ミツバチ見かけますか?(最大の難関の養蜂場所探し①)

養蜂を始めるあたって一番初めの難関は、どこで養蜂を行うかです。

私の場合、初めは、日本ミツバチのみを飼うことを考えていたので、日本ミツバチのいる場所なら飼えると考えて探し始めました。日本ミツバチは、野生群の捕獲から養蜂が始まるので日本ミツバチの存在の確認は重要な工程の一つです。

場所探しで気を付けたいポイントについて話したいと思います。また、蜜源についてはまた別に話をしますので併せて考えてください。

①蜜蜂の生息確認
 ところで、最近ミツバチを見たことがありますか?
いざ探してみるとミツバチは全然見つかりません。
世間では最近こんなことが言われています。

「ミツバチが減っている。」
「新型の農薬(ネオニコ系)で蜂が大量失踪した。」
「アカリンダニで日本ミツバチは、絶滅寸前だ。」

聞いたことありますか?

 確かにその地域ごとでは正しいのですが、本当はいるのにただ蜜蜂を見つけられていないだけと言う可能性も高いのではないでしょうか。何故なら蜜蜂は、効率よく花の蜜を集めようとする為、糖度が高く、まとまって咲いている、たくさん蜜をふく、ミツバチの好きな香りの花の蜜を優先して集団で一斉に集めるからです。

なので、例えば、5月の一番色々な花が咲いている時期では蜜蜂がどの花に集まっているかを予想するのが大変で(時間帯によって、花により蜜を出したり出さなかったりします。)、逆に花がほとんど咲いてない夏の終わりは蜜蜂もやる気がなくあまり飛んでいません。また、早春は越冬の為、南関東に避難してきた東北の養蜂家の西洋ミツバチがたくさん飛んでいます。

自分が結局たどり着いた方法は、「秋のセイタカアワダチソウの群生地で確認する」です。関東の場合、10月後半はまだ暖かく蜜も花粉も大量に出すこの雑草の他に有力な花もないので蜜蜂が大量に集まります。晴れの暖かい日、5メートル四方のセイタカアワダチソウに蜜蜂が来てなければ、そこには、ミツバチはいないと判断できると考えています。(もちろん、外れる場合もありますが)

②日本ミツバチの判別
 次の問題は花に来ている蜂が日本ミツバチかどうかです。

日本には、蜂が4000種以上生息しています。自信を持ってミツバチと回答できますか?

 ミツバチと同じように黄色と黒のシマシマのミツバチより少し大きいミツバチの女王蜂くらいの大きさの蜂もセイタカアワダチソウに訪花していました。「女王蜂も蜜を集めるのか!」とも一瞬思いましたが触角が長く別の蜂でした。また、やたら大きなミツバチが小さな花(ヤブガラシ)の蜜を吸っていると思ったら、コガタスズメバチだったこともあります。小型と言いながらもうちの近所では、4センチ超の大型のスズメバチです。

そして、やっかいなのが日本ミツバチと西洋ミツバチの違いです。一般的に日本ミツバチは、西洋ミツバチに比べて黒っぽく、ひとまわり小さいです。ですが、日本ミツバチは春から暖かくなると体色が黒から黄色っぽくなり、西洋ミツバチに似てきます。また、暖かい時期に体がひとまわり大きくなったりします。そうなると、パッとみでは全くわかりません。羽の脈を見ないと判断つかないのです。巣で確認すれば、習性が全然違うので一目瞭然です。ただ、訪花している時に確認すると、うっかり間違える場合があります。

③ご近所トラブルの回避

 現在、駅近くのマンションの5階に住んでいますが、ぶっちゃけベランダでミツバチを飼うことは可能です。ですが、実際に蜜蜂を飼ってしまってはトラブルは、必至。追い出されかねません。

また、新しく養蜂を始めることを検討している人は、ポジティブに考え過ぎなことが多いです。田舎なら、果物や野菜がよくなるようになり、喜ばれると思い込んでいる感じでしょうか。ミツバチは、よく白いものに糞をしたりします。花粉由来の鮮やかな色が残ります。

真っ白な洗濯物や新車に落ちない黄色の糞。許せますか?実際には、自分の飼育している蜂が原因かどうかなんてわかりません。でも、相手にしたら近所で飼育しているひとしか思い浮かばないでしょう。

なので、ご近所さんとは始める前から良好な関係を築いているべきです。

④養蜂家同士のトラブル

 一ヶ所でとれる蜂蜜の総量には、上限があります。なので、近所で養蜂されることを養蜂家は、嫌がります。自分で整備した蜜源ならなおさらです。

養蜂は、届出制で許可制ではありません。拒否する法的根拠は、ありませんが、後から養蜂する人は、既に養蜂している人と調整することがマナーになっています。

各県の農業事務所に候補地の2キロ以内に飼育者がいるかを問い合わせてみるとよいでしょう。長野県など養蜂の盛んな地域では、特に要注意です。

⑤最後に

 その土地が買えるか、借りられるか、家からのアクセスがよいか。自分が重要視しているのは、渋滞なくアクセス可能か、また、他の蜂場と住居の直線上にあるかです。養蜂は、意外と作業に時間がかかります。効率的に作業できる場所を探すべきです。

 購入を検討する場合、農地は簡単には購入出来ないので養蜂の為だけであれば候補から外した方がよいでしょう。土地の譲渡には農業委員会の許可が必要ですが、かなりの広さの農地と営農実績が必要です。また、地域によっては、血縁関係だったり、よその人には無理な条件があり(もちろん明記されてません。)更に困難です。養蜂にはあまり広い土地は必要ありません。広すぎると草刈りなどの管理の手間が増します。管理が不十分だと周りの農家さんなどからお叱りを受けることにもなります。

 なので、候補地としては、住居の建築ができない「市街化調整区域」か地目が「山林」の土地がオススメですが(地価が安く住宅も少ないです。)、雑木林を更地にするのはかなり大変なのと、保護林になっていると立ち木の伐採が出来ないので注意が必要です。予め、更地に近い土地を探してください。抵当権や賦課金なども確認しておきましょう。少額の取引でも不動産屋を通した方が安心です。

いかがでしょうか。実際に養蜂にふみきる人は少ないと思いますが、参考になればと思います。

次の記事は、ミツバチの視点からみた飼育場所探しの話です。
ミツバチから見た景色(最大の難関の養蜂場所探し②)

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