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保育園の社会学①サービスなのか、福祉なのか?

娘を保育園に入れて、しばらくして疑問に思ったのは、保育園にとって保護者は、「お客様」なのか、「預かってあげてる相手」なのか?ということでした。

娘は認証保育園の0歳児クラスに滑り込み、1歳児に上がる時には認証の加点が効いて第一希望の認可保育園(NPO法人運営)に入園することができました。
この、念願だった筈の認可保育園で、初めの一年間にかなりの洗礼を浴びることになりました。

具体的には、

・園長先生以下、ほとんどの保育士が保護者にタメ口。「えーそうなんだー。大変だよね」「行ったんだ。どうだった?」等
・保育室に50㎝くらいの高さの棚あり、何度か頭や顔をぶつける
・お迎えの際にいる先生がまちまちで、怪我があっても申し送りがないことも
・体調など気になることの指摘ほぼなし
・渡したはずのプリントを「ない」と言われる(後日出てくる)
・裏口の門の鍵が開いていた(外から気付いて電話して閉めてもらった)

…等々です。

特に一番上のタメ口は衝撃でした。明らかに年下、下手をしたら20代の職員が、普通に友達のように話しかけてくるので、始めはかなりびっくりしました。(こちらは最後まで敬語で通しました)

別にホテルマンのような接遇なんて求めてない。でもコンビニやキヨスクのような少額の買い物をする場でも、タメ口のスタッフなんていない。
これは、毎日繰り返し接するから(一方的に)親しみが湧くのか、それとも他に原因があるのか?と考えたときに、保育園にとって保護者と子どもはお客様ではないのかもしれない、と思い至りました。

他のサービス業であれば、接客やサービスがイマイチであれば口コミサイトで評価が落ちたり、顧客が減ったりして売り上げに影響が出ますが、保育園(特に認可保育園)はそうではありません。

保護者は保育園を選択できる立場とはほど遠く、ポイントを重ねてやっと「入園させてもらった」状態、特に認可保育園は入園の割り振りを行政が行うので、保育園側は黙っていても子どもは集まります

サービスの質の評価は「東京都福祉サービス第三者評価」に掲載されますが、それほど周知されているわけでもありません。

更に、運営費についても3歳児以上は無償化の対象で、保護者が払うのは給食費(毎月5,000円前後)程度、主の運営費は国が1/2、都道府県と市区町村が1/4ずつとなっていて、保護者の支払うお金=売上という図式は成立しません。

黙っていても利用者が集まり、お金は行政から貰う。確かにこれは一般のサービス業のカテゴリには入らず、「福祉」サービスなのだと痛感しました。

これでは、運営側にサービスの質を上げたり、利用者のニーズに応えようという動機は生まれにくくなります。

では、保育園が正しく企業努力をして質を上げようという動機を生み出すには、どうしたらいいか?少し考えてみました。

長くなったので、次回の記事に続けます。








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