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「君じゃなきゃダメなんだ」と言われて嬉しいか

「おれの代わりってなかなか
いねーからなぁ」

こいつ本気で言っているのか。

ファミレスでバイトしてた
20年以上前のことだ。

土曜日のディナータイムを
前に慌ただしく準備をしていたときに
つぶやかれた。

自称バイトリーダーの
大学生だった。
二留ぐらいしてた気がする。

レストランのウェイターは確かに
混雑したときの優先順位や
メンバーの役割分担は大事だった。

ただ残念ながら、
熟練のスキルが必要というものではない。

どんなにハイスピードで動けるように
なったって、2人前で働けるレベルには
ならないだろう。

しかしながら、当時の自称バイトリーダーは
「代えのきかないおれという人材」を
アピールし続けた。

やがて
「おれがいねーと店が回らねーからな」
が口ぐせになり誰よりもホールを
駆け回っていた。

ただクレームも多かったし、
2人別のバイトを入れたほうが
確実にお店のためだった。

メンバーを小馬鹿にすることは
あっても決して仕事を自分から
教えようとはせず、自分だけが
たまたま与えられた単純作業に
固執した。

ある日、シフト表に
自称リーダーの名前が
なくなっていたことに気がついた。

どうやら、自称リーダーは
店長に越権的な内容を
物申してしまい、逆鱗に
触れてしまったらしい。

奪われてしまった彼の
アイデンティティの喪失感は
想像を絶するものがあった。

君の代わりはいない

そんなこと言われたら
嬉しいよね。

「もともと特別なオンリーワン」
って歌詞めちゃくちゃ流行ったよね。

でも我々凡人サラリーマンは
そこを目指すべきではない。

もちろんある程度のスキルが
求められる仕事はある。
AさんよりBさんがやったほうが、
早くて確実な仕事というのは
存在する。

ただ会社から見たら、あなただけが
できる仕事は必要ない。

超ウルトラ専門職なら別だけど、
私の感覚では1,000人に1人くらいだ。

中堅の凡人サラリーマンが
求められるのはシェアリングである。
難しいスキルでなくていい。
社内調整のキーマンやそのクセの
あるキャラクターを共有する
だけでもありがたがられる場面は
出てくるだろう。

代わりのいない存在に
なるよりも、
代わりになれる誰かを
作る
方がよっぽど重宝される。

代わりになれる誰かを
育成できるということは
自分自身がどこにいっても
代わりになれる存在に
なれるということだ。

先ほど言った超高度専門職の
部署にぶち込まれない限り、
我々凡人にも活路はある。

そういえば、自称リーダーは
気に入った女の子にだけ
簡単な仕事を割り振ることを
マネジメントと誤解していたようだった。

20年前の反面教師が
突然よみがえってきた日曜日。、

先日久しぶりにファミレスに行った。
彼が一生懸命やっていた配膳は
ロボットが機械的な音声と
ともに運んでいた。

ロボットの代わりでもいい。
「君じゃなきゃダメなんだ」って
言われなくていい。
もともと特別なオンリーワンを
目指さなくたっていい。

昨日できなかったことが
今日できるようになる。

昨日知らなかったことが
今日知識として仕事に活かす。

それだけで僕らは前に
確実に進んでいるのだから。

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