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あんパンって和食かな?ー国立科学博物館にて開催中の特別展「和食」日本の自然、人々の知恵

最近日本が好きになってまいりました。
いや、以前から嫌いではなかったのですが、
正直、なんとも思っていなかったというか。

19歳の娘がヨーロッパが大好きで、その良さを力説するので、わたしは負けじと日本はいいわあと対抗しています。

特に日本らしい日本がかっこいいと思います。
江戸時代みたいな日本が現代にも生かされたらいいのになあと本気で考えております。

でも、わたしが見ていたものって、ほとんどが見た目の日本らしさばかり。恥ずかしながら、日本人のくせに歴史も文化も知らないことがたくさんあり、この「和食」展でも、改めて知ることがたくさんありました。

この看板をみておもしろそう!と思い
行ってみることにしました

この展示、デートに絶対いいですよ!おすすめです!
お互いの育った家庭の「食」をとおして、これからの「生き方」をもみえたりするんじゃないかなあ。お互いの好き嫌いもわかるかもしれませんね。
おどろいたり笑ったり、きっと発見がたくさんあって、話がはずみそうです。


さて、日本の形って細長いですよね。(余談ではありますが、日本の形って不思議ですよね!タツノオトシゴみたいっていうか。すごく面白い形だなあって思ってしまいます。いつ見ても。)南北に細長いため、それぞれの地域独自の自然や環境を活かし工夫してきました。
「和食」は、ユネスコ無形文化遺産にも登録され、今年は10周年なのだとか。
今回はこの展示を見たことで、世界にも誇れる豊かで美しい文化が詰まっている「和食」をいまさらながら改めて知り、考える機会となりました。


展示は、まず水の違いから始まります。

日本全国の水を展示

日本は「軟水の国」といわれていますが、この「硬度」は都道府県ごとでもちがいがあるのだということを初めて知りました。
水には主にカルシウムとマグネシウムのイオンが含まれていて、その割合は地域によって異なっています。これらのイオンが多く含まれている水を硬水、少ないものを軟水とよびます。
下の図をみてみると全体が軟水であるなかで、沖縄と熊本、関東南部が高いことがわかります。熊本なんて九州の中でポツンと赤いですね。これは阿蘇火山に由来する溶結凝灰岩に関係があるからとか。

その地域に分布する岩や地層の影響により水質が変わるなんて考えたこともありませんでした。会場には水質にちなんだ岩も展示されていました。

「いろはす」が2種類あり、
地域の違いで、違う水が入って販売されているんだと驚きました。


今回、企画を考えるうえで、
国立科学博物館で「和食」の展示をすることについて、
その「切り口」をどうしたらいいかと大変悩まれたのだといいます。
「和食とはなにか」ということから探っていくことになったとか。

そして日本の風土と日本人の歴史が「和食」を作り出したと考え、
自然科学の視点と技術の視点から展示を作っていったのだといいます。

そんな観点から並べられた素材のレプリカは
キノコや山菜、魚介類など、様々なみせかたで並べられており、
これがまたワクワクするんです!

最初本物かと思ってしまいました。
レプリカでもこんなに自然にそっくりなものを見せてくれるのは嬉しい

キノコは現在日本で約3千種が知られているそうです。
今回レプリカ展示をみて、毒のあるものや外国ものなどキノコの種類ってたくさんあるんだなあと思いました。
わたしは絶対みわけられなくて
食べてはいけないキノコを食べてしまうだろうなあ。
こわいこわい


こちらは山菜の標本。
標本というのがまたいいなあ。葉っぱの形がよくわかります。
おもしろいなあ。
山菜って植物なのに、あまり植物としてみたことがなかったことを改めて気づかされました。

ゼンマイって、あのくるくるした形しか知らなかった

また、山菜ひとつとってもこの呼び名のちがい!
うわーこれはもう文学の世界にもなりそうですね。
わたしは「ワラビ」以外は聞いたこともありません。おもしろいなあ!

