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3つのデータ分析基盤が”顧客と繋がる”架け橋に!?DXでヤマハの新しい未来を創り出せ!〜DX事例51_ヤマハ発動機株式会社〜

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回はモビリティからです。オートバイを中心として、電動自転車やにモーターボート、スノーモービルなどの幅広いモビリティ製品を製造販売しているヤマハ発動機株式会社のデータ分析のDXです。


3つのデータ分析基盤で、お客様ともっと身近に繋がる!?ヤマハ発動機のDX事例

ヤマハといえばピアノなどの楽器やオーディオ製品を製造しているメーカーですが、そのモーターサイクル製造部門が1955年に分離独立したのが「ヤマハ発動機」となります。そんなヤマハ発動機のDX事例についてご紹介します。


①バイクとアプリが繋がり、様々な車体情報がアプリで閲覧可能。アプリ「Y-Connect」とデータ分析基盤「DAP-IoT」
コネクテッドカーのバイク版となります。ヤマハ発動機は2020年2月にインドネシアで同アプリ「Y-Connect」をリリースしました。このアプリは対応するバイクとペアリングすることにより、車両の燃費管理やオイル交換のメンテナンスタイミングなどの様々な情報をアプリ上で知ることができます。

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ヤマハ発動機株式会社「Y-Connect」より抜粋

基本的な機能としても、「燃費管理」「オイルやバッテリーのメンテナンス時期のお知らせ」「最終駐車位置の情報」「故障時の指定メルアドへの発報機能」「タコメーター情報の閲覧」などの機能があり、アプリから車体情報をリアルタイムで閲覧できます。また、スマホとバイクが連携することで、バイク側のメーター上に電話やSNS通知を表示することも可能になっています。


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ヤマハ発動機株式会社「Y-Connect」より抜粋

コネクテッドしたバイクから得られる情報は、ヤマハ発動機が構築しているコネクテッドデータ分析用基盤「DAP-IoT」に蓄えられ、オイル交換の時期や、燃費が向上する運転方法など、利用者が喜ぶ情報やおすすめ情報をお客様にフィードバックしていくことが可能です。

現在対象機種はスクーターである「NMAX」1機種のみとなっていますが、ヤマハ発動機は2030年までにすべての製品をコネクトする計画と語っており、バイクだけでなく電気自転車やモーターボートなどの製品にもコネクテッド化を進めています。


②工場の製造情報や顧客マーケティング情報データ分析する基盤を構築。「DAP-FA」「DAP-MKTG」
まとめて2つの基盤をご紹介します。ヤマハ発動機は先程の「モビリティとのコネクテッド系データ基盤(DAP-IoT)」だけでなく、「製造工場の生産性向上・自動化用の製造系データ基盤(DAP-FA)」、「顧客向けマーケティング系データ基盤(DAP-MKTG)」の構築も進めています。

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ヤマハ発動機株式会社「統合報告書2021」より抜粋

上図のように、それぞれの用途向けにデータ分析基盤DAP(Digital Analytics Platform)を構築しており、2020年にこの3つの基盤は稼働を開始しています。

製造系データ基盤(DAP-FA)では、工場内の監視や搬送、作業、検査におけるあらゆる製造活動のデータを集約します。ヤマハ発動機はモビリティを製造する会社なので従来から生産性は非常に高いです。ですので、理論上は一番効率の良い生産性指標である「理論値」と実際の「実効値」の差異を可視化することで、差異の原因の洗い出しや改善活動に繋げることが可能になっています。

また、マーケティング系データ基盤(DAP-MKTG)では、顧客が閲覧した商品ページや閲覧頻度などの、Webから得られる閲覧データから顧客のニーズを分析します。この分析により顧客一人一人にあわせたWeb広告を展開したり、イベント来場時には販売店側に見込み客の情報を伝えることで、イベント時の接客活動に活かすことが可能になるとのことです。

これらのデータ基盤は「車体の号機ナンバー」や「顧客ID」で紐付けることも可能であり、基盤同士を連携することで更に高度なデータ分析も可能になります。


DXと経営戦略の関連性について

ヤマハ発動機は長期ビジョンの実現に向けて「Yamaha Motor to the Next Stage」を掲げ、デジタル技術とデータを活用したDX戦略を推進しようとしています。

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ヤマハ発動機株式会社「統合報告書2021」より抜粋

今回DX事例で紹介したのはY-DX2「今を強くする」の取り組みとなり、4つの重点施策である「コネクテッド」「デジタルマーケティング」「スマートオペレーション」「データ分析」を実現するために、3つのDAP基盤(DAP-IoT/DAP-FA/DAP-MKTG)を構築しました。

またそれ以外にも、Y-DX1「経営基盤改革」はグループ会社である国内25社、海外111社の経営情報をグローバルに連携できるデータベースの構築、共通のERP導入を進めています。

最後のY-DX3は「未来を創る」となります。

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ヤマハ発動機株式会社「統合報告書2021」より抜粋

このDX3はそこまで具体的な活動は実施できていませんが、ヤマハ発動機を購入してくれている顧客だけでなく、「購入はしていないがヤマハ発動機の製品は知っているお客様」や「そもそもヤマハ発動機自体を知らないお客様」に対して働きかけていく取り組みです。

異業種とのコラボレーションや、他者との共創活動などのこれまでにないチャネルやコラボレーションを行うことで、新しいお客様と”つながり”ながら、新しい未来を創造するためにヤマハ発動機は活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
ヤマハ発動機の情報を調べるにあたって、「ヤマハらしさ」という言葉がよく出てきました。自社の個性やチャレンジ精神のことをヤマハ発動機では[発・悦・信・魅・結]の5文字で表しているそうですが、DXによって生み出された時間的なゆとりを、この”ヤマハらしい”クリエイティビティな活動に充てたいとのことです。

また、今回は「繋がる」というキーワードも多かったですね。データを集め分析をすればするほど、顧客のことも自社のことも分かってきます。そう考えると、データ分析とは「会社と顧客がもっと身近に繋がる」ための取り組みと言えますよね。

飲食業などのリアルで対面するサービスは「非接触」や「非対面」が重要ですが、ITの活用で「非対面だけど顧客と密接に繋がる」ことが可能になってきました
引き続きタナショーも、もっと皆さんと”繋がる”ためのDX事例をお伝えしていきますね!
タナショー


参考にさせていただいた情報
ヤマハ発動機株式会社 HP
https://global.yamaha-motor.com/jp/
ヤマハ発動機株式会社「統合報告書2021」
https://global.yamaha-motor.com/jp/ir/integrated-report/integrated2021/pdf/YMC_AR_J_2021_ALL.pdf?20210727
ヤマハ発動機株式会社「長期ビジョン新中期経営計画(2019年-2021年)」
https://global.yamaha-motor.com/jp/ir/management/mtp/pdf/2019/2019medium-plan.pdf
ヤマハ発動機株式会社「【ニュースレター】スマートファクトリー化を加速する独自の解釈」
https://news.yamaha-motor.co.jp/2021/021293.html
TECH PLAY「ヤマハ発動機、2030年までに全製品をコネクトするデジタル戦略を語る ~海外DX事例、コネクテッド基盤、デジタルマーケティングetc.~」
https://techplay.jp/column/1487
ヤマハ発動機株式会社 採用ページ「ヤマハらしさとは」
https://global.yamaha-motor.com/jp/recruit/brand/

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