見出し画像

さみしい【淋しい・寂しい】  

寂しいということは、生きがいを見つける素晴らしいきっかけであり、 エネルギーだと思えば、勇気がわいてくるだろう。 
~岡本太郎

さむいひ【寒い日】

僕が照れるから 誰も見ていない道を 寄り添い歩ける寒い日が君は好きだった
~小田和正『さよなら』

3月11日

 3月11日以降、すべてが大きく変わってしまったことを、今だれもが感じている。震災は、多くの人のいのちや暮らしばかりではなく、言葉の意味すらも奪っていったように私は感じている。自然や猛威という言葉がちぐはくに思えるように、海という言葉を、波という言葉を、大地という言葉を、痛みもなく、かなしみもなく、恐怖もなく、もう使うことができない。そしてその痛みもかなしみも、人によってまったく異なるはずだ。がんばろうという言葉に励まされる人がいる一方で、苛立ちを覚える人も、傷つく人すらいるだろう、以前のようにシンプルな言葉で私たちが無邪気に語り合うことは、もしかしてもうできないのかもしれないとすら、思う。
~角田光代

33さい【33歳】 

三十三歳。まだじゅうぶん若い。でももう「青年」とは言えない。イエス・キリストが死んだ歳だ。スコット・フィッツジェラルトの凋落はそのあたりから既に始まっていた。それは人生のひとつの分岐点みたいなところなのかもしれない。そういう歳に僕はランナーとしての生活を開始し、おそまきながら小説家としての本格的な出発点に立ったのだ。
~村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』

サンタクロース【santaclaus】 

もしも世界に、サンタクロースひとりぼっちになったとしても、きっと彼は、プレゼントを届けようと夜を駆け巡るはずだから。。。
メリークリスマス。アイミスユー。
~寛生

サンタクロースのそんざい【サンタクロースの存在】

僕はこの、「親が枕元でごそごそしているのを現認してしてしまった子ども」がそれにもかかわらずサンタクロースの存在を合理化しようとするというダイナミックなプロセスにこそ、この風習が広く世界に普及し、これからも決してなくならない理由があるような気がします。
~内田樹『困難な成熟』

しあわせのふたのうら【幸せの蓋の裏】

幸せの蓋の裏に付いてる 悲しみを舐めては安心する
~尾崎世界観『僕は君の答えになりたいな』

じぇいぽっぷ【J-POP】

そんなにJ-POPをバカにするなら、素質を持っているあなたがどうにかしなさいよって。
~椎名林檎

ジキルはかせとハイドし【ジキル博士とハイド氏】

ジキル博士とハイド氏の没落の理由は、知性と獣性、欲望抑制と解放をひとりの人間のうちに同居させるという困難な人間的課題を忌避して、知性と獣性に人格分裂することで内的葛藤を解決しようとしたことにある。
~内田樹

しし【志士】

「志士」という言い方がそもそもキモいと思うんだが、好きな人たちにはたまらない響きなんだろうね。
~小田嶋隆

じじつ【事実】

事実はありのままに語られてはならないもののようだ。海賊の埋めた財宝の在処を示す地図のように、ものごとは暗示と謎掛けによって、あるいは欠落と変形によって語られなくてはならない。
~村上春樹『1Q84』

しっぱいをひはんすること【失敗を批判すること】

赤の他人の失敗をあげつらって公然と批判するというのは、実は非常に難しい事なのです。私よりも年齢を重ねた人でさえも、きちんと出来ない人は少なくありません。その割に、得るものはあまり多くありません。批判自体は簡単です。ただし、自身の品位や人間性を損なわずに批判するというのは、これは極めて高度な技術に加えて、強い精神力も求められるのです。これが無いままに安易に批判する。手軽に正義感を振りかざせるので、やがてそれがクセになっていきます。クセになっていくとどうなるか。他人の失敗が許せない人間になってしまいます。そして失敗を悪い事だと思い込み過ぎて、失敗するくらいならば何もしない方がいいと考え始めるようになってしまいます。人間とは不完全なものです。肝心な時に大きな失敗をしてしまう事もあります。何かに挑んで、成功する事もあれば失敗する事もある人と、他人が失敗したときだけ批判し、何もしないが故に何も失敗しない人。みなさんはどちらになりたいですか。
~とある大学講師

しぬ【死ぬ】

歳月はすべての人間から少しずつ命を奪っていきます。人は時期が来て死ぬのではありません。内側から徐々に死んでいき、やがて最終的な決済の期日を迎えるのです。人は受け取ったものの代価を支払わなくてはなりません。私は今になってその真実を学んでいるだけです。
~村上春樹『1Q84』

しゃっきんとかざいさん【借金とか財産】

借金が無くなったから気が楽になったのか、財産が無くなったから気が楽になったのかは微妙なところです。借金とか財産というものは、ひととひと、ひとと社会を結び付けている糊代のようなものだということ。
~平川克美『21世紀の楕円幻想論』

しゅういとのあつれき【周囲との軋轢】 

何はともあれ、一貫して好きなことをして生きてきたようなものですから、そんなのもう「周囲との軋轢」だらけですよ。「周囲との軋轢」を集めたら小さな山くらいできるかもしれません。
どうやってそういうものを乗り越えてきたか? 
やっぱり体力じゃないかな(笑)。足腰って大事です。
~村上春樹

