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拘りの理由(3)─コーヒー─

ノルウェイの森を図書館で借りていたのだが、期限が迫っていたため昨夜根つめて読んでいた。

高校生の時、父からクリスマスプレゼントで貰い、いつだったか古本で売ってしまったあとでも、何度も何度も借りては読んでいるお気に入りの作品である。
そして何度読んでも、私は未だ答えは出ない。いや、出なくていいものなのかもしれないが。
自分に照らし合わせて、様々なことを考える。
そして毎回、読み終えたときに感じていることが違っているのだ。

ただ一つ、変わらないことは
読み進めていくと、コーヒーが飲みたくなること。

美味くても、不味くてもいい。濃くても薄くてもかまわない。
ただただ、私はブラックのコーヒーが飲みたくなる。

できることならインスタントではない方がいい。
そして、2杯くらいは飲みたくなる。


だが

昨夜は、ドリップタイプのコーヒーしかなく、しかも残り一つだった。
最近コーヒーを買っていなかった。私が、私のために時間を贅沢な気分で過ごす必須アイテムなのに、忙しさに感けていたようだ。

コレはイカンなと思いつつ今日は無理だったので憂いを帯びた空気に包まれたが、明日買いに行くことにしたら目の前の霧は晴れた。


ハルキ・ムラカミのようにコーヒーにもアルコールにも食事にも詳しくないし、正直味にも大した拘りなどない。

それでも、自分のためにコーヒーを買いに行く──しかもノルウェイの森に触発されて──こんな贅沢な気分は久しぶりだわ、と独り言つ今宵の微睡みである。


追記:今朝、図書館に無事に返却できたことは言うまでもないが、念のため。

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