なれの果て 少女地獄
薄い少女は
ツルツルの氷原で
終わらない縄跳びをつづけていた
少年は夜の砂漠を尺取虫のように進む
「電車が嫌い」
「電話が苦痛」
「顔を触られるのが嫌」
「脇の下に鬼がいる」
地下クラブのヒキガエルは踊りつかれ
とろとろに溶けた
羅刹たちは口早に二人の病名を告げる
「お母さんに愛されたかった」
「お父さんは見たことがない」
「友達に恵まれた」
「別にいつ死んでもいい」
退学にならないようにテストは頑張った
アイドルに会うためにプライドと時間を売った
インバウンドの外国人にいい加減な日本語を教えている
突然大金をもらってアムステルダムからブエノスアイレスに行くことになった
その後の二人を見たものはいない
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