現在の地政学的な変化を背景に、ロシアとアフリカは包括的な医療パートナーシップの強化に向けて新たな決意を示しているようだ。

Modern diplomacy
ケスター・ケン・クロメガ
2024年4月24日

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現在の地政学的な変化を背景に、ロシアとアフリカは包括的な医療パートナーシップの強化に向けた新たなコミットメントを示しているようで、2019年10月と2023年7月に開催された第1回と第2回のロシア・アフリカ首脳会議でいくつかの共同協定に署名した後、新たな章が開かれた。 ソビエト帝国の突然の崩壊後、ロシアはアフリカから大きく後退したが、今は1991年に出発した場所を取り戻すために、蛇行した帰路についている。

医療提供のコンセプトは、アフリカ全域でまったく同じである。 現実的には、アフリカはいまだにあらゆる種類の熱帯病に悩まされ、伝染病は極めて一般的で、さらに悪いことにアフリカにはワクチンの製造拠点がない。 その結果、アフリカはアメリカ、ヨーロッパ、アジアからの輸入医薬品に大きく依存している。 アメリカとヨーロッパはアフリカの保健分野で重要な役割を果たしてきたが、中国とインドがアフリカの製薬業界を支配していることも調査で明らかになっている。

アフリカ疾病管理予防センター（Africa CDC）は、ワクチン製造エコシステムのための外部投資を得るために奮闘している。 過去数年間、アフリカCDCはワクチン製造、公平性、ローカライゼーション、サプライチェーンと調達プロセスの強化に関する戦略的洞察の必要性を説明するために、世界各地で活動してきた。

さらに、革新的な資金調達の必要性や、アフリカ大陸の研究開発や製造における人材不足を克服するための調整強化の必要性を中心に、重要な議論を喚起してきた。 重要な収穫のひとつは、潜在的な海外投資家に対し、パートナーシップを育み、労働力開発を後押しし、研究開発バリューチェーンの完全な現地化を支持するよう一貫して頻繁に訴えていることである。

資金を動員し、対応策を見出すという観点から、アフリカ連合はAUコビッド19対応基金を設立し、アフリカ輸出入銀行（Afrexim Bank）と共同でアフリカ・ワクチン取得信託（AVAT）を立ち上げた。 AVATはロシアの製造業者から3億個のワクチンを調達しようとした。 アフリカCDCは、コロナウイルスが発生した際、ロシアがアフリカ連合を通じて3億のワクチンを提供することに、合意文書が正式に調印されたにもかかわらず、ひどく失敗したことに大きな失望を覚えた。 この事実を受け、アフリカCDCはアフリカ大陸へのワクチンのタイムリーな供給と供給を求めた。 少なくとも、ロシアが数千のワクチンを撒いたことは報告されている。 にもかかわらず、『スプートニク』コヴィド19ワクチンが、差別的なやり方で、アフリカ諸国に遅れて届けられたことも公に証明された。

中国はアフリカと未来を共有する

中国はしばしば、アフリカが常に未来を共有する共同体の中にあることを示唆してきた。 医療従事者の訓練だけでなく、保健分野で必要なインフラを提供するなど、そのコミットメントを顕著に示してきた。 その成果は、ここ数年の間に建設されたあらゆる種類のインフラに特に現れている。 最近では、エチオピアのアジスアベバにアフリカCDCの本部を建設し、アフリカ全土の基本的な保健医療提供における協力を促進する努力を続けている。

この決定は、北京で開催された中国・アフリカ協力フォーラム（FOCAC）第7回閣僚会議で下され、中国政府はアフリカCDC本部の建設を支援することを表明した。 アフリカの指導者たちはこれを感謝を持って歓迎し、プロジェクトの実現を支援することを約束した。 アディスアベバの南、アフリカ村に位置する新しい敷地は90,000m2の広さで、総建築面積は40,000m2近くになる。 建物には、緊急オペレーション・センター、データ・センター、研究所、リソース・センター、ブリーフィング・ルーム、トレーニング・センター、会議センター、オフィス、駐在員用アパートが含まれ、これらすべての建設、家具、設備は中国政府によって提供される。

中国企業はアフリカで現地企業との共同ワクチン生産に積極的に取り組んでおり、各国の希望に応じてワクチンの現地生産の実現を支援している。 報告によると、中国企業はエジプトで現地生産を開始し、モロッコとアルジェリアと協力協定を結んだ。 さらに、中国は大陸の多くの国に医療チームを派遣している。 中国はまた、アフリカ諸国と積極的に疫病対策の経験を共有し、アフリカ17カ国に疫病対策医療専門家グループや短期疫病対策医療チームを派遣し、現地の人々とともに疫病と闘っている。

