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食と人間性の回復

スープ作家の有賀薫さんの記事を読んで、感想。

あー!この話はなんだか身に覚えがあるぞ!

かつてわたしも、「自炊がすごく辛い」「食べるのが面倒」と感じていたときがあった。いっそ「一粒飲めば食べたことと同じことになる宇宙食みたいなサプリ」を誰か開発してくれないかな、と本気で思っていたぐらい。

そういうときに、「わたし食いしん坊なんです!」「食べることが大好き!」という人の熱量の高さは確かに辛かった。料理の写真とか見たくもないし、TVで食レポとかやってたらチャンネル変えるとか。

友だちで食の話をよくしてくる人がいて、話に付き合ってはいたけれど、内心では、「あれ食べたいこれ食べたいって、この人の底知れぬ食への執着はいったい何なんだろう、理解できない」と思っていた。わたしもお腹は空くけれど、「燃え上がるような」食欲ではなかった。時間がきたから食べるとか、感想も「ふつうにおいしい」とかぐらいしか言えない。

食にそこまで関心がわかないってやっぱり、それなりにギリギリのところを歩いていたんだろう。生命力がえらく低下していたと思う。

しかし、そういうときにも、

"体力のあり余った元気な人たちが「もっともっとおいしく!」「ボリューム満点!作って食べて今日もがんばろう!!」みたいな情報をもりもり流してくる" 

のは、今思えばありがたかった。そちらが生物としてまともで、健やかだということは薄々気づいているから。

今やわたしも「昼に何作る、夜に何作る」などツイッターで流しているけれど、それはやっぱり「生活を大切にしたい」という自分の願いを世に漏らしてみているというところがある。

以前、生活や生きる力について、こんなことを書いた。

人生のターニングポイントをたくさん渡ってきたわたしは、次第に生活を自分の手に取り戻していく中で、

自分が食べたいものを自分でつくれるって最高!

という実感を得るようになった。それは喜びだった。取り戻す。回復。
そう、人間性の回復というところがある。

だから食に関わる方々は、どうかめげずに諦めずに、「生きたくなる料理」の開発と発信とを続けてほしいと、勝手ながら願う。