HitomiM

2008年よりベルギー在住。 天職洋服作り。 Pattern maker at Dri…

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2008年よりベルギー在住。 天職洋服作り。 Pattern maker at Dries Van Noten based in Antwerp / #Fashion / #Dance / #Yoga / #Art

最近の記事

日本映画の余白への考察、問いそのものと生きていくこと

*映画評ではなく、頭の中を整理するための長めのつぶやきです。 ここ最近、日本に住んでいた時よりも頻繁に映画館で日本映画を見ている気がする。ホームシックという可能性は無きにしも非ずだが。 映画館で上映される英語圏以外の映画だと、ここベルギーのフランダース地方では、字幕がオランダ語とフランス語が画面下に二列同時に表示されるシステムで、英語と日本語しか理解出来ないわたしは残念ながらそれらの映画は必然的にチョイスから外れてしまう。(あくまでも映画館でのはなしで、ストリームで字幕が選

    • サステナブルの救世主への考察、ジョンガリアーノが魅せる夢の世界

      20年ファッションの仕事を続けて来て、大きな壁にぶち当たった。好きでずっと続けてきた仕事で、自信を持ってものづくりしていたけれど、働いているから尚更、業界全体のサイクルの速さに、身を粉にして働いた先に残る過剰在庫に、この業界全体の未来はあるのだろうかと真剣に疑問に思うようになった。 ファッションという括りが夢を売る仕事だった時はもうひと昔前の話で、事実、今やファッション業界は地球環境や人権を脅かす代表的な産業へと成り下がってしまった。 表向きにサステナブルの取り組みしてますっ

      • 移民でいる事への考察、パレスチナのフォーク音楽に故郷を想う

        諸事情で、急に引っ越さなければならなくなった。移民問題が毎回最重要事項なヨーロッパ各国では最近、割と右寄りな、時には極右な政党が議席を増やしている。 そんな中の家探しは、自分が滞りなく割と高い税金を10年以上もこの国に納めている事実とは無関係に、難航を要している。その理由は単純で、わたしの名前がノンヨーロピアンだから。いろいろな不動産屋に内見のリクエストや質問事項をメッセージするのだけれど、エキゾチックな名前なうえに、この国では性別さえ判断できないわたしの名前は、無視されるか

        • ファッションとサステナビリティへの考察、エリート文化国フランスの覚悟

          フランスといえばパリ。 パリといえばファッション。 このほど、フランスは新たにファストファッションへの罰則適用を可決した。 この法案はフランスに実店舗を持つZara やH&Mのようなブランドは対象にならず、イーコマスで巨額な売り上げを生み出すSHEIN やTEMUを対象とするという。 実店舗を持つ時点で、その国や街にある程度の税金を納めているわけだから、そこは同じファストファッションでも厳しく取り締まれないという事なんだろうか。。。 たしかにSHEINやTEMUのように、ど

        日本映画の余白への考察、問いそのものと生きていくこと

        • サステナブルの救世主への考察、ジョンガリアーノが魅せる夢の世界

        • 移民でいる事への考察、パレスチナのフォーク音楽に故郷を想う

        • ファッションとサステナビリティへの考察、エリート文化国フランスの覚悟

          不利なジンクスに縛られる事への考察、不利益の裏側の利益とは

          ここ10年くらいだろうか、自分のメンタルがやられてる時に限って強く発症する症状がある。ジンクス縛られ症候群。 例えば、 この服を着ていた時に悪い事があったからもう着れない。(洗濯したら大丈夫と思えるかも) 足を組むとなんか悪い事が起こりそうで足組めない。(これはもうむしろ願掛けみたいにもなっていて、もう2年くらい足組んでない) 雨に濡れると不幸になる。(予感がする) みたいな、まだまだある、非常に自らを生き辛くする謎のジンクスたち。 ヨーロッパでは、自分のメンタルに支障が出