写真のとりかたがまがっていて見づらくてすみません

展示をみていると、まわりの人たちの話声が聞こえてきます。
それがまた楽しいのです。

「え?オオタニワタリって固そうー。あれを食べたの?」

おもわず私もオオタニワタリを探してしまいました。

うんうん、たしかにかたそうな葉です

「みて!あんなふうに食べるんだって」

声につられて私も確認。へえー。おひたしかあ!
こうやってみると、ねぎの青い部分みたいなくらいの固さなのかなあと思ったり。おいしいのかなあ。



この看板も驚いたんですよねえ。
だって、いつも食べている野菜のほとんどが外国を原産地とするって書いてあったんですから!しかもダイコンなんてヨソから伝わってきたのが弥生時代だというんですよ。そんな昔?って、びっくりです!

横からとった写真でまた見づらくてすみません

ダイコンといえば、
会場では、たくさんのダイコンのレプリカが展示されていました。
こんなに種類があるなんて!

現在市場に流通しているダイコンのほとんどが愛知県尾張地方の在来種宮重大根に由来するダイコンで、それはいわゆる「青首大根」。
早く太る、土の上に出ている部分が長くて抜きやすい、甘くて柔らかいという特徴があり、生でも煮物でも美味しく食べれるダイコンです。

この長ーいダイコンは守口大根といいます。
この大根で作る「守口漬け」は酒粕、みりんなどに3年漬けこんで作ります。


わたしたちは野菜のどの部分をたべているのだろうというクイズ形式の展示もあり、予想をしてから答えをみるのですが、結構間違えてしまいました。
タマネギの食べているところは葉っぱだなんて!知っていました?


さてさて魚介類のレプリカは種類も多く圧巻です!
皆さんここは食い入るように見ていらっしゃる方が多く。
いつも食べているような魚もこんなちゃんとした「姿」でみたことなかったなあなんてものもあり興味深い展示でした。

知らない魚もいっぱいありました

スーパーで売られているお刺身のサケやしゃけ弁のサケはサケではないというのは聞いたことがありましたが、やはりそのようです。
サーモンは主にタイセイヨウサケでトラウトサーモンはニジマスだとか。本当のサケは「シロサケ」といって別物なのですね。

日本は南北に長く延びる島国ですが魚たちも地域によって棲息地が異なるのですね!日本列島の周囲には大陸棚が広がり、親潮、黒潮などがさまざまな生物を運び、琵琶湖などもあることから多様な水圏環境が存在し、4700種以上の魚類が分布しているといいます。淡水魚なども約400種類が生息し100種を超える日本固有種もいるとか!
古くからタンパク源として日本各地で食されてきました。
お節料理にも魚類は活用されていますよね。

大画面を触るとその触ったところを泳ぐ魚が表示されます

日本のまわりに泳ぐ魚たちがこんなふうにある程度決まっていたなんて知らなくて、驚きました!
それになんて豊かなんだろう!

マンボウ大きいなあ!カニの足もまたすごい!
タコ、最初に食べた人すごいなあといつも思ってしまいます


海藻の展示も標本になっていて、その美しさに目をみはりました。


いろんな形いろんな色。きれーい。
国立科学博物館の藻類標本室には約10万点の海藻の押し葉標本が収蔵されているそうです。

海藻は世界に約2万種あるそうなんですが、食する国はほとんどないのだとか。そうなんだあと驚きました。日本では昆布やらワカメなど日常的に皆さん食べていますよね。

この下の写真で、上からつるされているながーいもの。
これ、昆布なんです。長昆布。そのままな名前ですね(笑)
北海道東部に分布し、20mあるのだそうです!昆布巻などに使われます。

長昆布すごいな。長いなー。


さて、「和食」といえば「発酵」!
皆さんは発酵食品として何を思い出し、普段食されているでしょうか。

納豆、漬物、鰹節、日本酒、みそ、しょうゆなど、食べていない人はきっといませんよね。
発酵の何がいいのかということですが、以下の3点だといいます。
①保存期間がのびる
②栄養価値が上がる
③おいしくなる

微生物の働きによって上記のようなものがもたらされるのが発酵ですが、
発酵と腐敗は同じ過程でうみだされるものだそう。
昔の人の判断はどうして決めていたのだろうなあ。

この発酵調味料などは奈良時代頃から使われていたようです。
平城宮跡の発掘からは下の写真にある木簡が出土し、よくみると「牛乳」の文字が見えます。
酪や蘇なども記されているものもあるとか。

右の木簡一番上に「牛乳」の文字が。

ぬか漬けに豆腐を漬け込むとチーズのようになるそうで、酪や蘇ってそういうお味かなあと考えたり・・・
おいしそうだなあ!食べてみたい!


