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30歳を超えてパーソンズ美術大学に留学をして良かったこと5つ

以前お伝えしたストライキが、学期終了予定日の1週間前に突然終わり、怒涛の如く課題提出を終わらせました。全ての単位も、授業も取り終えているので、よほどのことがなければ今年末に卒業です。

1年半。長いように思えて、とてもあっという間でした。
まだ卒業した実感がないのですが、来年から働き始めることを考えると、新しいフェーズに入るワクワクと、晴れやかな気持ちでいます。

振り返りも兼ねて、30代に入って留学するという決断をして、良かったことを紹介させてください。

①作りたいと思えるものを作れる力とスキルが身についた

私は周りにいじられるほどリストを作るのが好きで、2016年ぐらいから「人生でやりたいことリスト100」を続けています。今は、150項目以上溜まっているのですが、そのうち少なくとも30項目は、「Webサイトを作れるようになりたい」、「フリーペーパーを作りたい」という「作る」ことに関することでした。

私が通うコースは、グラフィックデザインの基礎を学ぶコースなので、1年半かけて、2次元のもののデザインを学びます。今まで作ったものは、本からポスター、ブランディング用のガイドラインやWebサイトやアプリまで、多岐にわたるものでした。一生手を出せないと思っていたイラレを今や毎日開いています。「何か作りたい!」と思った時に作ることができるようになったことは人生の財産です。

今まで作ってきたモノたち:

Blue Note Jazz Clubのリブランディング
雑誌を作るという課題から
"Craigslist"というアメリカのメルカリのようなサイトのリデザイン

詳しくはこちら:


②自分はモノを作ることが好きな人間です、と言えるようになった。

パーソンズに合格し、留学が決まるまで、私はグラフィックデザインが好きであること、あるいはデザインをちゃんと学びたいと思っていることをほぼ人に言ったことがありませんでした。理由は、大学にも、就職した会社にも、センスや才能が溢れる人たちが周りにいて、彼ら、彼女らに憧れていたと同時に、「私にはそんなモノを作るセンスはないし、ないからこそ『作りたい』って言ってはいけない」と思っていたこと。

今でもデザイナーとしてまだまだ実力がないですが、毎日自分の作ったものを誰かに見てもらい、「いいね」と言ってもらうことで、少しずつ自分でも好きなものを好きだと言ってもいいんだと気づけたこと、むしろ自分を知ってもらうためにデザインを何らかの形で作り続ける人間でありたいなと思ったのは、この1年半の大きな変化です。

元々は自分のアイデアを伝えることが苦手だったのですが、それを克服するために改装したインスタグラムもnoteも、1年以上続いていますし、来年はもっと力を入れたいなと思っています。

一番いいねが跳ね上がったイラスト

③自分の中で一番強い感情だった「嫉妬」が消えた。

小さい頃から私は、常に周りと比較していて、少しでも評価されている人がいたり、有利な人がいるとすごくもやもやしていました。周りから常に評価されたかったし、人の評判にかなり敏感になっていて、「チームを外されたらどうしよう」という恐怖が常にあったり、嫌いになる必要のない人を嫌いになったりしていたように思います。

今思えば、自分がやっていることへの自信が全くなくて、常に自分は誰かから仕事や評価を与えられることで成り立っているような気持ちになっていたからかと思います。

パーソンズで学んだのは、デザインは良くも悪くも主観的だということ。自分が良くないと思ったモノでも評価する人はいるし、逆に自分がいいと思ったものが受け入れられない人もいます。

だからこそ、周りの声よりも「自分はどうしたいのか」に忠実である方が、むしろ自分の心にも、生き方にも、デザインにもいいことを身をもって学べました。「どんなにお金がなくても、迷ったときは自分が一番幸せな決断をすべき」と言い切り、それを体現している先生や友達たちにも励まされたのだと思います。

日本の時には感じていた要らぬ重圧から解放された気がしており、確実に性格は前よりも良くなったと思います。笑

④人を頼るようになった。

ニューヨークで就活する中で驚いたのは、日本以上に人との繋がりで仕事やチャンスが舞い込んでくるということ。だからこそ、「こんな仕事がしたい」「これが好きだ」「こんなことをしたい」と常に周りに言っている人には、チャンスが来やすいようです。逆に言うと、何も動かない人には何も起こらない。

私自身「この人のデザイン好きだなあ」と思った人には知らない人でも連絡したり、就活の相談をしたりするようになった中で、今まで知らなかった情報が手に入ったり、いろんな人や経験に出会えた気がします。また、貯金がなくなりつつある時に「どうしても仕事が欲しい。ビザがまずい」と周りに言いまくっていた時期があり、正直そういうことを認めるだけでもしんどかったのですが、助けてくれる人たちにも出会えました。そして、貴重な時間を割いて助けてくれた人たちに会うたびに、「私もちゃんと誰かの役に立てるように頑張ろう…」と励まされました。

⑤周りのモノやデザインで気付ける世界が広がった

最初は「いやいや字体とか文字の間のスペースとかまで詳細を気にしたり、そんな細やかにはさすがになれんよ」と思っていたのですが、いざデザインの基礎を学び始め、周りを見始めると、いかに色々な情報やデザインに囲まれているのかに驚かされます。そして、目に見えるデザインから、目に見えない意味を考え始めるのが無意識の癖になったように思います。

なぜこの字体をこのような使い方をしているのか。
この表現にはどんな歴史的・文化的背景があるのか。
ここずれているけれども何か意味はあるのか?

夏にインターン先のトイレに座っていた時に、トイレのドアと壁の角度が微妙に違い閉まらなかった時に、「このドアをイラレで少し形を整えられたらいいのにな」とぼんやり思い始めた時は、さすがに病的だなと自分でも引きました…。

けれども、その流れから、改めて数学や世界史に興味が広がっていき、いろいろな映画や本に触れるようになったので、世界が広がったように思います。


この記事を読んでいる人の中には、もしかしたら「本当は留学してみたい。けれども、ちゃんとやっていけるのか不安で踏み出せない」という人もいるかもしれません。私自身、明日どうなっているかわからない身なのですが、それでもそういった方や、留学でなくても、デザインに興味がある人たちにとって、この記事が少しでも前向きな気持ちになれるきっかけになれたら嬉しいです。

そして、この場を借りて、日本やニューヨーク、それ以外の場所から支えてくださった家族や友人に。しんどかったこともたくさんありましたが、いろいろな人の言葉や心遣いに救われてきました。(特に支えられたものはこっそりスクショしたりメモに残してあります。)本当にありがとうございました。


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