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新刊「本郷・ニ分間の絶景」が発売しました!_小説家の「片づけ帖」#23

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2023年、明けましておめでとうございます! 本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
本年も、皆さまと周りの方々にとって、良いことばかりたくさん起こります!

■新刊「本郷・ニ分間の絶景」が発売

さて、1月6日に、新刊「本郷・ニ分間の絶景」が発売となりました。

表紙は、立体・写真ともに、放課後片想い系妄想発明家 たいがー・りーさんが創作してくださいました。

出版が決定したとき、すぐ勇気を出してご連絡をしたところ、作品を読んだ上で作ってくださいました。

そもそも何の面識もない、かつタレントでもあるお相手だったのでいきなり連絡するときは緊張しましたが、りーさんは真摯にこちらの意図を汲み取って、そしてクリエイティビティーを惜しまずに分けてくださいました。筆舌に尽くしがたいほど感謝しています。

表紙の立体と写真は、たいがー・りーさん作

表紙のほかに、短編集の中の2作目「ニ分間の絶景」のタイトルページもあります(このページのことを、とびらあるいは中扉なかとびらといいます)。
こちらも、もちろん、りーさんによる作品です。

「ニ分間の絶景」の執筆にあたり、西荻にあるトライフルさんに、工房兼お店で時計修理についてお話を伺いました。
当時はまだ本になるメドなど一切なく、どこの馬の骨か分からない私の取材申し込みを快諾くださって、心より感謝申し上げます。

売れていて知名度があったり、出版社内で固定の担当編集者がついていたり、書けば必ず発表する場が用意されていたり、そもそも取材費が経費として出る立場の小説家とは違い、私の場合はまったくのゼロなわけです。その段階で忙しい時間を割いて取材を引き受けて、あまつさえ職場の写真を撮影させることは、トライフルさんにとってリスクでしかないはず。

それでも、「時計に関することだから」と引き受けてくださいました。
「時計に恩返しができるかな」と。

本作を書き上げてから出版までは何度も挑戦しては砕け、立ち上がっては挑戦し、4年ほどかかりました。出版が決まってからも1年ほどかかっています。
無事に発売までこぎつけた後、トライフルさんも喜んでくださり、お店のブログで紹介していただけたときは、うれしかったです。

■夢で見たシーンを基に書いた「ニ分間の絶景」

本作は、時計修理の仕事に没頭する父に対して、複雑な感情を抱いている娘の話。不思議な言い伝えが生きている(という設定の)蒲田という街が舞台です。

元々は数年前に私が夢で見たシーンでした。時計の修理工房とお店兼、親娘の自宅は、ほぼ夢で見たまま描写しました。仕事に関する2人の諍いも、夢そのまま。

目覚めたとき、
「あ、これ、なんか大事な会話を聞いた気がする」
とメモをとり、実際に書き出すまで2年ほど保管していました。その他のシーンや街の設定などは創作です。

……と、2作目についてばかり書きつらねましたが、桜の樹の下である老婆と出会う「本郷」も、私にとって特別な想いのある小説です。

何しろ本郷三丁目が好きでたまらず、また、この10年ほど妙に本郷のある樹木付近に仕事で縁があったのです。

どうか、一人でも多くの方に届くことを祈ります。

版元は、「惑星と口笛ブックス」。
こちらは、2002年『世界の果ての庭』で第14回日本ファンタジーノベル大賞を、2020年に第17回絲山賞を受賞した小説家・翻訳家である、西崎憲氏が主催のレーベルです。

西崎憲さんによる宣伝ページも公開されました。

amazon楽天ブックスなどでご購入いただけます。
サンプルページが多めなので、是非ご覧いただけますとうれしいです。

電子書籍。定価:580円

■”期待”という依存を手放す

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