見出し画像

リモートワーク マネジメント Vol.1

新型コロナウィルスの影響で、テレワークやリモートワークを不本意に開始しなければならなくなった企業も多いのではないでしょうか?

本来テレワーク導入には、マネジメントポリシー、目標設定、評価制度から考えないとガバナンスが利きませんが、そんなこと言ってられない状況です。せめて緊急対応的にマネジメントが間違った方向に行かないように、テレワークが当たり前の欧米でテキストブック的に教えられている基本を紹介し、考え方の整理をしたいと思います。

マネジメントタイプ

テレワーク中、組織のマネジメントユニットの末端は、自分の部下をどうマネジメント(というかコントロール)していくか?になってくると思います。このような部下のコントロールには、3つの考え方があります(*1) 。

・Behavior controls(行動コントロール)
・Outcome controls(結果コントロール)
・Personnel controls(人事コントロール)

・Behavior controls(行動コントロール)
簡単にいうと、例えば、工事現場で作業している部下を観察して、体の動きや行動パターンなどをコントロールすることで、より高いパフォーマンスを発揮させるマネジメントタイプです。日本のマネジメントスタイルはOJTが多く、近い距離感でマネジメントしているため、無意識のうちにこのタイプになっていることが多いです。

・Outcome controls(結果コントロール)
結果コントロールでは、作業アクションではなく、作業結果にフォーカスします。定点的な結果を評価し、フィードバック(プロセスの見直し)をしていくことで、最終的な目標達成へ導くアプローチです。

・Personnel controls(人事コントロール)
これは、上の2つと少し切り口が違って、必要な業務タスクに対して、適した人材を配置して、成果を出していくコントロールです。テキストでは、仕事の成果を評価するのに数年かかるような場合と解説され、例えば、1990年代半ばにアップルが意味のある製品ラインを定義するのに苦労していたとき、アップルは、その使命を再定義するための正しい方法はスティーブ・ジョブズを復活させることだと判断したというような例を上げています。

テレワークでのマネジメントの課題

ご想像の通り、これまでオフィスでみんな集まって仕事していた時は、「行動コントロール」で良かったが、テレワークになるとそういうわけにも行かないので、「結果コントロール」で、ある程度の成果主義的なマネジメントタイプにしていかないとマネジメントできなくなりますよね。というシンプルな話です。

シンプルなんですが、なかなか難しいんです。
自分でも、5年ぐらい国境を超えた距離感でマネジメントしていた経験から、さまざまなピットフォールにハマりまくってました。国内の場合、せめて日本語ベースいいのが救いでしょう。
ここからは、私の体験ベースの話なので、正解・不正解はあると思いますので、ご了承ください。

テレワーク中の「結果コントロール」でのマネジメントの難しさは大きく以下の5つに分類でき、乗り越える能力を身に着ける必要があると思います。

・信頼・信用問題
物理的な距離感が信頼関係を希薄にします。結果が伴わなくなると不信感すら出てきます。この組織の根っこの部分が揺らぐので、全てのマネジメントに影響してきます。

・コミュニケーション問題
どれぐらい頻繁にコミュニケーション取ればいいの? その取り方は? テレカン? チャット? メール? ちゃんと伝わってる? とわかんなくなります。

・レポーティング問題
いつも一緒にいないので、ある程度ドキュメントベースで進捗管理しないといけません。何をどうレポートさせれば良いのか? レポートは間違いなく部下の負担になりますし、部下がちゃんとレポートできるかどうかから考えないといけません。かといって、レポートなしで、永遠とOne on Oneミーティングを続けるのもナンセンスです。

・アドバイスできない問題
結果をもとにプロセスを評価して、的確なアドバイスを行うことで、部下をリードすると言いますが、テレワークするとそのプロセスが見えません。
どうやって部下に対してうまくリードしてあげられるのか?

・ちゃんと評価できるのか問題
テレワーク中の部下の成果をどう評価しよう? 完全な成果主義であれば、お互い割り切れますが、そうはいかないのが日本の人事評価制度です。テレワークを想定していない人事評価制度が、全然テレワーク体制の評価制度とマッチしないという問題が発生します。

このような問題にどう立ち向かっていくかということになると思います。次回以降で一つづつ掘り下げていきたいと思います。

Reference
*1 Pearlson, K. E., Saunders, C. S., Galletta, D. Managing & Using Information Systems.




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?