伊藤詩織さんはDRD(デートレイプドラッグ)を飲まされたのか。

伊藤詩織さんが勝訴した。とても、嬉しい。
この判決について日本の司法はまだ腐ってはいないのではないかと思える出来事だった。三権分立やら第四の権力だなんてものが幻と思えていたが、司法の独立性があることを僕は喜んだ。
この事件についてはにわかに過ぎないが、Hanada プラスに掲載されていた山口敬之氏の手記を読んで、吐き気を催すほどの憤りを感じていた。
山口敬之氏は性的合意があったと言う。しかし、それを証明しようと伊藤詩織さんの失態(本当がどうかも証明できず、あくまでも氏が語るだけの醜悪なもの)を全世界に向けて発信する行為は卑劣であると感じた。

まとめサイトを見ても中傷が絶えず、特定の層からの誹謗を受け、それでも挫けずに勝訴を掴み取った伊藤詩織さんの勇気と生命力には敬意と賛辞しかない。

さて、そんな中で僕が疑問に思ったのはデートレイプドラッグについてだ。医薬品に関しては、一般の方よりも詳しいはずなので、この部分に関してだけ僕は引っかかっている。
まず、伊藤詩織さんが飲酒の結果、前後不覚になったことは間違いがないと思う。
それは、本人、そして山口敬之氏の証言からも伺える。
これ自体が不自然なことだと思う。伊藤詩織さんはピアノバーに勤めていた経験がある。日本的に言えば、ホステスの経験と言い換えていいかもしれない。
つまり、日常的にアルコールを摂取する機会にある人間が自分の限界量も知らないことがあるのだろうか?という疑問だ。
だからこそ、伊藤詩織さんも当時の自身の状態に関しても薬物の介入を疑ったのだろうと思う。

デートレイプドラッグとして、一般的に用いられているものとしてはフルニトラゼパムがある。意識が朦朧、記憶障害などを引き起こし一見しては今回の件に合致する医薬品ではある。しかし、この医薬品は青色の着色料をしており、酒に混入されていれば色ですぐわかる。カクテルであればわかるが、今回飲んだとされるワインや日本酒では不自然さが出てしまう。何より、フルニトラゼパムをアルコールと摂取したら、翌日までの記憶は吹っ飛ぶぐらいなので途中の記憶を伊藤詩織さんが保っていたことから考えると、該当薬剤ではない印象を受ける。意識が朦朧とする薬剤にはケタミンもあるが、これは入手が困難になる。

このことから、デートレイプドラッグのカテゴリに入るものを山口敬之氏が使ったという部分に関してだけは僕は疑問が残る。
ただ、同時に伊藤詩織さんが二件めで潰れる程、我を忘れるほど飲酒したのかということについても疑問が残る。根拠としては嘔吐の回数だ。二件目の寿司屋で嘔吐し、連れ込まれたホテルでも二回、嘔吐(山口敬之氏の手記によると)している。これは、明らかに多量飲酒の症状であり、日常的にアルコールを摂取する機会があった人が陥る症状としては不自然だ。

つまるところ、僕としてはシアナマイドの関与を疑っている。
俗に言う抗酒剤だ。
摂取すると、酒の分解酵素が効かなくなり悪酔いする医薬品だ。
これならば、臨床症状にも当てはまるし少量をこっそり入れることも可能な気がする。入手もフルニトラゼパムよりかは簡単な気がするし。
立証は不可能だろうだが、可能性の一つとしてはあり得る気がする。

僕は今回の判決については何の疑問も抱いていない。
年齢、性別、立場において優位な人間が性的合意があったと言う醜悪な現状は度し難い。仮に万が一、山口敬之氏が言うように「お詫び」のために性的な関係を持ちかけたとしても、それが性的合意になるとは思わない。そんな状況に持っていった男の卑劣さが浮き彫りになるだけだ(実際はそんな状況にすらなっていないだろうと思った上で)。
そこに仮に医薬品が介在したとすれば、生業にしている僕としては、もう本当にふざけるなとの気持ちになるだけだ。

最後に、この裁判における伊藤詩織さんの勇気と生命力と彼女が持つ全てに、改めて敬意と賛辞を表させて欲しい。
この国がこれまで培ってきてしまった誤った価値観、固定観念、性差別に対して、堂々と戦ってくれた人にこそ、国民栄誉賞を受賞させるべきなのではないかと思う。きっと、今の内閣ではないんだろうけれども。

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