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交渉力とは何か(ネタバレ -> 記事本文中に答えはありません)

こんばんは。翻訳ジャーニーです。

私は自分のことを「交渉に強い」とは認識していません。まぁ、特に弱いとも思っていませんけど。しかし周囲の人からは交渉力を褒められることがあります。

過去に途上国を中心に40~50か国くらいを旅して現地でのんびり過ごしていた経験や、20年ほど自営業で生きてきた経験もあるので、なんか思い付くままに書いてみます。
(念のため書いておきますが、日本以外のほとんどの国では何に付けても交渉交渉です。特に途上国ではその傾向が強いのです。)

納得できないことはやらない

順不同で書きますね。私が交渉でまず考えることは、メリットとデメリットを消化した後の結論として、納得してやれるかどうかです。トータルして、プラスマイナスで納得いかないものは、手を出してはいけません。精神衛生上よくないですし、ベストな品質を出す妨げにもなります。ベストな品質を出さなくてもいいや、ってなると今度はどのくらいの品質で落とし前を付けてやろうかっていう問題が出てきて面倒です。なので私はベストな価格をいただいてベストな品質を出すことを基本としています。個人の感想です。

具体例を挙げると、MTの依頼とかがそうですね。私は基本的に、 raw MTのPEは受け付けていません。ただ、Hourly rateなら受けています。その場合、MT出力は全部消してからスタートしますけど。ワードレートでMTを受けると苦痛ですけど、Hourly rateだと苦痛じゃないですよね。全消しスタートできるので。

交渉で「勝とう」としない & 相手の足下を見ない

交渉や交渉力って、コロケーション的に「勝ち負け」という言葉がセットになりますよね。でも、継続してビジネスをしていく相手なら、交渉の結果は「勝ち & 勝ち」じゃないとダメです。じゃないと続かないから(一回限りのビジネスなら話は別ですけど)。そのためには、相手の足下を見ないことが大事だと思います。「どうしても明日の朝までにこの翻訳が欲しい!」と言われたら、自分の手持ちの仕事やプライベートの都合を鑑みて、いつも通りの特急料金(私の場合~50%アップ)を上乗せして機械的に交渉をします。私以外に翻訳するorできる人がいないことが分かっていても、そこで法外な値段をふっかけてはいけません。次回以降のビジネスがなくなってしまうかもしれないので。でも相手がこちらの条件をのめない場合はすぐに交渉を降ります。交渉をしている時間や労力も、私にとってはコストです。粘り強い交渉をするより、合意に至らなければすぐに諦めて好きなことをしていた方がいいでしょう。

失敗した交渉について反省しすぎない

交渉が通らなかった場合は、宝くじが外れたと思って忘れます。反省会を開いても、何が原因かは特定しにくいと思います。とっとと諦めて好きなことをしていた方がいいでしょう。
ただし、決裂した交渉の条件や状況については頭の片隅に残るので、ひとつのベンチマークになります。どういう状況で、どんな系の企業が、どういうコンテンツで、どんな条件が通った or 通らなかった、というデータがたまります。頭の中にこうしたベンチマークが増えてくると、交渉条件を出すときの目安になるはずです。あ、そうそう、交渉の数値は成功したベンチマークより少し高めがお勧めです。

データ、データ、データ

交渉にもいろいろあって、交渉している相手に決定権がある場合とない場合があります。肌感覚的に、たぶん決定権がない場合の方が多い気がします。つまり、上司みたいな人にお伺いを立てて最終決定するみたいなパターンです。どちらの場合にもも言えますが、特に上司にお伺いのパターンでは、交渉材料として数値データがあると心強いと思います。

このドキュメントはXXワードあるけど、最初のYYパーセントを見たところ、10件のAccuracyエラーがあって、そこから推測するに……みたいな伝え方をするとか。
最初の50ファイルを調べてみたが、そのうちXX件はこんな処理が必要で、YY件はあんな処理が必要で、それぞれ最低でも○分と×分がかかるので……とか。
カテゴライズして、平均を取って、割合を出して、予測するような形のプレゼンテーションがよいと思います。

上司にお伺いを立てるときに、データがあるのとないのではきっと大違い。テキストファイルや正規表現が扱えるとこの手のデータをちゃちゃっと出せるようになります。

元気があれば何でもできる、信頼があれば何でもできる

先ほどのデータも大事ですが、もっと大事なのはたぶん信頼。たとえば、私はバカみたいに高額な Adobe Creative Cloud 全部入りライセンスのサブスク契約をしています。産業系の翻訳者で契約している人はほぼいないでしょう(漫画系、ゲーム系、デザイン系、アート系ならいる)。このおかげで、InDesignなどのAdobe系のファイルを扱うことができます。言語的なレビューだけでなく、LSO的な観点からもミスを指摘したり、より良くなるアドバイスをしたりできます。クライアントから依頼があったわけではないけれども、結果的にレビューのスピードと品質が上がるので私は自主的に導入しています。LSO的な観点で指摘できると、めちゃ喜ばれます。「フツーそんなところまで気付く?」って感じで。そうすると信頼がドドンとアップします。そこに来て、上で書いたデータを添えたリクエストや交渉が来ると、「あぁ、ジャーニー君が言うならそうなのね」っていう流れになります。もちろん、足下を見るような適当なことは書いていませんし、そういう交渉はしません。単に、自分が納得してできる仕事の価格を提示するだけです。

交渉は強い弱いではない

ということでまとめ。交渉力とは何かというタイトルで書き始めましたが、私にはめっぽう分かりません。ひとつ言えることは、交渉は「強い弱い」ではないと思います。今日書いた内容をまとめてみました。こちらです。

  • 相手に信頼してもらうことが大事

  • 客観的なデータを出すことでスムーズに

  • 相手の足下を見てはいけない(継続ビジネスは安定収益なり)

  • とはいえ、納得できないことはしない(精神衛生だいじ)

  • 決裂した交渉について反省会をしない

  • でも過去の条件はなんとなく覚えて次に生かして(成功数値より高めに)

それでは皆さん、よい翻訳ライフを。

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