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「ぼうぎょ」コマンドの存在意義

ターン制RPGの「ぼうぎょ」って、有用性の低いシステムだよなと思う。死にコマンドと化していたり、そもそも存在しない作品の方も多いのではなかろうか。ドラクエとかは典型例なんだけど、ロクに活用した試しがない。

◆一般的な「ぼうぎょ」コマンドの欠陥
・敵を倒すという戦闘の目的に貢献しない。
・それだけで1ターン消費する
・「攻撃」や「魔法」との対等な比較になるが、対等な価値があるように思えない。

ぼうぎょって多くの場合、「回復魔法までの緊急待機」とか「初見ボス戦での様子見」みたいな、消極的でイレギュラーな用途が殆どな気がする。「敵が力を溜めている……」を見て味方全員で防御するのは、戦術のようでただの作業だ。

(そもそもターン制RPGの戦闘自体が、そこまで戦術的ではなく装備やレベルといった事前準備・育成を重視している傾向は強い。それはそれでユーザーに優しい作りで……と展開すると別の話になるのでいったんさておく。)

という訳で(?)何か「ぼうぎょ」を活用したゲームが無かったな~と記憶を漁ってみる回である。なお、ゲーム界隈どころか自分史すら精査しないノリと勢いで列挙していくので悪しからず。

・ポケモン
「ターン性のコマンド戦闘」「ぼうぎょを戦略的に活用する」という二点において、真っ先に思いついたのがポケモンだった。対人戦経験者ならピンと来るかもしれない。

厳密に言うと「ぼうぎょ」ではなく「まもる」という技なんだけど。これは1ターンの間攻撃を完全無効化するという技だ。とはいえ普通に使うだけでは双方1ターン浪費するだけに過ぎないので、DoTや持続回復と絡めて時間経過に価値を発生させる戦術が主流である。

毒を盛って防御連打するだけなら他作でも散見されそうではある。しかし「まもる」の連続使用は成功率が下がっていくことや、相手の攻撃以外の行動をタダでされてしまう裏目を考えれば、リスクも十分あり戦略的な方と言えるだろう。

特にダブルバトルでは集中攻撃による各個撃破が強力なため、それをいなすための「まもる」採用率も高いなんて実態があったりもする。

ダブルバトル:2vs2の対戦形式。アニメやゲーム本編の印象とは異なり、実は世界大会の主流ルールだったりする。

惜しむらくはぼうぎょコマンドかと言われると怪しい点だ。上述の例も、RPGのシステムというより対人ゲームにおける読み合いという側面が強い。

・世界樹の迷宮
タンクのスキルではなく、ちゃんとデフォルトのコマンドに「defense」は実装されている。そしてジョブによっては「defense実行時にMPが回復する」といった付加価値を持たせるスキルがあるのだ。これはターンの浪費行動にしかならない問題をある程度改善している。

そもそも世界樹シリーズ自体、敵の攻撃がやたら苛烈で雑魚戦でも全滅しかねないので、ぼうぎょする機会は比較的多い方かもしれない。メガテン系統も同様である。ATLUSゲーは純然たる難易度でぼうぎょの必要性を高めているのだ。戦略的なシステムとは言い難いが、活用という点では生半可に凝ったシステムよりよほど出番がある。

小ネタになるが、世界樹の迷宮4の最初のボスは「力を溜めている……」の次のターンにまだ攻撃はせず、更に力を溜めるという行動を取ってくる。これは、RPG慣れしたプレイヤーが直感的に全員を防御させるのをメタった戦法だ。最適解は溜め中に火力を叩き込んで体勢を崩すことである。システムというよりボスギミック。

・ソフィーのアトリエ2
直近でクリアしたRPG。錬金術によるアイテム製作の陰に隠れて、意外と戦略的な「ぼうぎょ」システムを戦闘に取り入れた作品だった。

まず、本作には装備品に「護符」という防御コマンド用のアイテムが存在している。これは「武器」「防具」「装飾品」とは競合しない専用の装備スロットだ。護符の性能によって、キャラクターは防御した時に様々な追加効果を得られるのだ。

今回の件で色んなゲームを浮かべて、ぼうぎょに追加効果を与えるというのはありがちな活用法だと気付くことができた。しかし専用の装備品枠まで用意しているのは珍しいケースだ。その装備品の性能にしてもアトリエなので自作することになり、細部に渡ってのカスタマイズ性は非常に高い。

他にも、独立したゲージを消費してターン消費無してぼうぎょできたりもする。このシステムと上述の護符効果によって、本作でぼうぎょを使用する機会は結構多い。システムたるもの、実戦で使える性能ってのが大事なんだよね。

・MOTHER3
ドラムロール式のHPが有名な作品。致死ダメージを受けてもすぐ死亡判定にはならず、ライフがくるくる回りながら減っていくアレ。回っている最中に回復が間に合えば生存できるのだ。だからターン制RPGの癖に、リアルのコマンド入力速度が要求されたりする。急いで回復アイテムを選んで使用できれば生き残れたりする。

で、あのHPドラム、実は防御実行中は目に見えて減速するのだ。斬新なシステムの応用である。とはいえ活用機会はそんなに無いんだけど。一部のイベント戦闘では大活躍しますけどね……。


いまパッと思いついたのは以上だ。ドラクエとかFFオクトパストラベラーとか、普通のRPGは普通に無用であることが殆どだった。軌跡シリーズやGRANDIAでは次の行動手番が早く回ってきた気がするが、あまり活用できてた記憶はない。

ちょっと脱線だが、崩壊スターレイルという比較的新しめのターン制RPGでは、逆に実装されていない「ぼうぎょ」が欲しくなる時が稀にある。カウンターを誘発させないとか、弱いキャラで靭性撃破したくないとか、行動淳を調整したいとか……。実は失って初めて気が付く地味な有用性があったり……?

さて、こういう記事って専門性の高いマイナーゲームのオタクシステムを紹介するものではなかったか。自分のRPG遍歴はメジャー所に偏っていたようである。ちゃんと調べればもっと独特なシステムの例も出てきそうだが、また別の機会にでも。何か知っていたら教えて下さい。

冷静になるんだ。