大統領の車列に遭遇し、長い長い信号待ち。沿道には星条旗を振る人も燃やす人もいない。黒光りする「キャデラック・ワン」の威圧的な走行音だけが、時の止まった都心の交差点に響く。ふいに僕の隣のジョギングおじさんが、手を振った。そうしたら窓の奥でトランプおじさんも、手を振った。それだけ。