ミステリは絶望を解きほぐす

「ミステリー」と聞いて、まずはじめに思い浮かんだのは『シャーロック・ホームズ』。人生で最初に絵本以外で興味が出たのがホームズのシリーズだ。
小学校1年から公文式に通っていたが、くもんの児童文庫にあった。
かの石ノ森章太郎氏が監修を務めた漫画で、実際の作画は石川森彦氏が担当している。母が興味をもって借りていたものを、わたしが目をつけて、結果娘のほうがはまったというわけだ。
ホームズとの出会いは今でも鮮明に覚えている。
あるときの朝、目が覚めると枕元においてあった一冊の本。それがまさしくホームズの『まだらの紐』と『グロリアスコット号』。作者の中でも評価の高いとされる短編と、ホームズの若かりし時代が語られる貴重な過去編に最初に巡り会えたのはわたしにとって幸運だったと思う。

それ以来、わたしはミステリーや謎解きものに虜になり、金田一耕助シリーズやアガサ・クリスティの名探偵ポアロなんかに夢中になった。
児童文学で自分と同じくらいの女の子が謎解きに挑む『少女探偵ナンシー』もかなり熱心にシリーズを追いかけていた記憶がある。

大きくなるにつれて学校や部活に忙しくて、ミステリーを読む機会も減ったが、時間の限られた中一生懸命読んでいたのは『スパイラル〜推理の絆〜』(作者:城平京 画:水野英多)という、月刊少年ガンガンで1999年9月号から2005年11月号まで連載された漫画作品。2013年6月時点で累計発行部数は510万部を記録しているらしいので、人気ぶりが伺える。

警視庁で「神の頭脳」と謳われながら、突如姿を消した兄。主人公・鳴海歩は、兄にも負けない頭脳を生かし、周囲で起こる事件に挑んでゆく。しかしそれは、「ブレード・チルドレン」と呼ばれる少年少女達と、そして、兄・鳴海清隆をめぐる謎の序章にすぎなかった…。
(dアニメストアより引用)


いわゆる殺人事件に対してトリックの謎解きをする王道なストーリー展開で始まりつつ、壮大な人体実験にまで波及するアクションありロマンスありの非常にエンタメ性の高い作品だと思う。

特に、主人公の兄に対するコンプレックスや自身のおかれた過酷な状況を乗り越えようとする姿に毎月ドキドキしながら読んでいたことを思いだす。

『スパイラル〜推理の絆〜』は絶望的な状況でも前に進んでいくことの強さを一番はじめに教えてくれた作品かもしれない。


編集:彩音 
 
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