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民主主義への挑戦?

民主主義への挑戦、、、って言葉をよく聞くようになってしまった。

めっちゃ違和感のある言葉です。

わかってるの?民主主義。

私的にはこれまで「民主主義」についての漫画を描いたり、先だっての「伊丹堂のコトワリ」という対話集でも民主主義について書いたところでした。

そんな私にしてみれば、「民主主義への挑戦」というのは、どっちかといったらいい意味、すなわち、「民主主義を実行することへの挑戦」という意味になります。

ようするに、民主主義とは日々の実行である、という小室直樹さんの言をよく引き合いに出しますが、「民主主義」というものは既存の、現に確固として存在しているモノではなく、日々人々が実行するという意志によって成り立つコト、なんだということです。

民主主義がすでに、確固としてあるのではなく、つねに、いまだに確固としては存在していない、という意味は、簡単にいえば、民主主義は単に多数決ではない、ということ。たんに多数決であれば、古代の民主制というものでしかないです。

どこが違うかというと、現代の民主主義というのは、単に私利私欲を持ち込むのではなく、いったん自分の利益からはなれて「全体の利益」を考え、議論をすることによって、モノゴトを決めるという手続きをふんではじめて多数決という結果に至る、ということなわけです。

これは自分の私利私欲をはなれて、物事を論理的に、分析的に見る、ということですから、まさに「あえてそうしなくてもいいにもかかわらず、そうする」という倫理的な意志がなくてはできないことです。

カント的にいえばこれは要請されている、ということです。民主主義であろうとする限り、それ(倫理的な態度)は、必ずついて回るというか、要請されている。ロールズの「無知のヴェール」を自ら被ることが要請される。

そんなことできるか!って声が聞こえそうだけど、だからこそ「挑戦」だし、日々の実行なくして民主主義はない、わけです。

それを知らないわけですよね。「民主主義への挑戦」と軽くいう人は。

ま、民主主義を日々行なっていない人でしょうね。

【追記】上に掲載した画像は、2000年の6月におこなわれた国政選挙に際してネットで公開したマンガ「民主主義で行こう!」の扉絵です。いまでも私のサイトで読めます。


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