事件発生

　カラスは春先に、気が荒くなることがあります。
　我が家の歩道脇にぶら下げた小さな鉢植え二つ。さらに、車庫の前の鉢植え二つ。
　春先に、可愛いい、きれいな花を、咲かせていました。
　ある日、仕事から帰ってくると。
　なんと、花弁は無残にもバラバラ。千切れて下に散乱。なんたる非道、なんたる理不尽。
　どこかに抗議したい気持ちが爆発。
　犯人は、誰だ。

犯人はだれだ?

　さっそく、家族に事情聴取。
　家族の情報では、犯人は『カラス』であろうとのこと。
　私は花びらの引きちぎるような有様に、犯人は『カラス』に間違いなしと断定した次第。
　自分には記憶がないものの、カラスの被害は、どうやら毎年のことらしい。
　なるほど、今の時期、春の『カラス』は気が荒い。空腹と繁殖期とで、イライラしている。
　ゴミ箱をあさったり、人に悪さをしたり。
「よし。『カラス対策」を実施」
　と、家族に宣言。

カラス対策

　私は１００円ショップに向かいました。
　いくつかの黒い丸い磁石を購入。
　磁石なんか、安く購入できるし、いつまでも、半永久的に有効だし
黒い丸い磁石ならば目立たない。
　これ、いいかも。
　大目に買って、鉢の周りや中に置いておこう。
　家に帰ると、柵にぶらさがる鉢のS字のフックに磁石を取り付け、車庫のコンクリート床に置いた鉢には、土の上に直接磁石を置きました。
　カラスは地磁気を感じて飛来するため、磁石の磁場に敏感であるとのこと。磁場に近づくと、「なんとなく、気持ちが悪い」という感じになるらしいです。　
　こうして、カラス対策は完成。
　その結果は。

カラス対策の結果　

　３週間ほどたちますが、今のところ被害は一切なし。
　今も、様子を見ているところです。
　これをもって、効果ありとは言い切れません。
　ネットでは、ある研究所の報告で、特定の条件ではありますが、効果がなかったとの報告書もありました。
　でも、私には確信があります。
　その根拠とは?

確信の根拠、中央卸売市場の大作戦

　私がある中央卸売市場の管理責任者だった時のこと。
　魚の市場としては、１０００羽を超えるカラスの飛来は、深刻な課題でした。様々な悪さをするし、衛生上も問題があるのではと。
　特に魚腸骨の廃棄場所に、カラスが集まることが多いのです。カラスにとっては、海鮮料理にタダでありつけるのですから、来たがるカラスの気持ちも分かります。でも、許すわけにはいきませぬ。
　とった作戦。
　カラス撃退用の磁石。
　それも１個が３０００ガウスの強力な商品。
　個人用というより業務用。値段も高め。磁石の近くでパソコンは使わないようにとか。おそらく心臓のペースメーカーを使っている方も近づかないほうかよい商品かもしれません。
　そんな強力磁石を、実験的に魚腸骨置き場に並べたのです。
　卸、仲卸、市場の業界が注目する中、その日がやってきました。
　磁石を配置した瞬間のことを、今でも思い出します。
　魚腸骨に集まる数百羽のカラスが、電線や塀の上で固まってしまい、まったく微動だもしないのです。
　魚腸骨周辺で、カラスたちは一匹も跳ばず、ただ並んでじっとしているのです。
　翌日のこと。
　なんと、魚腸骨どころか、市場全体からカラスが消えました。
　カラスはコミュニケーション能力があるので、相互に情報が共有化されたようなのです。
　それまで、市場は色々な対策をしてきていました。どれも、効果があまりなく、管理担当としては、仕方がないのでカラスを花火で脅かしたりしていたのです。
　こうして、各業界は専用磁石を購入し、卸・仲卸・商店などで、この磁石がぶら下げられたのです。
　その後、私は人事異動したので、今どうなったのかはわかりません。
　でも、あの固まったカラスの群れの沈黙は、この磁石の影響以外ありえません。
　なにしろ、カラスたちの目の前には、魚腸骨の海鮮料理が、てんこ盛りだったのですから。

まとめ

　そんなわけで、市場に比べれば、家の鉢植えなんか小さなもの。
　花の数センチ、ほんの近くに、小さな磁石を置くだけでも、効果があるように思った次第です。
　カラスに困ったら、一度お試しを。
　風車とか、鷲の人形とか、きらきら光るものをぶら下げるとか。対策はいろいろありますが、地味な見えない磁場で花を守るのも、いいと思った次第です。
　きっと、鉢植えに近づくと、カラスたちは「なんだか、気持ち悪い」と思ってくれることでしょう。