          不利なジンクスに縛られる事への考察、不利益の裏側の利益とは

          「うつくしい人」への考察、ロシア上空に置き土産

          他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。発作的に旅立った離島のホテルで出会ったのはノーデリカシーなバーテン坂崎とドイツ人マティアス。ある夜、三人はホテルの図書室で写真を探すことに。片っ端から本をめくるうち、百合は自分の縮んだ心がゆっくりとほどけていくのを感じていた―。 去年の年末くらいに友人から、西加奈子さんの「うつくしい人」を借りた。題名に惹かれたのは、自分の考えるうつくしい人への定義をはっきりさせてみたかったっていうのが

          「うつくしい人」への考察、ロシア上空に置き土産

          月と太陽

          書くことをすっかりすっぽかしていたここ何ヶ月。 書くことは好きで、いつだって自分の言葉で伝えたくて、その上に自分らしくいられる大事な場所なのに、それをすっぽかしてた期間、なんだか物事が上手く進んでいないように感じていた。 転機というものは時に、不可抗力でやってくる。 それが人の感情というものなら、繋ぎ止めることは難しい。 要するに、わたしは失恋したのだ。 上手くいかない時もあるよ、ってなぐさめてくれる人もいるかもしれないけれど、 わたしはその上手くいかない理由が知りたかっ

          月と太陽

          空間への考察、光と闇で仕切られたパレドトーキョーの真の姿

          ヨーロッパではワクチン摂取が進んでいて、これまでロックダウンだった都市が次々に規制緩和を行なっている。 わたしの住む街アントワープからパリまでは、高速列車で約二時間の距離。 パリコレでランウェイショーが行われていた一年半前までは、仕事柄、半年毎にパリを訪れていた。 そんなこんなで一年半ぶりのパリ!弾丸ホリデー!仕事抜き!! 二回のワクチン摂取が終わっていない人の国をまたぐ旅行には、PCR検査が義務付けられているから、まだまだ自由とはいえないこの現状。でもしょうがない。。。ルー

          空間への考察、光と闇で仕切られたパレドトーキョーの真の姿

          写真を読むことへの考察、そこにいったん留まって超個人的な手紙を紐解く

          わたしの住むアントワープには、フォトミュージアムと言って、写真に特化したエキシビションを開催する美術館がある。わたしはファッションという業界で働く上で、写真という媒体はわりと身近である。ランウェイ写真とかオンラインストア用の撮影、広告撮影とか、ファッション業界は写真なしでは成立しないのだ。 *本文、美術館フェチ写真シロウトの戯れ言ですので写真に詳しい方、ご容赦を。 アートの見方って人それぞれだし、もちろん決まりきった“見方”なんてないと思うのだけど、写真の見方でずっと印象

          写真を読むことへの考察、そこにいったん留まって超個人的な手紙を紐解く

          リリシズムへの考察、ロマンチストは男の特権

          週末にブリュッセルの美術館へ、ベルギーのペインター Roger Raveel (ロジャーラヴィール)の生誕100周年の回顧展と、同時開催のベルギーの建築家兼彫刻家の Jacques Moeschal (ジャックモーシャル) の展示を見に行った。 わたしは、ミュージアムパスという60ユーロ払えば、ベルギー国内約200の美術館に1年間フリーアクセスという魔法のパスポートを持っているので、美術館はいつもわたしのホットスポットであり、シャラ(ヨガで言う鍛練する場所)であり、深呼吸をし

          リリシズムへの考察、ロマンチストは男の特権

          短所と長所への考察、陰と陽の法則

          就活、転職する時とかくらいじゃないと改めて自分の長所と短所を考える機会なんてない。 どんな職業に憧れてるのか、自分は何になりたいのかって考えていた学生時代はたくさんの時間を自問自答に費やした。 でもオトナになると、いい意味でも悪い意味でも、改めて内なる自己と向き合う時間はだいぶ減る。 去年の11月ごろ、転職を考えたとかそんなんじゃ無くて、遅れて来たアイデンティティクライシスみたいなものに苛まれて、わたしは自分の長所と短所をノートに書き出していた。自分とはどういうエレメントで構

