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ビジネスと社会貢献と「インパクト」

今日のおすすめの一冊は、馬場隆明氏の『未来を実装する』(英治出版)です。その中から同名の「未来を実装する」という題でブログを書きました。

本書の中に「ビジネスと社会貢献」についてこう書いてありました。

社会貢献とビジネスの関係については、従来から社会的企業やNPOが行っていました。こうした組織のなかには、社会貢献と営利活動を両立させているところもあります。しかし多くはサービスの提供範囲が小さいままで、大きな社会的インパクトにつながりづらい状況にありました。今回の変化の大きな特徴は、社会貢献と営利活動、そして規模の三つを兼ね備えたビジネスが可能になってきているという点にあります。
デジタル技術は、データに基づいたパーソナライゼーションによって多様なサービスを展開できるというメリットもあります。かつてはマスにしか発信できなかった情報を、特定の条件を満たす人にスマートフォンで通知することも可能になりました。これは公共サービスにも適用できます。たとえば給付金を受けられる人だけに通知を送ることもできますし、そのほかの公共サービスについても、必要な人に必要な分だけ届ける、という仕組みが構築可能になりつつあります。
規模を拡大しつつ適したサービスを提供できるのが、デジタル技術の特徴です。そうした特徴をうまく使えば、これまではローカルにとどまりがちだった社会的企業が、日本全国や全世界に価値のあるサービスを提供可能になるかもしれません。そして、多くの人たちに提供することができれば、十分な利益を稼ぎながら社会貢献できるようになるのです。
つまり、非営利企業と営利企業の境目が徐々に揺らぎつつあるということです。社会的企業の研究者たちは、伝統的な非営利企業と営利企業のハイブリッドとしての社会的企業についてこう語っています。
かつては多くの企業が伝統的非営利組織と伝統的営利組織の両極のいずれかだったものが、今は多くの企業が真ん中に当たる「社会的企業」や「社会的責任を持つ企業」であることが可能になりつつあり、そしてそれが社会から要請されるようになってきているということです。
こうして民間事業者(プライベートセクター)と政府(パブリックセクター)、社会的企業(ソーシャルセクター)の、3つのセクターの接近が進む中で、三者の連携も重要性を増しつつあります。そして、すべてのセクターに共通するキーワードとして注目されているのが、「インパクト」という言葉です。
このインパクトの考え方は、ビジネスパーソンにとっても重要になってきています。その背景には、ビジネスパーソンに求められるスキルの変遷があります。2010年代はデザイン思考の本がよく手に取られました。目の前の顧客の潜在的な課題を、顧客への共感とものづくりを通して解決しようとするデザイン思考の方法論は、ユーザーに寄り添う形の問題解決の方法として広まりつつあります。
そもそも課題とは、現状と理想のギャップです。理想がなければ、課題は見つかりません。逆に、良い理想があれば、良い課題や良い問いが生まれます。つまり、課題や問いを見つけるためには、理想を定める必要があります。良い問いを「見つける」というよりも、優れた理想を設定することで、良い問いを「生み出し」、理想を「提示する」ことで人々を巻き込むのです。そしてこの理想が、今注目される「インパクト」と呼ばれるものです。
2020年代を生きる私たちは日々SDGsや気候変動の問題や、地域の社会課題に向き合っていく必要性が高まっています。そうした環境では、そもそも私たちの社会は何を目指すのかという理想像、つまり社会的インパクトを定めることがこれまで以上に求められます。

「インパクト」は理想のことですが、トップやリーダーだけが持てばいいものではありません。その組織に所属する全員が等しく共有しなければならないものです。いわば、「クレド」です。クレドはリッツカールトンが有名ですが、ディズニーランドやスターバックス等、ワールドワイドに展開する企業が持っている行動規範であり、理念です。

クレドには、SDGsの価値観が入っていますし、多様性や、社会貢献、環境保護、そして利益性についても言及されていいます。

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