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齋藤孝著「読書する人だけがたどり着ける場所」

著者齋藤孝氏は、明治大学で教鞭をとり、専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。著者発行部数は1,000万部を超える国民的ベストセラー作家。本書は、読書をする人々が減少している現在に対し、読書の素晴らしさを再発見する一助を目指し、本を愛する著者が、思いを込めて語った一冊である。
 昨今は、ネット社会と言われ、「ネットで情報をとるから本はいらない」という風潮が広がっているが、「ネット」で読むことと、読書には重大な違いがあると記している。それは「向かい方」、「構え」の違い。「ネット」で文書を読むときは、キーワードを主体とした情報を高速で取捨選択を行う「消費者」としての向き合い方。このため、情報への理解は深くならない。一方読書は、じっくり腰を据えて話を聞くような構え。それは「体験」として刻み込まれる。体験は、人生観、人間観を深め、想像力を豊かにし、人格を大きくしていくことができる。また、言葉にできなかった自分の実際の体験の意味にも気づくことができる。
 以下に、筆者が上げる「読書の効能」と「本の読み方」を記す。
〇人間に「深さ」をもたらす
物事の「本質」を捉えて理解する力である教養や人格が人生にまで生きている人が「深い人」。本を読むことで知識を深め、人格を深めることができる。また、コミュニケーション能力の根底には「認識力」があり、本を読むことで、複雑な感情を感じ取ったり言語化する能力を身につけることができる。
〇一流の認識力をつけることに役立つ
 一流の認識力の持ち主の本を読むと、私たちの認識力も磨かれていく。また、自分と異なる視点を手に入れるのに役立つ。「著者の目」を意識すると、視点が重層的で多角的になる。
〇思考力が磨かれる
「感情をのせて読む」ことで、頭と心が動き、思考力が磨かれる
〇知識が増え世界が広がる
知識と認識はセット。知識が増えると認識力も高まる。
〇人格が深まる
知識、思考、感情、性格など統合した個人のあり方が人格。読書を通して偉大な人の器に触れると人格を深めるのに役立つ。
〇人生が深まる
勝ち負けよりも生き方。読書を通して、人が生きる意味を捉える力が育まれる。また、本を通じて他人の人生を追体験出来る。別の時代を生きた人、他の国を生きた人の人生も、臨場感を持って知ることができる。人と人とが関わりながら生きていくうえでは、他人の気持ちを理解して認め、受け入れることが必要とされる。それによって、自分自身が成長し、人生を豊かにできる。
〇終わりに
いつの時代も、読書は素晴らしいものです。思考力を伸ばし、想像力を豊かにし、苦しい時も前進する力をくれる。自己を形成し、人生を豊かにするのに欠かせないのが読書です。

以上が本書の簡単なまとめになる。読書の良さを改めて言語化してくれている本で、読書を通じた気づきを得るため処方箋となると感じた。

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