ああ、トキワ荘

かつて手塚治虫や藤子不二雄、
石ノ森章太郎や赤塚不二夫が住んだ
「トキワ荘」というアパートがあった。
日本の漫画文化の発祥地と言ってよく、
漫画ファンにとっての聖地である。

なくなってしまった「トキワ荘」が
ほぼ同じ豊島区南長崎で甦ったのが、
「トキワ荘マンガミュージアム」だ。
伝説のアパートが再現されて
間取りなども一緒なのである。

トイレは共同の肥だめ式であり、
共同炊事場も完全に復元している。
何台ものガス台と正面に巨大シンク、
クソ暑い夏の夜中に赤塚と石ノ森が
この巨大シンクで行水を行った。

各人の部屋は四畳半でとても狭い。
ここで漫画をせっせと描いたのだ。
締め切りに間に合わないと、
みんなで集まって助けたり、
仕事が手に余ると誰かに分け与えた。

石ノ森と赤塚は長き親友だった。
ある日、石ノ森が食あたりに合い、
優しい男、赤塚が介抱した。
石ノ森にギャク漫画の依頼があり、
かねて描きたかった赤塚を推薦。

漫画家として自信を失って、
カフェで働こうとしていた赤塚は
ドキドキしながらも発憤、
それが『ナマちゃん』になり、
ギャグ漫画家、赤塚が誕生した。

ミュージアムの特別展は
「石ノ森章太郎と赤塚不二夫」。
二人の絆がよくわかる企画展、
二人が描いた漫画もいいが、
その頃の部屋の写真が凄くいい。
石ノ森も赤塚も若かった。
若いというだけで夢があった。