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経験こそがブランド価値を高める 〜新価値創造の鍵は顧客体験にあり

✔︎ モノの価値は購入時がピーク。経験は時間とともにその価値を高める
✔︎ 背後にあるストーリーを伝え、経験を提供することで、顧客との深い関係を築ける
✔︎ 顧客体験をデザインし、ブランドコミュニティを築けば、持続的なビジネスが構築できる

#イノベーション #顧客体験 #ブランディング


◼︎ モノは、買った時がピークで、次第に満足度は低下する

現代社会にはモノが溢れている。ガジェットやファッション、インテリアなど、どんなジャンルでも次々と新商品が登場し、スマートフォンを通じて日々触れるマーケティング・メッセージに心を惹かれ、物欲がかきたてられる。

しかしそれは、購入した瞬間に一番の満足度のピークとなる。新しいスマートフォンを手に入れたときの興奮や、高級な時計を買ったときの満足感は、その瞬間が最も大きい。

時間が経つにつれてその満足度は徐々に下がっていく。買ったモノに慣れれば新鮮さが失われる。その価値を当たり前と感じるようになる。

そしてまた、より多くの機能やスペック、はたまたまた違うジャンルのモノを求め始める。そうして終わりのない購買欲求のループに入る。

メーカーも新しい商品を次々と発売することで、「計画的陳腐化」を図り、人々を購買欲求のループへと迷い込ませる。

◼︎ 経験は、思い出補正で次第に価値が高まる

経験や体験はモノとは異なり、時間が経つごとにその価値が高まる。

旅行先での美しい風景、友人との笑い合う時間、新しいスキルを習得する達成感などは、時間が経つほどに思い出補正がかかる。

経験は心の中で何度も反芻され、そのたびに自分の中でポジティブに変化していく。そして、その体験が自分の人生の中で意味を持つようになる。

経験を通して得たスキルや知識、人間関係などは、自分自身の成長に直結し、次なる挑戦や人生の目標に向かうための糧となる。

◼︎ 顧客の「体験」をデザインすれば、ブランド価値は高まる

顧客の体験を軸に、単なるモノの販売ではなく、「サービス」として事業スキームを再設計すれば、ビジネスの長期的な成長と持続的な利益創出を実現させることができる。

単にモノを売るのではなく、顧客がそのモノを手にしようとするシチュエーションを理解し、そこに対して経験やストーリー、ブランドコミュニティの構築などに重点を置くことで、価値観やブランドイメージを伝え、そこに顧客を取り込むことができる。

単なる製品以上の体験が、顧客にポジティブな感情を継続的にもたらすことになり、それがひいてはリピート顧客を増やし、コミュニティやファンベースを作ることにも繋がる。

サブスクリプションサービスや体験型プログラムは、顧客に価値ある経験を提供することで定期的な収入源を確保できる一例だ。継続的なコミュニケーションによって、商品の背後にあるストーリーを効果的に伝えたり、購入後のサポート体験を向上させたりすることできる。

イベントやワークショップを開催し、ユーザー同士の交流やブランドのメッセージを広める場を提供することも、顧客に一体感を感じさせる強力な戦略だ。顧客が自らブランドのアンバサダーとなり、口コミで広げてくれるような経験をデザインすれば、広告費を抑えつつ、ブランドの信頼性を高められる。

顧客にとって思い出に残る経験は、製品の単なるスペック以上に、彼らの心に響き続けるものだ。

◼︎ 価値の本質を見極めよう

モノは購入時がピークであるのに対し、経験は思い出補正で価値が高まる。

それに気付いた顧客はすでに物質的な所有よりも、自己成長や人とのつながり、心が豊かになる経験に投資することで、より満たされた人生を送ることを望んでいる。

それを理解し、モノから経験へと焦点を移すことで、顧客との深い関係を築き、持続的な収益モデルを作ることができる。製品の背後にあるストーリーや、顧客との共感を生むコミュニティを構築することで、競合との差別化を図り、ブランドを確立することができる。

モノの販売に固執するのではなく、顧客がそのモノを通じてどんな経験を得たいのかに目を向けることで、より豊かな体験を提供することができるのだ。価値ある新規事業創出は「顧客体験」によって成される。


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