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#58 保育における「自由」

新年度が始まり、講師をしている保育士養成校にも新入生が入学しました。

学生たちは、さっそく保育士として必要な知識や技術を各科目で学んでいます。

しかし、ふだん子どもとの関わりがなかなか得られない人は、2年生になって実習が始まるまで実際に子どもと関わる機会が少なかったり、実習だけになると経験の量としては十分とは言えなかったりというのが養成段階の課題でもあります。(改善の一手としてはデュアル教育があります。)

そうすると、実際の子どもの姿をうまく思い浮かべられなかったり、関わる自分が想像できなかったりし、大切な専門的な知識や理論に距離を感じ、保育実践とあまりつながっていかないということも起こってしまうのです。

そこで、私が担当する科目では、保育士として働く上での根っこや軸となる内容を扱う講義ということもあり、自園の実践を動画や写真で観る機会もつくっています。

それは、実際に園で生活している子どもたちの姿を知ったり、保育士として子どもをどう見るかの練習をしたりしながら、座学でもできるかぎり現実に近い子どもの姿と重ねながら学びを深めていってほしいからです。

学生に、自園の保育実践を見た感想を聞くと、「自由」という言葉がよく出てきます。

見学に来たからも「自由」と表現されることもあります。

ただ、私自身は、自園の保育を表現するときに「自由」という言葉はあまり使っていません。

どの時間にも遊びの要素や自由が保障されていてほしいという願いから「自由遊び」という表現を使用していなかったり、ホームページでも「自由」は出てきません。

それでも保育実践を見た人は「自由」を感じるのだと言います。

子どもたちは好き勝手にしているわけではないですし、自分のしたいことがしたいようにできるとは限りません。

実践の軸となっているのは、

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