留学中らしい。お父さんは日本で働いていたこともあるという話で聞いてみると、なんと同じ会社に時期は違えど自分も出入りしていたので、不思議な縁を感じる。自分がインド料理が好きなので、その辺りの話でも盛り上がる。ダル・マカニとかアルー・ゴーシュトとかの名前が日本人から聞けるとは思わなかった、と。そんなもんかな?

みんな旅行好きだなあ、と思いながら話を聞く。こういう場所に集まるメンバなら、それもそうか。旅と、お酒が好きな人たちと、こういう風に繋がれて話ができることがとても楽しい。

自分の英語は拙いので、うまく伝えられないことも多いのだけど、でもそんなの関係なくて、なんとか少しでも話して伝われば良いな、と。向こうもちゃんと興味を持ってくれて、こちらの言葉を理解しようとしてくれる。何言っているかわからない、という風に扱われないのは、やっぱり助かるというか安心する。

その後は帰りのバスの中でもあれこれ話したり、でも酔いがまわってかなり人が眠ってしまったり。ほろ酔い気分の帰り道は、まったりと過ぎていく。

あっという間に帰ってきて、帰ってきたら18時過ぎ。夕暮れのポルトの街は、良い具合に黄金色に染まっていて、まるで光に透かせたワインみたいだな、なんて思いながら、ドウロ川の流れを眺めてた。

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