間違いなく、中国は2021年4月にアフリカ連合が立ち上げたアフリカワクチン製造パートナーシップ（AVMP）に本格的に参加している。 この大陸ワクチン製造ビジョンは、"アフリカに持続可能なワクチン開発と製造のエコシステムを確立することにより、アフリカが公衆衛生の安全を守るためにワクチンをタイムリーに入手できるようにすること "である。 上記の一瞥は、アフリカとの保健パートナーシップに対する中国の揺るぎない支援の見事な証しである。

インドによるアフリカ保健セクターへのコミットメント

オブザーバー・リサーチ財団（Observer Research Foundation）のアソシエートフェローであるサミール・バッタチャリヤ氏は、変化する世界秩序におけるアフリカを中心とした地政学を研究しており、インドの医療分野におけるアフリカとのパートナーシップには長い歴史があると力説する。 インドの病院やヘルスケア・サービス・プロバイダーに加え、製薬会社もアフリカで強い存在感を示している。 インド・アフリカ保健基金にも貢献している。 インフラ、技術、アクセシビリティ、手頃な価格という点で、医療分野におけるインドの進歩を考えれば、今日、インドはアフリカの医療システムのニーズを満たすことができる。 毎年5万人以上のアフリカの患者が医療ビザでインドを訪れており、これはインドの手頃な価格で質の高い医療に対する需要を反映している。 ナイジェリア、ケニア、タンザニア、ガーナ、南アフリカ、スーダン、ザンビア、モザンビークが最も多くの患者をインドに送っている。 ナミビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコ、エチオピアが他の主要国である。

「アフリカの経済成長と発展について語る一方で、医療への投資なくして経済発展はあり得ません。 2021年3月31日まで、インド輸出入銀行はアフリカのいくつかの国に対し、総額16億ドルの保健医療プロジェクトのためのクレジットラインを拡張してきた。 アフリカへの医薬品供給におけるインドの重要性を考えると、インドの医療提供者とアフリカのパートナーとの間で、能力開発、病院の設立、遠隔医療への投資などの分野で協力関係を強化することが重要です」と、学術研究者のバタチャリヤは言う。

参加を促進するロシア

現在の地政学的状況において、ロシアはアフリカへのロードマップとともに激動の時期を迎えている。 それは、アフリカで拡大する新植民地主義を根こそぎにすることである。 大規模なロシア・アフリカ・サミットは、モスクワとアフリカの関係史上初のものであった。 公式文書によると、合計569の実務会議が行われ、92の協定が締結された。 近年、ロシアとアフリカの伝統的なパートナーシップの絆は新たな勢いを増しているが、二国間協定のいくつかはまだ事務的なものにとどまっている。 共同コミュニケでは、ロシアとアフリカは「伝染病予防における協力の展望を検討し、医療制度や医療サービス提供者の能力などの分野における協力強化の方法を見出す」とし、さらに他の公衆衛生上の課題にも言及している。

2023年7月に発表された2回目のコミュニケで、ロシアはアフリカに対し、新植民地主義に反対するよう促し、多極化する世界の不可欠な柱としてのアフリカの影響力を指摘し、アフリカ諸国に与えた経済的損害に対する補償を確保することを約束した。 コミュニケ（第61点）によれば、次のとおりである： 「伝染病、パンデミック、その他の公衆衛生の課題との闘いにおいて、各国の保健システムを強化し、その信頼性と持続可能性を向上させる。

ロシアは、アフリカ諸国における医療へのアクセスと慢性疾患の効果的な治療を妨げているいくつかの障害があると主張している。 医療従事者の不足は特に差し迫った問題であり、近代的な機器の不足は官僚主義や政治指導者による保健分野へのビジョンの欠如と相まって頭痛の種となっている。 しかし、アフリカの疾病負担に対する長期的な解決策を見出す必要がある。

ソビエト時代と現在の最先端技術を持つロシアは、アフリカを支援するために新たな一歩を踏み出した。 2024年4月中旬、ウラジーミル・プーチン大統領は、新興感染症に対するアフリカ諸国の脆弱性を認識し、アフリカ諸国との強固なヘルスケア・パートナーシップの育成にロシアが献身することを再確認した。 4月17日から19日までウガンダのカンパラで開催された第1回ロシア・アフリカ感染症対策国際会議の出席者への歓迎メッセージの中で、プーチン大統領は、アフリカにおける衛生的・疫学的福祉の強化を目的としたロシアの進行中の支援プログラムを強調した。

プーチン大統領は、「2023年に開始された我々の援助プログラムには、10カ所の移動式高密度の生物学的研究所の配備、350人以上のアフリカの専門家の訓練、共同科学研究の実施などの取り組みが含まれている。 ロシアは、感染症対策におけるアフリカ諸国との協力を拡大する。 今年は、ウガンダ、ギニア共和国、コンゴ共和国、ブルンジ、マダガスカルとの交流を計画している。」と述べた。

