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下町風俗資料館で水道に会う

先日配信したラジオで、東京の水道の歴史の話をした。

そのあと、たまたま友だち3家族で台東区の下町風俗資料館に行くことがあった。

そうしたら1階の展示がいきなりコレ!


江戸、明治、大正、昭和にかけての、東京の下町の水道事情にふれてあって思わず一人歓声をあげてしまった。知が補完された瞬間ってやっぱり花火が散ったような感覚がある!つまりこれがSpark Joy!


東京都水道歴史館で見たような、下水の溝。


一緒に行った友人たちと話していて気づいたのが、みんなが東京の出身ではなかったこともあって、この下町の風景は、「自分の実感とは少しずれた形だがかつての日本のどこかを想像する」感覚を呼び起こすんなんだなぁということだった。家のつくり間取りや広さも違うし、サイズもコンパクト。もちろん再現は一部だし、これが全てではないのだろうけれども。わたしも今、東京の下町の明治、大正、昭和の建物が残っているまちに暮らしているので、日々こういう感覚を持っている。

去年の年末に「オネアミスの翼」という映画の展覧会に行ったときに、オネアミス王国の設定を、「地球によく似たある惑星のある王国」にリアルを持たせるために、まったく違う奇想天外なものではなく、日本のその時代の人たちが知っているものを少しずつ「ズラす」形で行ったと説明されていて、なるほどと思ったのを思い出す。(その話は書いていないのだけれど、感想をブログに書いたのでご興味あればぜひ http://hitotobi.hatenadiary.jp/entry/2018/10/31/195654)


物売りの描画が展示されていて、声が流れてくるコーナーもおもしろかった。

苗売り、納豆売り、七色唐辛子売り、はしご売り、葉唐辛子売り、張り板売り、薬売り、鋳掛屋(錠前直し)、刃物研ぎ、桶売り、かに売り、玄米パン売り、号外売り、物干し竿売り、竹ざる売り、豆腐売り、どじょう売り...

必要だから、買う人がいるから生まれるスモールビジネスのたくましさみたいなものもうかがえる。


これもあらためてちゃんと見たことがなかったので興味深かった、関東大震災による火災による家屋・建屋の焼失状況を記した地図。これまで、「関東大震災で東京が全体的に焼失した」ような印象を持っていたのが、影響の少ないか全くないエリアも存在したり、当時の住宅がどこに密集していたかが、現代とは違っていることに気づく。

こういうのも小学生の社会科で学ぶ「わたしたちの東京」には出てくることなんだろうか。地域が違えば、社会で学ぶことも違っていて、大人になってこうして丹念に見ていることがおもしろい。



実際の銭湯で使われていたものと思われる。向かって右手の男湯のほうには、踏み台が設置してあって、番台に登れるようになっている。


こんなかわいいものを作っていたのか〜



昭和30年ごろの下町の家。ここにくるとちょっと近い感じがしてくる。でもやっぱりコンパクトな家、部屋だなぁという印象。東京は昔から東京だったんだな。


下町風俗資料館では、「台東区の復興小学校」という資料も販売していて、ほんとうにタイムリーだった。(ラジオの最後で少し触れたのです)


一度、話したり書いたりして表現として出してみると、勝手に展開していく、出会う、つながる。

大人になって学ぶって楽しいなぁとさらに感じるこの頃です。