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古いけれど新しい、尾道の建物

 尾道の街は古いけれど新しい。
 
 訪れる前まではレトロな街並みが残る街というイメージが強かったです。
いや、これは実際に真実で、商店街も山あいのエリアも全体的に古い建物が多いです。
 ただ、レトロな街、と呼ばれる地域はけっこうな割合でレトロな物件が空きテナントになったまま年数が経過していたり、住居もなかなか新しい住人が見つからず空き家になっていたりで、中身はもぬけの殻だったりします。
 尾道は、違いました。もちろんまだまだ空き家やシャッターのままのお店も残っているけれど、シャッターの物件の横に綺麗にリノベーションされたテナントが何軒も並んでいたり、坂の途中の路地の集合住宅が今はホテルになって再生されていたり。
 古い建物の外観や世界観はそのままに、内装をリノベーションしたりして現代によみがえらせている建物がとても多いです。
 尾道は自然風景や橋の美しい造形なども魅力的ですが、同じくらい、いやそれ以上に建物に魅力がある気がします。
 今回は尾道旅で出会った素敵な「たてもの」を紹介します。
 

LOG


 おそらく尾道でも特に知名度が高いと思われる「LOG」さん。
坂道の途中にある集合住宅をリノベーションした複合施設です。
 外観は完全に「集合住宅」といった感じで知らないまま通り過ぎてしまいそうなくらい、景観に馴染んでいます。


 こちらは入口の門。
 中はこんな感じ。


恐らく、右側にあった各アパートの部屋を取り払い空間をシームレスにしたと思われる。


このアングルは、まさに元、集合住宅といった感じ。

 複合施設、と説明しましたが、メインは宿泊施設で、そのほか、宿泊者以外も利用できるカフェがあります。ギャラリーを利用したイベントも随時開催されているようなので要チェックですね。



レモンケーキとクラフトコーラ、いただきました。美味しかったです。



 引き算の美学、のようなものを感じる空間でした。余白が大きく確保され情報を少なく、でも美しい、そんな場所です。

あなごのねどこ

 次は尾道の商店街にある「あなごのねどこ」さんです。
長屋を利用して再生されたゲストハウスとカフェです。


商店街に突如現れる、ゲストハウス。
初見では何の施設か分からないのが僕としては魅力的で、
道行く人は「なんだ、なんだ」と足を止めて中を覗いていく光景が多く見られた。


 ウナギの住処は奥に長く続く形をしているといい、尾道とその近郊の特産はアナゴだというところから「あなごのねどこ」というネーミングになったといいます。尾道は店の名前もチャーミングでインパクトが強い所が多い印象です。


タイミングが合わず、泊ることは叶わなかったけど、次尾道に行くなら
絶対泊まりたい場所。


 通路を進むと、


 「紙片」さんに辿り着きます。
 ここは本と音楽の店。選りすぐりの本(古本ではなく新品本です)と店内BGMの音楽、文具を取り扱っているお店です。店内は基本的には撮影NGなので気になる方は、Google検索等で調べてみることをお勧めします。
 本当になんというか時間が止まったかのような空間で本を眺める時間は贅沢でした。店内BGMが心地良かったのでCDを最終的には購入しました。
 音のお土産、ということで、地元に帰ってそのCDを聴くと、尾道での時間が蘇ってきて今までにない体験になりました。食べ物や、雑貨を持ち帰ったことはあったけれど、音楽を持ち帰る。お勧めです。


 ゲストハウスに併設された「あくびカフェ 一」
どうやら最近「喫茶部 あくび」としてリニューアルしたようで、ここでは両方の名前を記載しておきます。
 学校をコンセプトにしていて、家財は尾道の空き家に取り残されていたモノを救出してきたとのこと。素晴らしい取り組みですな。
 時折、学校のチャイムが店内に鳴り響き、懐かしい気持ちになりました。



