【百科詩典】なぜじょせいはマイノリティーとよばれるのか?【なぜ女性はマイノリティと呼ばれるのか?】

これは女性なら誰でも一度は考えたことがあると思うが、世の中の半分は女性なのに、なぜ女性はマイノリティーと呼ばれるのだろう。
数的には、女性は少数派ではない。
なのに、なかなか男性と平等になれないのは、もちろん歴史的、経済的、文化的な様々の要因はあるけれども、それ以前の問題として、人数があまりに多すぎてまとまらないという致命的な事実があるのではないか。
ここで男性のみなさんは失笑するところではない。
「女性の敵は女性」と言うが、それを言うなら男性の敵だって男性ではないか。
ただ、あなたたちの場合は、様々な階級や人種や宗教や思想や、子どもを持つとか持たないとか夫婦別姓にするとかしないとか化粧をするとかしないとか腋毛をそるとかそらないとか、ほんとうに細々したことにおけるいろいろな違いを持つ膨大な数の人間の集まりとして連帯して何かを求める必要が一度もなかったのだ。ラッキーだったのだ。
長い長い女性たちの闘いは、この究極の困難さと闘うバトルでもある。

~ブレイディみかこ『シスターフッドと原初の怒り』