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最近買った写真集

 写真、カメラが好きなことと同じくらい、最近は写真集を読むことが好きです。

 冬でなかなか外へ出て撮影することも億劫なこの頃。
 読書の秋に次ぐ「写真集の冬」とか言ってみようかしら。

 この冬に買った写真集を二冊、ご紹介します。


 一冊目はこちら。
 仁科勝介さんの「どこで暮らしても」

 先月半ばまで広島県の尾道市に滞在していました。
 尾道市の商店街にある書店「紙片」さんで購入したこの一冊。滞在中、足繫く通ったお店で、店主の寺岡さんには大変お世話になりました。(主に尾道の街の暮らしのお話、カメラのお話etc…)
 
 この写真集の著者の仁科さんは、日本全国の市町村を巡る旅をしながら写真を撮影し、一冊にまとめた写真集「ふるさとの手帖」が特に有名な方。
この写真集は数年前に拝読し、僕の故郷の町も紹介掲載されていて嬉しくなった記憶があります。当然尾道も紹介されています。
 そんな全国を旅した方が新たに写真集のタイトルに選んだのは「どこで暮らしても」
 なんだかドキリとしてしまいました。
 移住しようとやってきた尾道。お試し移住で暮らすように過ごしていたさなかに「どこで暮らしても」という文字は僕に鮮烈なまなざしを向けてきました。
 関東に戻っても、広島に住んでも、それは正解なんてなくて、どこで暮らすかは、さほど大切ではない。また本気で住んでみたいと思う時に行動すればよい。そう思うようになっていた僕になんだか寄り添ってくれるタイトルでした。

 そんなこの写真集は仁科さんが東京の街で撮りためたスナップ写真が収められています。
 僕にとって、東京の街は大学時代に夢中で写真を撮った街。だからこそ見たことある街並みがたくさん写っていました。
 そして仁科さんの写真には東京の街でも人間の何気ない日常の様子も一緒に写っていました。
 都心の川辺で釣り竿を垂らすおじいさん。公園でキャッチボールをする高校生。祠のような場所に花を手向ける人。
 たしかに舞台は東京という大都会であっても、人の営みは広島だろうと群馬だろうと、同じようにあってどこで暮らしても「くすり」と笑みがこぼれるようなシーンがあったりするのです。日常に潜む違和感が切り取られている写真も印象的です。

 この一冊は、そんな私的な感情も含みつつ、スナップ写真って楽しいよなあ、と思わせてくれる良さも詰まった一冊でした。


 二冊目はこちら。広瀬すずさんの写真集「レジャー・トレジャー」、撮影は奥山由之さんです。

 ここ一年ほどポートレート写真を撮影する機会が増えてきた中で、女優さんの写真集もよく買うようになったのですが、特に印象に残った一冊です。

 この写真集、どうやらレビューサイト等では評価が真っ二つになっているようで。
 どうやら、女優さんの王道写真集(何をもって王道とするかは難しいが)を期待した方と奥山さんの撮る躍動感ある写真(ピントが甘かったり、ブレている)を求めていた方とで、大きく評価が割れているようです。

 この写真集の存在を知るまで、僕は奥山さんの監督した米津玄師さんのミュージックビデオは知っていたものの、あまり写真の作風は知らずでして、
そんな評価が二分している写真集ってどんななのだろうと完全に興味本位で買ってみました。

 書店から帰宅後、ページをめくり読破。
 率直な感想としては何と言うか、大事なことを思い出しました。
「写真は楽しく撮りたいものを撮ろう」ということを。

 ポートレートを撮るようになって、僕はカメラの「人間の瞳にピントを自動で合わせる」機能や、「手振れしないように補助する」機能に何度も助けられた、と感じるシーンがありました。
 それって撮影においてたしかに失敗は減るのですが、予想していたよりも良かった表情が撮れた、とかちょっと画がブレたけど笑顔が強調された、みたいなマジックは減るのですよね。

 人を撮るなら、その人の素であったり、アドリブで動き回る姿の方が自由でいいな、と。

 と、プロでもなんでもない趣味の範囲の人間が多く語るものではないですが、写真を楽しく撮りたいな、という初心を思い出させてくれる一冊だと思います。
 つい何度も何度もぱらぱらとめくりたくなる、そんな一冊です。

 あと、表紙の包装カバーが非常に良いです。なんと言えばいいのかな。児童書の図鑑とか教科書の資料集についているようなビニールのカバーに覆われていて、それがより手に馴染ませてくれるのかもです。

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