【ココロコラム】簡単に集中力アップ『メタ認知』で集中力を高める方法!

今回は、集中力についてです。同じ仕事や勉強をしていても、集中力次第で、かかる時間も、成果も大いに変わってくるもの。簡単に集中力を身につける方法を知っておくにこしたことはありません。

まず知っておくべき原則は、「目標をはっきりさせる」ことです。穴を掘り、また埋める、ということを繰り返させる有名な囚人の実験があります。まったく意味のない作業ですし、目標も見えません。これをひたすら繰り返させると、作業の能率が下がるばかりか、最終的にはみんな精神的におかしくなってしまったのです。普通の人間は、ゴールが見えていない課題には、うまく取り組めないものです。

こういうお話をすると「目標は志望校に合格すること」「与えられた仕事をうまくこなすこと」などと決まっているという方がよくいます。ここが落とし穴。こういう目標では、漠然としすぎていて、集中力が続かないのです。心理学的に上手な目標の立て方というのは、その日一日でできそうな目標です。

逆に言うと、ある大きな目標を立てたら、それを一日単位に分割することが非常に大切です。この作業をやらないと、集中もできませんし、目標の達成率が落ちます。大きな目標というのは「達成できればこういういいことがある」というような動機がメインになります。これを心理学では【外発的動機付け】といいます。それに対し、一日単位に分割した目標は、その目標をうまくこなすこと自体に喜びを感じやすく、【内発的動機付け】になります。【内発的動機付け】のほうが【外発的動機付け】より、物事をうまくこなせる可能性が高いことは、心理学の常識です。

では、うまく分割した目標を、集中力を持ってこなすにはどうすればいいのか? これには二つ簡単な方法があります。一つ目は、「簡単な課題から始める」ということです。プロ野球選手が試合前の練習のウォーミングアップに、素振りとかキャッチボールとかをするのはなぜかといえば、技能を上達させるためではありません。簡単なことをやることで、精神や身体を、徐々に集中できる雰囲気に演出しているのです。同じことが一般の仕事にも言えます。いきなり難しいものからスタートするのではなく、簡単なものから片付けることで、やる気を乗せるわけです。

二つ目の手法で知っておくとトクをするのは、【メタ認知】という観点です。具体的には、「いま、集中できているな」とと感じたときにプラス1点をつけます。逆に「ちょっと集中力がないなあ」と感じたらマイナス1点をつけます。このように点数をつけることを1週間ほどやってみるのがお勧めです。点数自体はあまり気にしなくてかまいません。

集中している(あるいは、していない)自分を、客観的にもう一人の自分が見つめるような視点のことを【メタ認知】といいますが、この視点を持っているかどうかが非常に大切なのです。その視点を獲得するために、このような点数付けをちょっとの期間やってみると、かなり効果があります。

実際、【メタ認知】度が高いほど、集中力が上がることが実証されています。これは集中力に限らず、感情に流されやすい人などにも応用できる手法です。怒りっぽくて困っている人などは、「いまちょっと感情的だなあ」と感じたときにマイナス1点をつけていくというようなことをするだけで、かなりの程度改善が見込めます。


集中力を持って仕事や勉強をこなしていきたいものです。明日からでも応用できます。ぜひ試してみてください。
(精神科医・西村鋭介)

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