吟遊詩人。ぎんゆうしじん、と読みます。
詩曲をつくり、
各地を自由に旅して広めた者です。

本記事では、この
吟遊詩人について書いてみたい、と思います。

中世のヨーロッパでは、
「トルバドゥール」や「ミンネジンガー」と
呼ばれる吟遊詩人たちが
各地を旅して回ったそうです。

「騎士物語」などを披露して、
各地の住民たちを楽しませました。
ただし、騎士たちが主人公であった
中世が終わるにつれて、
次第に彼らも姿を消していった、とのこと。

いっぽう、庶民の間で
「放浪の楽士」として音曲を広めていたのが
「ジョングルール」と呼ばれる者たちです。

ただしこちらも、中世が終わるにつれて
市民が裕福になっていくと、
「固定開催」のイベント等で
活躍するようになっていきました。

「流浪の楽士」とは言えなくなった。

国境があって無いに等しい中世ならともかく、
国境が厳密に定められていくにつれて、
吟遊詩人たちは自由に旅が
出来なくなった、とも言えるでしょう。

…このように「吟遊詩人」と一口に言っても
実はさまざまな種類がいるものです。
千差万別。

他の国や地域でも、このような
吟遊詩人的な存在は、いました。

例えば日本で言えば「琵琶法師」ですね。
そう、べべんと琵琶を弾きながら
平家物語などを語って歩く僧侶たち。

…フィクションの世界まで見てみれば
それこそ星の数ほどいます。

一番有名だと思われますのが
『ムーミン』に出てくるあの人です。
そう、スナフキン。
彼は「永遠の旅人」と言われます。
世界中を旅して回り、春の間だけ
ムーミン谷を訪れるのです。

それっぽいことを口にしては
気ままに音楽を奏でる自由人です。

ゲーム『ファイナルファンタジーⅣ』には
「ギルバート」という
「王族にして吟遊詩人」をしている
キャラが出てきます。

とにかくヒットポイントが低いんです。
敵の攻撃を受けると勝手に「かくれる」。
（子どもリディアは戦っているのに…）
シリーズでも有数のヘタレキャラです。

ですが、それゆえに、彼が勇気を出して
中ボスを倒すときに活躍する
エピソードは、感涙ものです。

…と、ここまで昔の吟遊詩人について
書きましたが、
今の現代に吟遊詩人はいないのでしょうか？

…いや、たくさん、いますよね。

例えば、SNSでポエミーなことをつぶやく人。
YouTubeを見てみれば
「歌ってみた」などのハッシュタグで
己の歌声を披露している人が、ぞろぞろ。
ティックトックなどはさながら、
「歌って踊れる吟遊詩人のたまり場」です。

そう、現代は「ネット吟遊詩人」の時代、
とも言えるのです。
七十億総吟遊詩人！
ネット上でみな、旅をしながら
自分なりの音曲や物語を紡ぎ、表現している。
そういう、時代なんです。

…ですが、それがゆえに。

そのあまりの多種多様さに恐れをなして、
自分の投稿、物語や表現に自信を無くし、
「自分なりの表現を出しきれていない
吟遊詩人未満の人」も
たくさんいる、のではないでしょうか？

そのように思い込んでしまいがちなのです。
自分なりの表現を出せずに、
「見る専」「聞く専」で終わってしまう人。

トルバドゥールたちが
いつの間にか消えてしまったように、
いつの間にかSNSから姿を消す人も多い…。

しかし、あなたの物語は、
灰色などでは、ない。

私は、そう言いたい。

たとえ自分の「主観」においては
取るに足らない灰色の日々だとしても、
「他の誰かの主観」から見てみれば
とても瑞々しく色彩にあふれた物語、
かもしれないのですから。

そう思って（思い込んで？）
前向きに、恐れずに、
自分なりの表現で紡いでいく。

勇気を出して、中ボスに立ち向かっていく！

その精神が、SNSの運用、投稿には
必要なのではないでしょうか？

最初のうちは、こんなものを食べました、
こんなことを感じました、
だけでもいい、と思うんです。
あなたのありふれた日常は、
誰かにとっては
とても新鮮なのかもしれません。

たとえご自身のその身体が、
日々の暮らしのため容易には動けなくても、
ネット上であれば
自由に旅することができる！

…かく偉そうに書いている私も、
2019年になってようやく
SNS投稿を始めた新参者です。

最初は本当に恐る恐る投稿していました。
今でも、自信はありません。
ですが、自分なりの表現を書いていくうちに、
ちょっとずつ、慣れてきたのです。

「インフルエンサー」と呼ばれる
凄い人たちだって、
最初はそうではなかったでしょうか？
誰しも、最初は初心者、なのですから。

…本記事の最後は、
スナフキン大先輩からの
ひとことでまとめましょう。

※本記事は以前に書いた記事のリライトです↓
『自分なりの「吟遊詩人」』

合わせてぜひどうぞ！