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EPOさんLIVE@六本木CLAPSが素晴らしかったこと

ひょんなことからEPOさんの公式サイトを検索で見つけて週末にライブがあることを知りました。これはぜひ行きたいと思いチェックしましたがチケットはすでにSOLD OUT、お店にキャンセル待ちも申請しましたがそれも敢えなく敗退、ライブ配信もあるというので配信チケットを購入してみました。
昨年末のBSフジでOAされていた番組「シティポップ・カレンダー」でもEPOさんがインタビュー出演されていて久しぶりにメディアで動いているEPOさんを確認していたのと自分が書いたnote記事もよく読まれていたのでEPOさんにはなにか不思議な引力のようなものを感じていました。

「皆さん、ようこそいらしゃいました。お久しぶりです、EPOです!
待っててくださってありがとうございます!
今日は3月11日、私達にとって忘れられない日です・・・」

というEPOさんの語りからライブはスタートしました。

メンバーは
鬼怒無月(きどなつき~Gt)、城戸夕果(きどゆか〜Fl)のお二人、鬼怒無月さんは勝井祐二さんの即興演奏シリーズやドラムの吉田達也さんとの是巨人でハードなエレクトリックギターでのプレイをよく存じていましたが本来はアコースティックギターの方なのですね。城戸夕果さんは存じ上げませんでしたがジャズとブラジル系音楽の両分野で主に海外で活躍されている方のようです。そしてステージ中央にはグランドピアノが置いてありEPOさんがそれを弾くようであります。

(これ以降、楽曲含めたネタバレがありますので未見の方はご注意を!)

セットリストは以下の通り

「音楽のような風」
「DOWN TOWN」 EPOさんがピアノ弾きます。
「今日は3人でいろんな曲をやります」とEPOさん。
「汽車」前半はEPOさんはピアノを弾きながら歌いますが後半はハンドマイクで歌いました。鬼怒無月さんのギターが優しい。
「DANCE」 EPOさんのアフリカ的な詠唱で始まる曲、28年前 大阪オフィスの会議室で生歌で披露してくれたのもこの曲で忘れていた記憶が一気に蘇りました!1996年当時自分が所属していたレーベルが潰れてしまったためリリース出来なかったアルバムのタイトルナンバーでもあり後半はブラジル的な展開でリズムが早まりギターもフルートも一体となって盛り上がる最高に美しい曲です。ちなみにこの曲は当時パンフルート奏者の瀬木貴将さんのバンドにいた鬼怒無月さんとの初めての出会いの曲でもあるそうです。

EPOさんのMCが入ります。
「この3年間ライブも出来ず宜野湾でずっと曲作りしてました。すでに40曲ぐらい作っています。鬼怒さんはコロナでもずっと演奏していた、オンラインとかでも演奏を披露していて凄いなと思いました。」
そして日本語で4ビートみたいな曲を前々からやってみたかったとEPOさん
披露された新曲が「I'll Love Your Gap」小粋な曲です。
ストイックな鬼怒無月さんと7年一緒にやっていて初めてギャップがあったというエピソードも明かされました。ぜひ配信でチェックを!

次も新曲でしょうか。義理のお母さんにプレゼントした曲「家族の憧憬」。義理のお母さんを楽しげに表現したナンバーでした。

ここでEPOさんは今回の3日間の東北ツアーについての話題になります。
「岩手県の水沢江刺と宮城県名取市で歌ってきました。
水沢江刺(奥州市)は大滝詠一さんや大谷翔平さんの出身地、スターをいっぱい輩出していますね!」
東北地区で14年間続くラジオをやっていたEPOさん、ネットで調べるとDATE-FM(FM仙台)をキー局に東北各県のFM局でネットされていたそうです。東北エリアですごくご縁があったのですね。
「東日本大震災の時にその番組、「風の散歩道」は終わってしまいラジオのリスナーさんにもサヨナラを言えないまま無くなってしまったのですが、その後に作った曲、「Sacred Note」に収録されている「風の散歩道」を久しぶりに演奏します。」
とても優しい曲でEPOさんは少し涙ぐんだように見えました。

今は地元のFM沖縄で「風と海と空と」という番組をやっていてポッドキャストも聴けるとのこと。後で少し聞いたのですがリスナーの悩み相談コーナーにセラピストとしてしっかり応えるEPOさんのトークの切れ味が凄いです。

そしてそのままピアノの前に座ったEPOさんが歌ったのは「遠くで声が聴こえる」(「愛を〜LOVE IS ON〜」収録)。深みのあるジャズ・ブルース・ナンバーですが初期のEPOさんにも通じる世界を感じました。城戸さんのフルートとの絡みがちょっとカーペンターズのレオン・ラッセル曲を思い出したりもします。ずっとバッキング中心の鬼怒無月さんがブルージーなアコースティックギターソロも聴かせる美しい曲です。

EPOさんのMCは続きます。
「アルバムを作っている中で思ったことがいろいろあります。
久しぶりにやらなきゃいけないなと思うことがあります。
子供のころに聴いた昭和の時代の歌謡曲やCM曲に影響を受けている
40曲ぐらい作っている中でそんな影響を受けた王道ポップスやってみようと思っているんです。」