手書き文字って味があって好き。

三軒家アパートメント

 続いては、尾道駅北口、三軒家町にある「三軒家アパートメント」さん。


 尾道駅は南口がメインとなっていて北口はかなりマニアック。そんな北口周辺は閑静な住宅街となっています。その北口から徒歩5分かからずくらいのところに「三軒家アパートメント」さんはあります。
 東棟と西棟の二棟で構成されたアパートメントは現在、喫茶店、古書店、レコードショップ、古着屋、多肉植物店など多彩なラインアップの店舗が入居。



今回は朝に訪問。その理由は、朝ごはんを頂ける「きっちゃ初」さん。



あまりにも素敵な調理場だったので撮影許可を頂いて一枚。


 目玉は熱々のがんもどきの朝ごはん定食です。
外はカリっと、中はふわふわで美味しかったです。そして何より店主の方の雰囲気と内装の雰囲気、全てがあたたかい。初めて来たのに安堵感に包まれる体験となりました。


東棟内部には卓球所もあるよ。

  まだまだ魅力的な建物が尾道にはたくさんあります。
 ここからは少し駆け足で紹介させてください。情報過多で書いていて終わりが見えないもので(笑)

ONOMICHI U2

 尾道のサイクリングの拠点として存在感を放つ複合施設です。かつての港湾倉庫をリノベーションした建物で、系列で言うと、一番初めに紹介した「LOG」さんと同じ事業主によって作られたようです。(時系列で追うとこちらのONOMICHI U2が先に作られた)
 サイクルストアの「GIANT」、レストラン、カフェ、雑貨店、パン屋、物産店を配置しつつ、最大の面積を有するのは宿泊施設。自転車を部屋に持ち込めるサイクリスト特化型のホテルです。いつか自分の自転車を持ちこんで泊まりたいな。




倉庫だから天井高い。


夜は、バー的な雰囲気が強まる。


この写真は、古いけれど新しい、の体現だと思う。

みはらし亭

 こちらは、「あなごのねどこ」さんと同じNPO法人 尾道空き家再生プロジェクト発のゲストハウスとカフェです。名前の通り、尾道水道の街を見晴らすことのできる建物です。


有形文化財に指定されている建物に泊まることのできる贅沢さ。


蝉が網戸に止まり、夏を感じた。



帆雨亭

 「みはらし亭」さん近くにも景観の良い喫茶があります。はんうてい、と読みます。「帆雨亭」さんの窓辺からの景色も最高に良かったです。


もはや、絵画。


レモン果汁のみを絞ったレモンサイダー。人工甘味料不使用でレモン本来の酸味が味わえる。
せっかくなのでシロップは入れずにそのまま頂きました。


Lien ONOMICHI cafe&beansstores

 コーヒーショップの「Lien ONOMICHI cafe&beansstores」さん。


写真右上のCOFFEEの文字看板を見つけた瞬間、絶対に行こうと決めた初尾道の4月。




窓辺からは造船所のクレーンが見えて、尾道を感じる。

そのほか、印象的だった建物たち


猫の細道にある「梟の館」さん。
店内撮影は基本的に禁止でしたが、アンティークな調度品がすてきな喫茶店でした。


元銭湯のリノベーションで現在は中華料理店の「大和湯」さん。次の尾道訪問では必ず食べたい。


「ONONOMICHI U2」さんと同じく港湾施設をリノベーションした「ONOMICHI SHARE」さん。
シェアオフィスを核に、カフェとサイクルショップが入居。
タイミングが合わず来店は叶わなかったが、いつか行きたい。

 いかがでしたでしょうか。尾道の古いけれど新しい、建物を紹介させていただきました。街全体がクリエイティブで活気があるのが個人的にツボで夢中で建物巡りをした5日間でした。
 今回は尾道市街地にスポットを当てて探索しましたが、おそらく向島、因島、生口島といった島しょ部にも素敵な建物があるはずなので、尾道探索に終わりは見えません。
 

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