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「夢をかなえる人はいつも静かなのだ」自然・命・生きること

希望と絶望。
誰かを支え続けること。
自分と他者。
思っていることを言葉にすること。
言葉にして伝えること。
そして「勇気」

タイトル:リラの花咲くけものみち
著者:藤岡陽子


主人公の聡里(さとり)は
祖母のチドリに育てられ
獣医師になるために北海道の大学寮に入る。

そこからこの物語が始まる。

義母との関係から人と関わることが怖くなり
祖母の庇護のもので暮らしていた聡里が
共同生活を始める。

私の予想に反して
聡里は初日から自転車を購入して
行動範囲をいっきに広げた。

行動範囲が広がるからといって
社交的になるかどうかは別の話。
動物や植物を通して人と関わっていくのだ。

本では聡里の心情を書いてあるけれど
もしも実在の人物ならどうだろう?

目の前に黙っている人がいたら
心情をくみ取ったり
待ってあげることができるだろうか?

おそらく
ここに登場している人たちは
言葉を持たない動物とのかかわりで
「察する」
「くみ取る」
「待つ」
ができるのかもしれないと思った。

人が成長するときは
「庇護」から出ることはとても重要なのだ。

「庇護」から出たときに
自分の足で立てるのか?
自分の足で歩けるのか?
手を動かせるのか?
何かをつかむことができるのか?

その練習を「庇護」のうちにするのだろう。
それが『巣立ち』なのかもしれない。

そして
「助けを求めることができるか?」

聡里は6年間の寮生活で
寮という場所に庇護され
先輩や友達に庇護され
ときにぎくしゃくし
ときに打ちのめされ

動物や植物や鳥に癒され
人のあたたかさにふれて
成長する。


「命」というテーマ
動物の命、人間の命
そしてどう生きるか?

哲学的なことも
学生の生活と
動物などにかかわる様子を通して
書かれている。

全体を通して言えるのは
『とても優しい』

浮かんでくる風景や情景
登場する人々
動物、鳥、植物
季節の移ろい

使われている言葉
文章や表現
それらが
『とても優しい』


生きることや命を扱うことは
易しくない。

だから、きっと、おそらく

「易しくない」
ことをたくさん知っているから
優しくなれる。

農民として自然の中で暮らし
これからポニーを飼い
命に向き合う生活をする。

おそらく
「易しくない」
大きな課題だけれど。

勇気をもって進むことにする。

長編だけど
ぜひ時間を取って読んでほしい1冊。

【こんな人に】

  • 優しい気持ちになりたい人

  • 人との関わりに悩んでいる人

  • 静かであたたかい文章に触れたい人

  • 勇気が欲しい人

  • 獣医師を目指す人

  • 獣医師を目指しているお子さんを持つ人

にお勧めです。


この本で私が一番心に残った言葉。
「夢をかなえる人はいつも静かなのだ」
私もコツコツとそこに向かおう。



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