水沢江刺に行って大滝詠一さんとの出会いをお話していただけませんかと言われて思い出したのがデビューした頃はコマーシャルの歌をたくさん歌ったこと〜サントリーレモン CMソング「大きいのが好き」、「EPO&シャネルズという豪華メンバーで歌いました。でもこれは最終的にはボツったみたいなのですが大滝さんのアルバムに入っているはずです。」とピアノで即興で歌ってくれます。「大滝 詠一さんのCM作品も良かったですよね!」と「サイダー73」も特別に歌ってくださいました

さらに乗ってきたEPOさん、「会場の皆さんの記憶にある昭和のポップス、CMソング、リクエストあったら歌いますよ」と言うと客席から「チェルシー!」の声が。
チェルシーCMソングも歌いさらにベッツィー&クリス「白い色は恋人の色」(作詞: 北山修、作曲: 加藤和彦!)、そして尾崎紀世彦「また会う日まで」まで歌ってくれました! ここで驚いたのがEPOさんの弾くピアノの和声が清水信之さんと同じだったこと!制作ディレクター時代に清水信之さんと仕事をした時に清水さんが弾いてくれたイヴァン・リンスやMPBの弾き語りを聴かせてもらったことがあったのですがそれと同じヴォイシングでした。これが都立松原高校の血が為せる技かと驚きました。こういった世代感を感じる曲をいっぱい書き溜めているので楽しみにしていてほしいとEPOさん。

そしてさらに新曲を2曲。
ボサノヴァテイストなかわいい曲「小さな奇跡を数えていたら」、城戸さんのフルートと鬼怒さんのギターの絡みが素晴らしい。たった3人なのにとても豊かなアンサンブルです。
そして女性の目を通じて見た問題作と紹介された「何かがおかしい」
黒っぽいフィーリングと鋭い歌詞との対比がとても面白い。ちょっとコミカルな中に耳が痛いリリックを聴かせるところも流石で会場も大いに湧きます。

そしてここでEPOさんのパートナーであり俳優/セラピストの宮川雅彦さんも登場、EPOさんが書いた童話「光になった馬」の朗読を披露してくれました。「光になった馬」も先ほどのEPOさんのラジオから生まれた物語だそうです。

感動的な宮川雅彦さんの語りに続いて歌われた「光になった馬」
東日本大震災からちょうど12年のこの日にこの曲が歌われる意味を知り、
そしてEPOさんの歌声、作り出す音楽が持つ「人の心に寄り添う力」のあまりにも大きなエネルギーを30年近く経って初めて理解できました。自分も昨年体調を崩した時に無性にEPOさんの音楽を聴きたくなったのもちゃんと理由があったのです。

「人間はピカピカの奇蹟、そのものだってね・・・」、宮川雅彦さんの語りに続いて歌われた美しい3拍子の曲が歌われライブは終わりました。EPOさんは泣いていました。最後に歌われた美しい3拍子の曲は全く知りませんでしたが「きみとぼくは昔からの友達のように竚むだろう 胸の奥で甘く香る赤いバラの咲く時」の歌詞を元に探しましたら見つけました!「キミとボク」という曲でした。

1998年にEPOさんが鈴木蘭々さんに提供した曲、その編曲はまたしても清水信之さんによるものでした、『PUMP! PUMP!』以来13年ぶりのEPOさんと清水さんのコラボレーションです。EPOさんご自身バージョンは1999年の「Peach」に収録されているようですが残念ながらこのアルバムも配信されていないようです。しかし鈴木蘭々さん版がポンキッキーズでも歌われていたこともありYoutubeにカバー動画がたくさんあり、また昨年の春にはアナログ7cmシングルにもなったそうです。いい曲はちゃんと残り伝わるものですね。

アンコールに登場したEPOさんは「本当に、待っててくれてありがとう」と涙ながらに挨拶。「私はあんまり自分の誕生日が好きじゃなくて・・・、お祝いされるのもすごく苦手で、何か居心地が悪いな、誕生日って思っていたのですが、今年は自分の誕生日に歌うことにしました。5月に横浜のビルボードでセンチメンタル・シティ・ロマンスと、佐橋君と、トロンボーンの佐野君と、お祝いすることにしました!ぜひ見に来てください! 
それでは「う・ふ・ふ・ふ」を聴いてください!」

「う・ふ・ふ・ふ」「土曜の夜はパラダイス」の2大名曲をの持つパワーは素晴らしく最後は会場はハッピーなヴァイブでライブは終わりました。
本当に鬼怒無月さんのギターと城戸夕果さんのフルートとEPOさんの声のアンサンブルが素晴らしく少ない音数なのに最後まで全く飽きませんでした。
現場で見られた方も羨ましいですがライブ配信は何回も繰り返し楽しめるのでいいですね!まだご覧になっていない方はアーカイブ購入も可能ですのでぜひ。

簡単に書こうと思ったのに思いの外長くなってしまいました。ここまでお付き合いありがとうございました。EPOさんのライブを27年ぶりに体験し、また一つの気づきがありました。次回の機会に書いてみたいと思います。

最後まで読んでいただいたありがとうございました。個人的な昔話ばかりで恐縮ですが楽しんでいただけたら幸いです。記事を気に入っていただけたら「スキ」を押していただけるととても励みになります!