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どうせいつか死ぬけれど。


連絡の取れなくなった友だちがいたり、また連絡を取れるようになった友だちがいたり、自ら連絡を絶ったり、私の人間関係は慌ただしい。

大学時代の友だちの結婚・出産・昇進報告がしんどくて、
もうできて5年はすぎていたLINEグループから半年ほど前にこっそり逃げ出した。
誰かがまたなにか報告する時に私が逃げた形跡を見つけるだろうけど、かまわなかった。
私のような人間にも環境を整える権利はあるし。
今は関わるエネルギーがないだけで、いつか「あの時はごめん」というつもりだった。

半年がすぎた先日、春うまれの私にバースデーメッセージをくれていた(それも数ヶ月放置した)(薄情だと罵られるべきだ)数人に返信した。
ひとりからはすぐに返事が来た。
グループを抜けたことを追及するでもなく、彼女は「また連絡をくれて嬉しい」と言う。
申しわけないなという気持ちが首をもたげてまた彼女を遠ざけそうになったけど、近々トーキョーへ来るというので会う約束をした。

会いたいし、学生時代と変わらない温度でなんでもない話をたくさんしたい。それは正直な気持ちだ。
でも、会えるかどうかは当日になってみないとわからない。
彼女と毎日のように話していた何かを私はほとんど忘れてしまったし、あの頃よりはずいぶん煤けてしまったし。
彼女はがっかりしないだろうか。

学生時代、何かの話の延長でふと
「どうせいつか死ぬから好きにやるよ」
と言った彼女の屈託のない笑顔を覚えている。

私もいつかそんなふうに思い切りよく飛べる日が来るんだろうか。
そりゃまあたしかにいつか死ぬんだけど、私は小さな怪我やつまずきを予見してつい身構えてしまう。
今もそうだ。
たぶん、私はあの子に「変わったね」と言われるのが怖いのだ。
きっと芯のところはちっとも変わらない彼女に会うことも。
私はブレブレの五里霧中、迷走中で、そんな姿を見せることに抵抗がある。

それでも彼女は笑ってくれると思うから、がんばって会いに行こうと思う。

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