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それでも息子にサッカーさせたい?

息子にはサッカーをして欲しい。そう思っている親は多いと思う。私もその一人だ。サッカーの試合はワールドカップで日本チームが出た時、お祭り騒ぎに便乗して見る程度だし、ルールも知らない。ボールが転がっていても、蹴ろうともしない。それなのに、息子にはサッカー、なのである。

サッカー少年は得てして爽やかだ。チーム競技なので社交性もある。勝って喜んだり、負けて悔しがったり、スポーツを通して喜怒哀楽を経験し、人間関係を学び、スポーツ以外の場でも勝負に挑める人になって欲しい。辛抱強く練習に耐え、悔しい思いをしても固執せず、さらりと次に行ける強靭な精神を身につけて欲しい。そういった希望をサッカーに詰め込んでいる。

日曜のサッカークラスは今回で3回目。今日も何が気に入らないのか、息子は輪に入らない。準備体操もしない。ふざけて私にまとわり付くか、クラスから離れて走り回っている。他の子供達はコーチの言うことを聞き、練習に励んでいるが、うちの子だけ参加せず、フラフラ逃げ回っている。なんとかクラスに参加させようと私も一緒にボールを蹴ったりするが、うまくいかない。コーチもやる気の無い息子は無視だ。他の親の目も気になるので、あえて目を合わせないようにする。泣けてくる。

クラスも後半に入り、息子に「終わったらおもちゃを買うから今回だけ参加して」と懇願する。「おもちゃ、約束だよ」と言って急に顔を輝かせて、そそくさとチームの中に入っていく息子。その後は最後までボールを追いかけた。賄賂(おもちゃ)を使わないとやらないのか、とまた泣けてくる。

クラスが終わり、子供達が散り散りに帰っていく。息子がこうだから、他の親御さんに話しかけるのも気が引ける。コーチも私たちに何の声かけもしない。「この素人め!」と心でコーチに悪態をつく。しかし心は敗北感一杯でグラウンドを後にする。

帰り際息子に「サッカーを続けたい?」と確認すると、「やりたくない」と即答した。答えはわかっていたが、これまでサッカーを手放す勇気がなかった。今年前半は良いコーチに就き、一生懸命ボールを蹴っていたから、才能あるかも、と期待していた。でも今回で一旦サッカーのクラスは辞めにしようと思う。無理に続けてもお互いストレスが溜まる。

爽やかにサッカーをする子供達を横に、一人フラフラ行動している息子はある意味個性的だった。私と一緒で息子も集団行動が苦手なのかもしれない。自分もチーム競技が苦手なくせに、息子には爽やかなサッカー少年になって欲しい、と夢を押し付けていた。

息子は何に興味があったか改めて考えてみる。誰が勧めたわけでもないのに、息子はスケボーに興味を持ち、コツコツ練習を重ねていた。「え、スケボー?(なんの得にもならず、むしろ「不良」になるかも)」と思い、あまり今まで積極的に練習に付き合ってこなかった。あと興味があるのはウルトラマンとティラノザウルス、新幹線…。

今まで私は自分が見たい息子の像を見ていただけなのかもしれない。ありのままの息子をもう一度よく見てみる必要がありそうだ。

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