10ねんつづけて【10年続けて】

毎日、10年続けて、それを一丁前にならなかったら、この素っ首、差し上げるよ
~吉本隆明『悪人正機』

16さい【16歳】 

もちろん16歳というのは、とびっきり面倒な年齢だ。細かいことが気になるし、自分の立っている位置が客観的につかめないし、なんでもないことで妙に得意になったり、コンプレックスをいだいてしまったりする。
~村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』

しょうせつか【小説家】

僕は小説家として、自分の無意識の中に「降りていく」作業に携わっています。言うなれば、意識と無意識を隔てた扉を開けて、「この世界ではない別の世界」に入っていきます。そしてこちらに戻ってきます。そういう作業には往々にして、精神を病んでおられる方のsymptom(徴候)に近い要素が含まれているようです。ごく簡単に言ってしまえば、自由にその扉の開け閉めを出来るのが作家であり、自由にはそれが出来なくなったときに、それが病理と呼ばれるのではないかと、個人的には考えています(あくまで私見ですが)。
~村上春樹

しょうせつか【小説家】

小説家という職業にー少なくとも僕にとってはということだけれど―勝ち負けはない。書いたものが自分の設定した基準に到達できているかいないというのが何よりも大事になってくるし、それは簡単には言い訳のきかないことだ。他人に対しては何とでも適当に説明できるだろう。しかし自分自身の心をごまかすことはできない。
~村上春樹『走ることについて語るときに僕の語ること』

しょうわ【昭和】

公衆衛生とジェンダー平等と校内暴力に限って言うなら、昭和は地獄だったと申し上げてもよい。
~小田嶋隆「ア・ピース・オブ・警句」

しょうわのわらい【昭和の笑い】

対女性に限った話ではない。
戦後の商業メディアが昭和の時代から一貫して従事してきたのは、つまるところ、性差や貧富格差を戯画化して笑いを生産する作業だったわけで、してみると、昭和の笑いが差別と嗜虐とパワハラそのものだったのは、時代の必然と考えるほかに解釈のしようがない。
~小田嶋隆「ア・ピース・オブ・警句」

じんせい【人生】

「新しく生まれてくるものよ おまえは間違ってはいない。誰も一人にはなりたくないんだ それが人生だ 分かるか」
~ 尾崎豊『誕生』

じんせいのおんがく【人生の音楽】

何かをしていて、煮詰まったと思ったら、即座に文脈を切り替えて他のことをした方がいい。コンビニに買い物に行ったり、シャワーを浴びたり、どうせやらなくてはいけないことを句読点として打つ。この切替の判断のメタ認知、今やっていることのへ介入ができると、人生の音楽がうまく鳴る。
~茂木健一郎

しんそついっかつさいよう【新卒一括採用】

今の若者たちは「新卒一括採用」というルールに縛られていて、そこから脱落したら「人生おしまい」というような恐怖を植え付けられています。でも、ほんとうはそんなことないんです。キャリアへの道は無数に開かれている。それを限定して見せているのは企業の人事と就職情報産業の「仕掛け」です。わずかな求人のところに求職者が殺到すれば、それだけ「能力の高い若者を低賃金で雇える」からです。
~内田樹『困難な成熟』

すがよしひでとこうのたろう【菅義偉と河野太郎】

菅首相の無能さは「できるはずのことをやらない」「やるべき仕事から逃げる」「答えるべき言葉を言わない」といったあたりなのだが、河野太郎氏は「能力を超えた仕事に手を出す」「不必要な言葉を吐く」「できもしないことを始める」タイプの無能さだ。いずれがより有害であるかの判定はむずかしい。
~小田嶋隆

すきだよ【好きだよ】

絶対誰にも聞こえないように息をひそめて君が「好きだよ」って言った 
一体どんな言葉を返せばいいか解らないまま抱きしめた
~槇原敬之『THE END OF THE WORLD』

すべてのおとこ【すべての男】

すべての男は(驚くなかれ)、自分の容貌にある種の自信を有している。「こういう顔が好き」という女性が世界のどこかにいあるかもしれない・・・という儚い期待を胸にすることなしに男は一秒とて生きることのできない悲しい生き物なのである。
~内田樹『ひとりでは生きられないのも芸のうち』

スポーツビジネス

オリンピックにしても、大阪なおみさんの件にしても、行き過ぎたスポーツ・ビジネスが選手の健康や社会の繁栄を犠牲にするようになっている。スポーツは本来もっと誰にでも開かれ、健康に利するもののはず。広告や大会数の制限などスポーツにも「脱成長」が必要です。
~斎藤幸平

せかいひょうじゅん【世界標準】

今の日本社会が抱えるさまざまな問題の一因は、アメリカという非常に特殊な国の文化をグローバル・スタンダードと見なして、それを「あるべき世界標準」だと思い込んでいることにあるとぼくは思っています。
~内田樹『疲れすぎて眠れぬ夜のために』

せんそう【戦争】

戦争を美しく語る者を信用するな。彼らは決まって戦場にいなかった者なのだから。ずっと前から、そして今も、人々は政治家のために殺されている。
~クリント・イーストウッド

そうほうこうせい【双方向性】

相手が黙って話を聴いているだけ、という状況でも「双方向性」というのは担保されると僕は思っています。だって、こちらの話が「自分たちを聴き手に想定していない」ということに気付いた瞬間に、学生たちは寝ちゃいますから。
~内田樹『街場のメディア論』