12月の鎮魂

君を捨てた。
ひどくあっさりと。冷酷に。

君が使い物にならなくなったからだ。
嫌いじゃない。
できれば一緒にいたかった。

君を見初めた日、私達は幸福だった。

今は小さな袋の中で眠る君のすすり泣く声が、どこにいても耳から離れない。

何のために生まれてきたのか。
何のために生み出されたのか。
少なくともこうやってあっさり捨てられるためではなかった。

君の涙を食べた。

生まれたての君は胸に希望を抱いて私達の町へやってきた。
君を見初めたのは私だ。
私には責任があった。

使い物にならなくなるまで君はどれくらい叫んだだろうか。
生かして、生かして。
そんな魂の言葉をなぜ受け取れなかったのだろう。
君の本望を叶えられなかった。

君を見初めた私は、君を見殺しにした。

息をしなくなった君は今も、小さな袋の中で泣いている。

じきにその声も聞こえなくなる。

せめて繰り返さないよう。
せめて君のあとに同じ悲劇が続かぬよう。

12月の朝。
白い息を吐きながら君を見初めた場所へ向かう。

生をまっとうした君の仲間のかけらを捧げよう。
それがせめてもの償いになるのなら。

すすり泣く声も止んでしまった君のために空に祈る。
どうか救われますように。

どうか救われますように。

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