このコミットメントは、ブルンジが最近、ロシアによって完備された専門的な感染症研究所を発足させたような行動で示された。 ヴァレリー・ミハイロフ大使は、この研究所が出血熱やレプトスピラ症などの病気の治療に大いに役立ち、この地域の健康上の重大な課題に取り組むことになると指摘した。 昨年11月、ロシアのウイルス学者と軍人がブルキナファソに移動研究所を派遣し、2023年に数百人の命を奪った伝染病の流行時にデング熱のスクリーニングを支援した。

プーチンは、感染症と効果的に闘うために、アフリカ全土で医療、科学、技術の能力を強化する緊急の必要性を強調した。 カンパラで開催中の会議は、第2回ロシア・アフリカサミットで提案された協力的な取り組みの一環であり、20カ国の医療専門家、疫学者、微生物学者の知識共有を促進することを目的としている。 「私は、この集団的な努力が具体的な結果をもたらし、アフリカの人々の健康を守ることに貢献すると確信している。」と述べた。

第1回ロシア・アフリカ感染症対策国際会議の開会式で、ロビナ・ナバニャ首相は、ロシアに医療分野での提携、特に診断機器、試薬、ワクチン、医薬品の生産への投資を呼びかけた。 ナバンジャ首相によると、アフリカの大部分は亜熱帯に位置しており、そのためアフリカではしばしば感染症が発生するという。 その例としてナバンジャは、2014年から2016年にかけてアフリカ3カ国を襲ったエボラ出血熱の流行を挙げた： ギニア、リベリア、シエラレオネだ。 「その後、28,000人が感染し、11,000人以上が死亡しました」と彼女は振り返った。

2014年から2016年にかけて、ロシアの衛生監視部門はギニア共和国で発生したエボラ出血熱の撲滅に一役買い、2017年にはマダガスカルのペスト発生への対処を支援した。 昨年は、コンゴ共和国で発生した大規模な腸管感染症の撲滅に同局の専門家が参加した。 このような課題にもかかわらず、ロシアは、アフリカとの保健分野における共通の優先事項を具体化するための方法を描きながら、協力的な関わりをアップグレードしたり、規模を拡大したりする必要がある。

「アフリカ大陸では、ロシアはギニア共和国とブルンジ共和国に感染症の予防と研究のための2つの共同科学センターを設立した。 このセンターは、危険な感染症の発生と闘い、既存の微生物を監視し、未知の微生物を探索する任務を組織し、新しい検査を開発している。 アフリカの専門家も訓練を受けています。」と、カンパラの会議で、連邦消費者権利保護・人間福祉監視局（ロシアの衛生監視機関）のアンナ・ポポワ局長は述べた。

とはいえ、ロシアはアフリカ諸国に7つの移動実験室を寄贈し、疫学、感染症診断、生物学的安全性に関して1,500人のアフリカの専門家を訓練した。 「私たちの協力の主な任務は、アフリカ諸国が独自に伝染病を予防し、対応できるようにすることです。」とポポワ氏は述べた。

例えば2019年、ロシアのアルミニウム生産会社RusAlとRospotrebnadzorは、ギニア共和国のロシア・ギニア疫学・感染症予防センターに移動式実験室と研究物資を納入した。 疫学・微生物学の臨床・診断研究センターは、ギニアにおける致命的なウイルスの蔓延を防ぐため、エボラ出血熱流行の真っ只中の2015年にRusAlによってキンディア地方に建設され、完全装備された。 この移動実験室は、ロシア連邦からの推定1000万ドルの支援による感染症対策の一環として納入された。 しかし、RusAlは2001年以来ギニア共和国で操業しているため、金銭的な支援では絶対にない。 Compagnie des Bauxites de Kindia（CBK）とフリギア・ボーキサイト・アルミナ生産施設を所有している。

アフリカは期待を広げるべき

アフリカが保健医療提供システムを改善するための多様なメカニズムを模索する一方で、潜在的な外部アクターとの関わりをシフトするためには、より慎重なアプローチが求められる。 その方向性において、アフリカはおそらく、従来のパートナーとの関係を維持し、既存のつながりを拡大し、新たな多面的なつながりを構築することによって、現実主義を貫くべきである。 それは、保健プログラムやプロジェクトの実際的な実現を確保することに基づいた関係であり、純粋に地政学的な複雑さや背景を避ける最善の方法であることを意味する。 地政学的なことは忘れ、本物の有力投資家や保健組織を探すことだ。 最も重要なことは、14億人以上の人口を抱えるアフリカは、経済変革の過程で単に健康であるだけの人々を必要としているということだ。

しばしば、アフリカは世界で最も急速に人口が増加していると言われる。 同時に、莫大な資源を誇りながら、貧困と疾病が今日の課題となっている。 アフリカに住む人々の50％以上が26歳以下である。 しかし、近代的な技術が不足しているため、アフリカ大陸の生活の質は世界最低レベルである。 アフリカの指導者たちは、アフリカ連合のアジェンダ2063に合致するよう、社会経済面での構造転換を図り、保健政策を見直し、アフリカ大陸の健康不足に対処しなければならない。