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心繕う

糸や布を触りたくなる季節だなぁ、と思う。

私は型があるものや「ちゃんとしなきゃいけないもの」が苦手なので、裁縫はあまり進んでやってこなかったのだけど、この冬「ダーニング」にはまった。

「繕う」という意味で、ヨーロッパに古くから伝わる衣類の修繕方法の一つ。
何種類か縫い方の基本はあるけど、かなり自由度が高く、穴の形や自分の持っている糸、センスで、無限にいろいろな模様が描ける。まるで、布に絵を描いているみたい。

ボロの靴下をダーニング

娘は毎日これでもかというくらい、ズボンや靴下に穴を開けてくるので、題材には事欠かない。

娘のズボンとセーター
好きな生地を使ってワッペン風に

ダーニングがすごいのは、繕いおわった後、衣服に新しい命が吹き込まれたかのようになることだ。
擦り切れて穴の開いた服は、がっかりした寂しい気持ちになるけど、一度ダーニングをすると、遊び心とパワーを秘めた個性豊かな服に様変わりする(ような気がする)。
上手くできなくてもなんだか楽しい、前よりもいい服になったような、豊かな気持ち。

何より、ちくちくと縫っている時間がいい。
心はしんと静まり返り、あの時のあれはこうだったなとか、気になっていたあれはこうしようとか、自然に自分の心と向き合うモードになっていく。自分の心まで繕っている感じ。

ちょっと前に、娘の幼稚園といろいろあって、話し合いや自分の認識を変えることで一応収束はしたのだけど、その過程で言われた言葉にガツンとやられてしまって、しばらく深めの穴になって残った。

そんなある時ふと、カラフルな糸で穴を繕っていくイメージが浮かんできた。

-ああ、ダーニングすればいいんだな。どうせ空いた穴なら、好きな糸で楽しく繕ってやろう-

穴も擦り切れも、お気に入りの糸でちくちく塗って、もっとスペシャルな自分にしよう。

©︎綿草ひろこ

裏側もたのしい


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