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[DX事例60]AIが飲料水のパッケージデザインを自動生成!アサヒのAIを活用したDX_アサヒグループホールディングス株式会社

ITコンサル×パートナーCFOのタナショーです。

このnoteではDX事例やIT活用事例の紹介を通して、経営者の方がITを身近に感じたり面白いと思ってもらえることで、企業の成長に役立つ情報をお届けしていきます。

今回はビールメーカーからです。日本の大手ビールメーカーで、ビール、飲料水、食品事業などを展開するアサヒグループホールディングス株式会社のAIを使ったDXです。


AIが商品パッケージを自動生成して、商品の陳列棚割りレイアウトも自動生成?アサヒのDX事例

アサヒといえばアサヒビールですね。最近ですと、アサヒスーパードライの生ジョッキ缶が大変な人気を博しました。ジョッキのような泡を楽しめるのが人気の秘訣ですね。
そんなアサヒのDX事例をお伝えしていきます。


①AIが商品のパッケージデザインを自動生成「AIクリエイターシステム」
飲料水に限らず、商品を選んでもらう要素として商品パッケージのデザインは非常に重要ですが、そのデザインをAIが自動生成するという取り組みです。

アサヒは2020年3月から株式会社Cognet Labsと協業し、飲料パッケージを自動生成する「AIクリエイターシステム」を共同開発しています。

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アサヒグループホールディングス株式会社「最新トレンドを反映し優れたパッケージデザインを生成する「AIクリエーターシステム」を共同開発」より抜粋


「AIクリエイターシステム」は「デザイン生成システム」と「デザイン評価システム」で構成されています。
デザイン生成システムでは、世の中のトレンドを反映した多様なデザインデータをインプットすることで、求めるコンセプトに応じたデザイン案をAIが自動生成します。デザイン評価システムは自動生成されたデザインを評価するシステムとなっており、AIがデザインの自動生成から評価までを一気通貫で行うという珍しいシステムとなります。

顧客の多様性がますます複雑化していく昨今、トレンドに即したデザインパッケージを作り出すことが困難となっています。ですが、このAIクリエイターシステムを活用することで主観に左右されず、顧客の心に響くデザインをタイムリーに生み出すことが可能になったと報じています。


②商品の棚割りレイアウトをAIが自動生成「棚割り自動生成システム」
先程はAIがパッケージをデザインしましたが、今度は棚割りレイアウトを自動生成します。アサヒは株式会社PKSHA Technologyと協業し、個店の売り場に合わせた棚割り生成工程を自動化するシステム「棚割り自動生成システム」を共同開発し、2021年の11月よりテスト運用を開始します。

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アサヒグループホールディングス株式会社「AIを活用した棚割り自動生成システムの導入を開始 」より抜粋


棚割り業務とは、売り場の陳列棚にどの商品を並べるか決める作業を指します。陳列のしかたによって顧客が商品を手に取るかどうかが変わるため、いかに購買を喚起する棚割りにするかが重要なポイントです。さらに、売り場のレイアウトによって最適な棚割りも変わってくるため、従来は熟練者が勘と経験によって行っていた業務であり、アサヒグループ内でも年間約2400時間の手作業が発生していました。

今回、この棚割り自動生成システムを導入することで、棚割り業務の約65%を自動化・削減する見込みとのことで、アサヒ飲料社以外のグループ会社にも展開していく予定です。アサヒは本業務の自動化による余剰時間を活用し、営業活動の強化や顧客の課題解決への取り組みに注力していきたいとのことです。


DXと経営戦略の関連性について

アサヒは中期経営方針の充填課題の一つに「新たな成長源泉の拡大に向けた経営資源の高度化」を挙げており、その実現に向けてDXの加速を進めるとしています。

今回登場したAIの活用だけでなく、顧客データをグループ横断で活用する取り組みとして「Digital Experience Platform」の構築プロジェクトも進めています。

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PRTIMES「「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020」選定 前身の「攻めのIT経営銘柄」から6年連続での選定!」より抜粋


「Digital Experience Platform」とは、カスタマーエクスペリエンス(CX、顧客体験)を向上させるためのプラットフォームであり、CRMの発展型でもあります。顧客データや顧客との接点(タッチポイント)を通して、いかに顧客に対して新しい価値や体験を提供できるかを目的としています。

アサヒは国内の種類・飲料・食品事業のグループ会社が保有している顧客データをもとに、消費者の行動をグループ横断で分析することで、顧客ニーズに合った商品開発や売場づくりを展開しようとしています。消費者のライフステージに寄り添った新しい価値を提案していくことで、アサヒは顧客に寄り添った”Only One企業”を目指して活動を続けています。


まとめ

いかがでしたでしょうか? 今回はAIがパッケージデザインの生成から、売場の棚割りレイアウトの生成まで一気通貫して自動化する取り組みでした。一気通貫と言ってもこれとは別に、商品の研究・開発・製造・流通、販売などの様々な工程がありますが、これらの工程も一部ないし全部を自動化することは可能でしょう。

そうなると商品の製造・販売はどこまで自動化できるのか気になりますね。AIやITの活用により業務を自動化した分、従業員はもっと「考える業務」に時間を割けるようになります。今回の記事でお伝えしたカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)の向上に力を入れてもいいでしょう。

ITの利活用はどの企業も重要なテーマになっているかと思いますが、IT活用により効率化や自動化した分、余剰として生み出された人的リソースをどこに割り振るかを考えていくのも重要かもしれませんね♪
次回の記事も楽しみにしていただければと思います。
タナショー



参考にさせていただいた情報
アサヒグループホールディングス株式会社HP
https://www.asahigroup-holdings.com
アサヒグループホールディングス株式会社「統合報告書2020」
https://www.asahigroup-holdings.com/ir/pdf/annual/2020_spread.pdf
アサヒグループホールディングス株式会社「AIを活用した棚割り自動生成システムの導入を開始 」
https://www.asahigroup-holdings.com/pressroom/2021/1004.html
アサヒグループホールディングス株式会社「最新トレンドを反映し優れたパッケージデザインを生成する「AIクリエーターシステム」を共同開発」
https://www.asahigroup-holdings.com/pressroom/2020/0309.html
PRTIMES「「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2020」選定 前身の「攻めのIT経営銘柄」から6年連続での選定!」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000058947.html
Ledge.ai「優れたデザインを生成するAI、飲料パッケージ用にアサヒらが開発」
https://ledge.ai/asahi-cogentlabs-ai/

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