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読んだり読まなかったりして生きて行く

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読書感想文です。
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読んだり読まなかったりして生きて行く「書楼弔堂 破暁」

読んだり読まなかったりして生きて行く「書楼弔堂 破暁」

京極夏彦「書楼弔堂 破暁」読みましたー。

明治二十年代の半ば。雑木林と荒れ地ばかりの東京の外れで日々無為に過ごしていた高遠は、異様な書舗と巡りあう。本は墓のようなものだという主人が営む店の名は、書楼弔堂。古今東西の書物が集められたその店を、最後の浮世絵師月岡芳年や書生時代の泉鏡花など、迷える者たちが己のための一冊を求め〈探書〉に訪れる。変わりゆく時代の相克の中で本と人の繋がりを編み直す新シリーズ

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読んだり読まなかったりして生きて行く「歌のよこはま」

読んだり読まなかったりして生きて行く「歌のよこはま」

平岡正明「長谷川伸」からのワラシベ読書。昭和54年、横浜開港120年を記念して、NHK横浜局で制作放送した「歌で綴る神奈川百年」を元に、明治、大正、昭和の時代や世相を移す横浜(湘南、三浦)を歌った曲を取り上げる。「ノーエ節」から「光あらたに(神奈川県民歌)」(←聴いたことなかった!)まで。40年以上前なのだなあこれ。ワタクシは学生でした。横浜なんて、行ったこともなかった(遠い目)。特に興味深かった

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読んだり読まなかったりして生きて行く「犬の肖像」

読んだり読まなかったりして生きて行く「犬の肖像」

平岡正明「長谷川伸」からのワラシベ読書で岡庭昇「犬の肖像」読了。大衆小説のうち、著者曰く「佐幕派の心情」を特に描いた作家たち(司馬遼太郎、黒岩重吾、大藪春彦、五木寛之、山田風太郎、城山三郎、柴田錬三郎、西村寿行、筒井康隆、川上宗薫)の作品について詳細に語る。それぞれの作家の全盛期(80年代)に出た本だから、その後の作家たちについて著者がどう感じたかは非常に興味深い。黒岩重吾、城山三郎、川上宗薫はま

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読んだり読まなかったりして生きて行く「悪魔くん」「長谷川伸」

読んだり読まなかったりして生きて行く「悪魔くん」「長谷川伸」

地元の図書館で、除籍本を放出しているのを見ると、これ以上自宅に本が増えてもなあ……と思いつつついつい手が伸びてしまいます。今回手を伸ばしたのは、角川文庫版の「悪魔くん」です。貸本時代の作品の復刻版となります。

水木しげるの代表作であり大傑作「悪魔くん」。その原点である貸本まんが版がついに文庫で登場! 十万人に一人といわれる頭脳の持ち主「悪魔くん」こと松下一郎少年が、古代の秘術を駆使して悪魔を呼び

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読んだり読まなかったりして生きて行く「千恵蔵一代」

読んだり読まなかったりして生きて行く「千恵蔵一代」

映画評論家田山力哉(奥付けのところに著者名のふりがなが括弧内にあって、「たまや りきや」と誤植されてて韻踏んでた)による実名小説。初版は昭和六十二年。このころは著者の住所がはっきり奥付けに書いてあって震えますな。しかしこういう内容の本は参考資料がほしい。いわゆる映画スターとして映画を極めたお山の御大も、家庭は恵まれなかったのだなあ。葬儀の際のあれやこれやがなかなかにキツイです。巻末の出演映画一覧が

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読んだり読まなかったりして生きて行く「日本の芸談6」「赤江瀑の世界」

読んだり読まなかったりして生きて行く「日本の芸談6」「赤江瀑の世界」

「日本の芸談6」は下北沢の古書店で見かけた本で、人生の終末を控えているんでなるべくお家にお迎えするものは減らしたいわけ(そんなこといいながらこないだも高橋葉介センセの本買いましたけどね!)で、気になった本はメモして図書館で探す、ということをやるようにしております。収録されているのは、“目玉の松ちゃん”こと尾上松之助、サイレント時代からハリウッドで活躍した上山草人、浦辺粂子、「喜劇の神様」斎藤寅次郎

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読んだり読まなかったりして生きて行く「ROCA 吉川ロカストーリーライブ」

読んだり読まなかったりして生きて行く「ROCA 吉川ロカストーリーライブ」

これは、ポルトガルの国民歌謡『ファド』の歌手をめざすどうでもよい女の子がどうでもよからざる能力を見い出されて花開く、というだけの都合のよいお話です。

「ドーナツボックス」や「ののちゃん」にときどき登場していた(らしい。知らなかった(´Д` ))「吉川ロカ」の物語を、描き下ろしも入れてまとめた大河的4コマ漫画。漫画家としてはすでに巨匠と呼んでも差し支えない存在であるいしいひさいちの、一般の書籍流通

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読んだり読まなかったりして生きて行く「元素生活」「凶手」「つけびの村」

読んだり読まなかったりして生きて行く「元素生活」「凶手」「つけびの村」

「元素生活」は、世界を構成する118種の元素を、可愛らしいイラストでわかりやすく解説する手元に置いておきたい文庫図鑑。これ文庫化されたのが7年前なので、現在は新たな元素も出て来ているかも。アクチノイド類の元素とかほぼほぼ人工のものっていうのが驚きです。

大好きなアンドリュー・ヴァクスのノンシリーズもの「凶手」は、好きなあまり原書を入手して読んだりもしたのでした。今回、ふと思い立って再読しました。

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読んだり読まなかったりして生きて行く「腹話術」「仮面少年」「キャバ嬢はじめました2」

読んだり読まなかったりして生きて行く「腹話術」「仮面少年」「キャバ嬢はじめました2」

古本屋が好きで、初めての駅に降りると近くに古本屋がないか探すのが以前の習慣でしたが、知命を過ぎてモノ(ワタクシの場合は本ですね)を残すのは少し控えめにしようと思ってはいるのですが、なかなか衝動を抑えることが出来ないでいます。

また買ってしまいました。

下北沢の茶沢通り沿い、スズナリの手間にある古書ビビビで見つけてしまった高橋葉介「腹話術」「仮面少年」、朝日ソノラマのサンコミックスですよ!「ヨウ

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読んだり読まなかったりして生きて行く「ジーキル博士とハイド氏」4冊

読んだり読まなかったりして生きて行く「ジーキル博士とハイド氏」4冊

まんがで読破「ジキル博士とハイド氏」
岩波少年文庫「ジーキル博士とハイド氏」
ポプラポケット文庫「ジキル博士とハイド氏」
光文社古典新訳文庫「ジーキル博士とハイド氏」

8月の活弁上映会「ひとりのビッグショウinピカイチ」で上映したのは「狂へる悪魔」という映画で、原題は「Dr. Jekyll and Mr. Hyde」そう、二重人格者を主人公にしたスティーブンスンの小説です。原作はうっすら読んだ記

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