その他、日本の食が時代別に表示されていました。
どの時代もなかなかに豊かな食生活をしていたことを知ります。また、先日大河ドラマでみた、織田信長が家康をもてなした時の食事も再現されており、その豪華さにびっくり。こんなフルコースを用意するのは大変だったのではないでしょうか。

織田信長は安土城で3日に渡り接待したそうです。
豪華な本膳部分のみが毎日2回も提供されたといいます。でも何日もまえから用意されていた冷たい料理だったということもわかっているようです。


和菓子の世界も紹介されていました。
この和菓子、江戸時代後期には庶民も気軽に楽しめるようになってきたようです。というのも、その頃から白砂糖の国産化に成功したからだといいます。
羊羹や饅頭、煎餅など素朴なものから芸術作品のように美しいお菓子もつくられるようになります。

かわいくてキレイですねえ


日本の技術の一つであるこんな技も。美しいですねー!


その後洋食やインスタントラーメンなどいろんな食文化が外国から入り、国内でも研究され、日本の発展と共に食も大きく変わっていきます。

こんな風にみてみると、本当に日本の食は様々な食材から様々な料理を生み出してきたことがわかり、色合いも味も豊富で豊かだなあと感じます。



全国のお雑煮が展示されていました。
香川県の出身の友人が、地元のお雑煮のおもちにはあんこが入っているのだと教えてくれた時には大変驚きましたが、このレプリカをみて、
わあ。ほんとだ!これだあと思いました。

おもちはあんこ入りだし、白みそだし、
あまそうですねー。でもおいしそう!食べてみたい!

お雑煮の分布図をみたら
あんこ入りおもちのお雑煮は
香川県だけ!なんですねえ。
どうしてここだけあんこ入りになったんだろうー。

丸餅ばかりの関西で高知と新宮だけ角餅だ!
不思議ー!

おもちの種類やその調理方法なども
いろいろあるのですねえ。
おもしろいなあ


さて、会場では
「和食」についてのアンケートが実施されていました。


下の写真にあるような料理を、「あなたはこれは和食と思いますか?」と問うもので、イエスかノーかで答えると回答結果がグラフに反映するようになっています。

あんぱんって和食かな?

世界にも人気がある和食といえばお寿司、ですよね。
いまでは世界各国でお店も増えているようで、その様子が写真で紹介されていました。よくみるとちょっとみためちがうかなというものも・・・あはは

でも世界の人もやっぱり美味しいって思うんだなあ


最後の会場では
「和食のこれから」という展示がありました

そこではこんな食材も・・・

人気のカップ焼きそばを宇宙食に進化させた食品です。
液体ソースを粉末で再現。お湯をいれてたべるのだそうです。


一人暮らしの人も増え、食事作りに手間をかけることが面倒くさいと思う人も増えてきました。
それは当然ともいえます。すごくよくわかります!

いまスーパーでバイトをしていても、お惣菜が良く売れますし、高齢化にともない、今後もそのような傾向は拍車をかけてゆくでしょう。

以前、ふと
だんだんすべてが宇宙食のようになっていくのではないだろうかと思ったことがありました。
「あの味が食べれればいい」と思うようになり、手作りのわずらわしさからも解放され、にゅーっと口の中に入れるだけの食事。

もしそうなったら、なんだか寂しいと思いました。
そして、食事をするということは、味だけではないんだなと改めて考えさせられました。

日本の食の文化はこんなに豊かで、
世界の人からも愛され、
美しくもあり、なによりおいしい!

食は体だけでなく、心も作っていくものだと思います。

作る過程でのだしの香りとか様々な味付けなど
「和食」文化はこれからも残っていってほしいなあ!

日本ってすごいな。
日本っていいなあ!

特別展「和食」日本の自然、人々の知恵
国立科学博物館
東京上野公園(以降全国巡回予定)
2023.10.28〜2024.2.25
9:00〜17:00
休館日月曜日・年末年始(12/28〜1/1)


※スイートポテトさんのステキな作品を使わせていただきました!ありがとうございました!


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