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あらゆるスポーツランキング制度への疑問(研究)

こんにちは!
WelfieLinkの冨田です。

かなり久しぶりのnoteになってしまいましたが、去年までの自分の研究分野であったスポーツにおけるランキング制度について、考えてみたいと思います。

今のスポーツ界では
バドミントンの桃田選手・山口選手(ともにシングルス世界ランク1位)・松本/永原ペア(ダブルス世界ランク1位)
テニスの大坂選手(シングルス世界ランク1位)
卓球の張本選手(シングルス世界ランク4位)
柔道の吉田選手・渡名喜選手・新井選手(それぞれ女子57kg級・48kg級・70kg級世界ランク1位)
など、様々な競技で日本人選手が世界ランク1位や上位に入っています。

そしたまた、この世界ランクという仕組みはポイント制が用いられています。
ポイント制は、出場した大会での戦績に応じてポイントが与えられ、一定期間内に取得したポイントの合計でランキングが決まる、というものです。

このポイント制は世界ランキングのみならず、様々なランキングで用いられています。

このランキング制度が成り立つ要因の一つに、大会のレベルに応じて与えられるポイントが異なる、という点が挙げられます
例えば、男子テニスの世界ランキングでは、グランドスラム(四大大会)で優勝すると2000ポイント、ATP500大会(楽天ジャパンオープン等)では500ポイントなどとなっています。

もう少し詳しく見てみます。

(出典:https://www.atptour.com/en/rankings/rankings-faq)

これを見ると、グランドスラム3回戦(ベスト32)はマスターズベスト16やチャレンジャー90大会の優勝と同じ90ポイントが獲得できるようです。1大会で獲得できるポイントですから、当然価値は同じです。(チャレンジャー大会はおおよそ100〜300位台の選手が出場する大会です。)

つまりかなり単純化すると、1年間でグランドスラムベスト32、マスターズベスト16、ATP500大会ベスト8をずっと取ると20大会出場した場合のポイントは1800ポイントです。
一方で、1年間の間にチャレンジャー90大会を20回優勝しても1800ポイントです。(実際はチャレンジャー90大会が開催されるのは15週だけなので、不可能ですが計算上の話です。)

さて、これらを比べると何か違和感を感じるのではないでしょうか。
グランドスラムやマスターズはほとんどの選手に出場が義務付けられている大会であるため、トップ選手がしのぎを削るレベルの高い大会になります。そこでベスト32やベスト16に進出するためには必ずシード(おおよそ32位以内)に勝たなくてはならないのです。
それに対してチャレンジャー大会は100〜300位台の選手がほとんどですから、優勝するとは言っても30位以内の選手に勝つよりもチャンスがあると言えます。(もちろん優勝するためには最低でも1大会で5回勝つ必要があり、それを年に20回していたらめちゃくちゃすごいですが。)

つまり、前者の方がレベルが高いはずなのに、ランキングを見ると同じレベルの扱いとなるのです。
ちなみに、現在のランキングで1800ポイントと言うと20位前後です。この辺りに付けている選手はチャレンジャー大会には1大会も出場しない選手がほとんどのため、いかに1800ポイント取ることが世界の上位であるか、また取ることが難しいかがお分かり頂けると思います。ですが、70位台レベルの選手がレベルが下の選手に1年間負けないでいるだけで、20位台のポイントが獲得できてしまう計算になります。
つまりランキングだけ見てもレベルを見分けることができない、ランキングの意味を成していないとも言えます。

以上を踏まえると、ポイントの価値が何を根拠に決められているのか、全くわからなくなります。ここまでは同じポイントの大会同士を比較しましたが、例えば、出場するレベルの選手は同じなのに、なぜグランドスラム優勝はマスターズ優勝の2倍の価値があるのかなどについても疑問が出てきます。
誰が2倍と決めたのか、なぜ1.9倍でも2.1倍でもなく2倍なのか、何が根拠なのかなど、謎は深まるばかりです。

また、ジュニアの大会の場合年齢区分が分かれるため、例えば関東テニス協会が運営する関東ジュニアランキングでは、15歳以下の全国大会(中学生大会など)での優勝と18歳以下の全国大会(インターハイなど)のベスト16では獲得できるポイントがほぼ同じです。
ランキングの意義からすれば、この2人を比べるとほぼ同じレベルということになりますが、実際に試合で戦うことは多くないため(年齢区分が別であるため)、定量的評価に基づいたポイント表が作成できているのか疑問です。また、これについても15歳以下の優勝が800ポイントで、18歳以下のベスト16が819ポイントであることから、ポイント表に基づけば18歳以下の方が19ポイント分強いはずですが、実際に試合をしたデータがあったとしてなぜ19ポイントの差としたのか(20でも18でもない理由)についても、やはりよくわからないのです。

ここまでよくわからない、疑問という言葉を多く使ってきましたが、恐らくは人の手によって「エイヤッ」と直感で決めている部分が多いのだと思います。そもそもこのランキング制度やポイント表が作成された時代に大量のデータを用いて根拠のあるポイント表を作ることが難しかったのかもしれませんし、年やその時の選手によって実力が異なることから一般解となる回帰式を求めることにそもそもあまり意味がないのかもしれません。

しかしながら、多くの選手やファンなどはこのランキング制度になんら疑問を持たず一喜一憂しているのではないでしょうか。既存のシステムの中でそれが正しいと信じきれるから、安心して楽しめるという考え方もあるでしょうが、強い選手がより正しく評価されるシステムが構築できるならば、選手にとっても応援するファンにとってもその方がいいに越したことはありません。

そこで、私はテニスのランキングにおいてないがしろにされているスコア・より最新の結果を重視するための日付・大会における戦績ではなく評価軸を相手のレベルとする、新しいシステムを昨年考えていました。
しかし、計算に膨大な時間がかかる上、当時思いつく計算方法では思うように相関が取れなかったため、現在一時休止しています。

ですが、今でも可能なら実現させたいと思っているので、もし興味のある方がいれば、ぜひ連絡いただきたいと思います。

長くなってしまいましたが、今回はランキング制度への疑問をお伝えしました!

読んでいただきありがとうございました!

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