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イヤなアイツが好きになる?漫画『ツキイチ!生理ちゃん』

会社を休みたいけど、上司に理由を生理と言いづらい。

友達と遊ぶ約束をしていたけど、生理痛がひどいから外出したくない。

女だけにきて、男は一生体験しないのは正直ずるい。(地球上の男性のみなさんごめんなさい)

男としても理解してあげられないし、よくわからないし、できればあんまり触れたくない……

そんな生理にまつわる暗い印象が一気に吹っ飛ぶギャグ?マンガを発見してしまった。

「ツキイチ!生理ちゃん」(著者:小山健)である。

(画像:Amazon公式HPより)

月に一度訪れる現象を擬人化(キャラクター化)した「生理ちゃん」と、実際に生理になる女性、そして周囲の人々とのやり取りをオムニバス形式でまとめている。

このピンクのハート…のような説明し難い見た目をしているのが「生理ちゃん」

(画像:生理ちゃん公式LINEより)

すべてのエピソードは、生理になる女性のところに生理ちゃんが「きちゃった…テヘ」と訪れるところから始まる。

多くの女性は生理という現象に対して前向きなイメージは持っていない。もちろん生物学的に重要なことだと頭で理解はしてはいるが、そんな理屈なんかくそくらえという気持ちになるほど、生理はわたしたちを不自由にする。

小さい頃から外で遊んでばかりいる男勝りな性格だったわたしも、その不自由さに当時なぜ自分に生理が来るのか理解できなかったし、したくもなかった。

マンガに登場する女性も例外ではなく、生理ちゃんはまったく歓迎されていない。もれなく「もうきちゃったのかよ〜」と邪険にされている。
それでも生理ちゃんは「まぁまぁそういわずに」と近づいてきて嫌がる女性に有無を言わさず生理パンチを食らわせる。このパンチが容赦ない。絵はあきらかにギャグなのに、この容赦のなさがリアルで思わず守るようにお腹に手をあててしまう。

マンガの魅力のひとつであるリアルさは生理ちゃんだけではない。

高校生の同級生の男女が、女の子の生理期間中だけからだが入れ替わるというエピソードで、女の子は男の子のもとに「性欲くん」が訪れることをはじめて知る。そして互いに生理ちゃんと性欲くんとの付き合い方を相談しアドバイスし合うという現実にありえない設定だが、2人の会話や悩みがあまりにありふれていて、自分の高校生時代を思い出す。

これは、著者である小山健氏が男性であるということも関係しているかも知れない。男の正直な目線や意見が反映された少々エッジィなギャグも盛り込まれており、笑える。だからこそ、わたしたちは生理ちゃんもとい生理を冷静に捉えることができる。

読み進めるにつれて、疎まれモノを投げつけられながらも生理ちゃんはわたしたちを守ってくれていることに気がつき、温かく前向きな気持ちになる。あれほど自分から切り離したいとおもっていた生理ちゃんが不思議なことに、とても愛おしくなるのだ。


「ツキイチ!生理ちゃん」はオモコロというWEBメディアで配信されていたマンガだ。

女性からの共感を強く呼び、マンガ本として書店発売もされているが、このマンガ本に収録されている全10話を、すべてWEBメディア、オモコロで読むことができる。

オモコロはWEBメディアとして、


記事やテキスト、漫画やラジオなど多ジャンルに渡る不真面目な制作物を掲載しています。人生のタメになることや、意味のあることは基本的に掲載されていません。


と表明しているが、掲載作品でここまで感動をよんでしまったからには、この自己紹介は通用しないのではないか…と思ってしまう。

その人気を後押しするように、角川文庫の「月刊コミックビーム」で11月号から新連載も始まった。

今後も生理ちゃんの愛あふれるパンチを読むことができる。また単行本になったら自分を勇気付けるために買おうかなと思っている。

文:ほんさち子

編集:円(えん)

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