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お盆と香り

こんにちは。香りのコミュニケーターHIROです。

多くの方には8月13日〜15日がお盆だったと思うが、筆者の実家では昨日、住職にお経をあげていただいた。我が家がお世話になり始めた4年前では、お盆の3日間のお勤めは各訪問先での滞在時間は15分〜30分。ここ数年で1日のお勤め濃厚さは薄れたが、その期間は長くなったそうだ。今年は8月1日から数週間かけて訪問していたとのことだった。

我が家に訪問くださる住職は用途や季節でご自身の焼香や線香を特別に調合してもらっている。今年のお盆には「沈香」と深緑の箱に書かれている大阪の香原料屋に直接注文したお香を立てて読経くださった。

少し前、松栄堂銀座店の店主から京都で創られた線香をその昔、京繊香と読んでいたと聞いた。一般に見かける線香より細く、繊維の「繊」を用いた香は安定して、長く芳香するそうだ。今では高級な線香にだけその京繊香を名乗ることができるという。本日、住職が立てたお線香も京繊香と同じように細かった。火がついたそのお線香は、筆者がいつも沈香から感じるコットンキャンディの香りに白檀の清涼感。火をつける前のお線香は鼻を近づけると鬱金のスパイシーさが感じられた。帰りがけに質問させていただき、数本譲っていただいた。

夏の和の香りといえば、蚊取り線香、線香花火、お盆となればお線香。お香との出会いでも記載したが、筆者のお香との関わりは、筆者の母が旅立ち、お線香を立てる習慣がキッカケとなる。仏具用のイメージの強いお線香であるが、少子高齢化、後継者不足などのため仏教(伝統)離れが危ぶまれ、お香販売は先細りする傾向だという。

しかし、近年のお香は仏具用のイメージを変えつつある。日本ではホームフレグランスとして、お香がここ数年見直されている旨は欧米の業界紙Cosmetics Design Asia(英語)にも書いたことがある。

本日もインスタ映えによる精霊馬の進化の話題で住職と会話が弾んだのだが、キッカケはどんなでも、お盆という政を知ってもらい、興味関心を持ってもられば良いのではと。

少し前のデータだが、家族葬が増えた昨今、日本香堂では「お線香で弔慰を示す」贈答用線香という新しい利用シーンの提案で国内での線香の売上は3倍になったという。

また、お香の輸出量は、2017年6月と2019年6月で11% 、2019年6月で4.7%の増加が見られ、年々、増していると言えるのではないか。「和の香り」への探究でも書いたが、お香は(日本以外の国でも古くから存在するにも関わらず)日本だけでなく海外で暮らす生活者にとっても和の香りと捕らえられている。日本の線香が持つ歴史的背景やストーリーの浸透で、独自の価値を持つ商品として認識されるようになった。日本香堂松栄堂など大手業者の海外向け商品が、欧米のニッチな香水の専門店で置かれていたり、いかにも日本的な商品が、今ではルームフレグランスとして世界的に愛用されるようになった。

ちなみに筆者は6月に訪れた淡路島薫寿堂で購入したフランスのブランドが商品化したJINKOHを母に捧げた。

今日も香り満ち溢れる素敵な1日を!

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