          短所と長所への考察、陰と陽の法則

          母親への考察、わたしの大事なお母さんへ

          毎週日曜日に父親に欠かさずかけるFaceTime ベルギーで暮らすわたしと、日本で暮らす両親の大事な架け橋である。 例を漏れず日本人メンタリティ的に、わたしの家族は、No news is good news 便りがないのは良い知らせ、という古い伝統を受け継ぐ純日本風の家族だったのだけど、(もちろん家族内コミュニケーションは一概に言えるものじゃないけれど) 定期的にお互いの生存確認と近況報告はしようよっていう新しい伝統を取り入れたことは、パンデミックの唯一のプラスの遺産であ

          母親への考察、わたしの大事なお母さんへ

          色への考察、ブラックホールと空と海

          ロックダウン慣れをしてしまいそうな生活の中で、あたりまえだったたくさんの自由が、限られたなかでしか楽しめない状況になった。 そんななかでも、アートはわたし達の生活から奪われることはない。 先日訪れたアントワープ郊外のプライベートギャラリーで目にした巨大なオブジェクト、インド系イギリス人の彫刻家アニッシュカプールによる作品。 広い空間に作品がすっぽり収まったのか、それともスペースがこの作品のために作られたのか。足を踏み入れた瞬間、シンプルなシェイプにのせられた色が重々しく身

          色への考察、ブラックホールと空と海

          続 言葉の意味への考察、ブータン人の幸せの定義

          言葉についてまだまだ考察。 同僚とのランチ。わたしの所属する部署の多くはドイツ人なので、フレミッシュ(ベルギー北部の母国語)を話さない私たちの共通の言語は英語になる。 英語が世界共通言語っていうのは、話す人口と学ぶ人口が多いからそうなるのは必然だと思う。 結構前に『Arrival 』(邦題は、メッセージ)っていう映画を見たんだけど、ざっくりした内容は、宇宙から謎の飛行物体が現れて、ずば抜けたテクノロジーを持つ彼らの使う言語を理解しようと学者や専門家たちは奔走する。彼らの文字言

          続 言葉の意味への考察、ブータン人の幸せの定義

          言葉の意味への考察、トールキンとサライの甥っ子に学ぶ もののあわれ

          同僚サライとの日常会話。 最近彼女の10歳の甥っ子が、自分で言葉を開発するのにはまっている、らしい。 例えば、パプリカだったら、パリプカみたいに言葉の一部をひっくり返したり、はたまたどこからそうなったみたいな言葉もたくさんあって、たまに理解するのが難解だと言っていた。 彼には彼なりのルールがあって記憶、理解して喋っているのだそう。 自分の子供時代も、なんかそうやって適当にお姉ちゃんとの間だけ通じる言葉とか、勝手に作ったりしてたなぁ。。。 言葉は深く知れば知るほど面白く美しいが

          言葉の意味への考察、トールキンとサライの甥っ子に学ぶ もののあわれ

          においでタイムトリップへの考察、目を閉じればそこは京都

          先日、同僚のサライと散歩していた時のこと。 サライが香水を買いたいというので、香水屋さんへ入る。お店の香水ソムリエ(?)に、わたしの好きな感じのにおいをざっくり伝えた。ウッディーでスパイシー、割と重め。という断片的なヒント。 誰にでも好きな香りとか安らぐにおいとかあると思うのだけど、わたしは’お寺の匂い’フェチで、そういう人はけっこう多い気がする。 わたしは生まれてから高校卒業まで、両親と祖父母の元で育ったので、いわゆる“おばあちゃんちの匂い”的なものがなくて、懐かしさとか

          においでタイムトリップへの考察、目を閉じればそこは京都