翻訳ジャーニー[プロ翻訳者を目指す方を全力応援!]

実務翻訳者・翻訳エージェント・翻訳講師。産業字幕、広告、マーケ、IT、ファッション、人…

翻訳ジャーニー[プロ翻訳者を目指す方を全力応援!]

実務翻訳者・翻訳エージェント・翻訳講師。産業字幕、広告、マーケ、IT、ファッション、人事などなどを20年ほどやっています。#Udemy(ユーデミー)やストアカで翻訳講座を開催中。YouTubeで翻訳者の日常&仕事術を話しています。

マガジン

最近の記事

その時給は妥当?1時間あたりのレビュー量と実際の作業負荷&品質について

グッモーニン!翻訳ジャーニーです。 大前提この記事は、ITやマーケなどの分野でレビュー&LQAをしてきた私の経験に基づいています。クライアント、翻訳会社、分野が違えば大きく変わってくるのは当然です。そのあたりをご理解いただける方はこれ以降をお読みください。 ※なお、以下のスループットに差分の作成やフィードバックの時間は入っていません。ファイルのダウンロード&アップロード、納品の連絡、ポータルでの操作など、logisticalな作業負荷は入っています。 レビュー/LQAの

    • 翻訳とチェックとミスの種類とワイシャツと私。

      最近、ツイッターランドで翻訳とチェックの話が盛り上がっていたので、思い付くことを書きたいと思います。 前提: 私とチェックのお仕事について私の仕事はほとんどが翻訳のチェックです。金額ベースで一番多いのがLQAだと思います。1人目が翻訳者 -> 2人目がチェッカー(レビュアーなど名前はいろいろ) を経て、3人目のLQA担当者(私)にたどり着くという工程です。LQAの仕事の多くがアンカーです。つまり、私の手を離れた訳文がそのまま公開されることになります。重要度が高い内容だと、私

      • 交渉力とは何か(ネタバレ -> 記事本文中に答えはありません)

        こんばんは。翻訳ジャーニーです。 私は自分のことを「交渉に強い」とは認識していません。まぁ、特に弱いとも思っていませんけど。しかし周囲の人からは交渉力を褒められることがあります。 過去に途上国を中心に40~50か国くらいを旅して現地でのんびり過ごしていた経験や、20年ほど自営業で生きてきた経験もあるので、なんか思い付くままに書いてみます。 (念のため書いておきますが、日本以外のほとんどの国では何に付けても交渉交渉です。特に途上国ではその傾向が強いのです。) 納得できない

        • 担当アカウントにMTが導入されたときのこと

          こんにちは/こんばんは ふと思い立ったので書きます。けっこう前のことですが、チームリードとレビューを担当しているアカウントで、一部がMT(PE)になるという連絡を受けました。 そのアカウントでは、マーケティング翻訳、字幕、システムUI、プレスリリース、操作手順など、さまざまな仕事があります。そのなかで、ヘルプ記事だけをMTに置き替えることになりました。人間的な翻訳力が求められない dry なコンテンツだからというのが理由だそうです。 蓋を開けてみると、大変でした。 手

        その時給は妥当?1時間あたりのレビュー量と実際の作業負荷&品質について

        マガジン

        • 翻訳にまつわる小技
          12本
        • タイポ撲滅委員会
          5本
        • 産業字幕翻訳
          3本
        • Subtitle Edit マガジン
          4本

        記事

          いとしさと、正しさと、多数決と、心強さと。

          こんにちは あるいは こんばんは。 翻訳ジャーニーです。(※画像が上手く処理できず、投稿を再アップしました。いいね!してくださった方すみません) 突然ですが、ある言い回しが「正しい」かどうかって、難しいですよね。今日はそんなお話を書きたいと思います。 「おかげ」で悪いことが起きるか問題産業字幕翻訳をレビューしていたときのことです。 上記のような訳文に遭遇しました。[1]と[2]は、それぞれ別のハコです。ハコというのは、画面に一度に表示されるテキストのかたまりのことです。

          いとしさと、正しさと、多数決と、心強さと。

          レターパックで「干しイモ送れ」はすべて詐欺

          2023年の4月1日、レターパックが届いた。 差出人は実母。中身についてはこう書かれている、「干しイモ」と。 母からは時々ではあるが郵便物が届く。たいていは、何かしらのイベントごとがある場合だけだ。母から見て孫の誕生日であるとか、何かの記念日的な日であれば郵便物が届いても不思議ではない。 しかし今回は、取り立ててそのようなイベントはない。少しふくらんだレターパックを裏返しにして、封を開けようとすると目に入ってくる文字がある。 その日は特にイベントごともない、ただの4月1

          レターパックで「干しイモ送れ」はすべて詐欺

          原文テキスト 先に読むか、訳しながら 読むか問題

          こんにちは、あるいはこんばんは。ここ数日、Twitter界隈で翻訳者たちが面白い議論を交わしています。その議論とは、原文を(たとえざっとでも)最後まで読んでから翻訳し始めるか、原文を通読していない状態で翻訳を始めるか、というものです。 結論から言えば、正解や王道というものなどなく、個人の好みや分野の違いなどが大きいようです。しかしここには、後半の「翻訳者は何者にもなる」で解説している通り、面白い事実が隠れていたのです。 順を追って話します私の知る限り、きっかけは越前さんの

          原文テキスト 先に読むか、訳しながら 読むか問題

          ネイティブであるといふこと その2(半ケツの定義)

          あらかじめお断りしておくが、お下品な話ではない。 子どもは産まれた瞬間(あるいは胎児の頃から)周囲からの言葉を浴びて育つ。それは単に無機質な音としての言葉ではなく、意味と意図のあるコミュニケーションとしての言葉だ。ネイティブというのは、その言葉のシャワーをふんだんに浴びて、言葉がたんと張られたバスタブに飛び込んで、長い時間をかけてバタバタ泳いでネイティブに育つのだと思う。 今日はシリーズ2回目として、半ケツのエピソードを紹介したい。 何歳の頃かは忘れたが、それは我が家の

          ネイティブであるといふこと その2(半ケツの定義)

          MTPE力の進化は翻訳力の退化か ~CATツールの導入とMTPEの台頭を振り返って~

          こんにちは!翻訳ジャーニーです。 私はほとんどMTPEについて書かないんですが、ふと思ったことがあるので筆を執る(キーボードをたたく)ことにしました。思いつくまま書いていますので、まとまりに欠けることを先にお詫びします。 #1 CATツールの登場と弊害超ベテランの方の中には特に、CATツールを使わないという方がいらっしゃいます。TMによる値下げがいやだという理由だったり、文脈が読めないので翻訳しにくいという理由だったり、あるいはそれ以外にもあるかもしれませんけれども。

          MTPE力の進化は翻訳力の退化か ~CATツールの導入とMTPEの台頭を振り返って~

          フリーランス翻訳者として単価アップを依頼したときのたいけん談

          以下、私の経験をお話しします。参考までに。 (#JTF31fes 翻訳祭の「この3人だから話せる!第2段 激変する翻訳環境に振り回されないために知っておくべきこと」を視聴して、私もなんか書いてみようと思いました。 この記事のターゲット読者: 翻訳を始めて4~5年以上で仕事が普通に埋まっている人、かつ単価交渉に興味がある人。 以前に、翻訳会社に挨拶に行って、そのまま単価アップの交渉(お願い)に持ち込んだことがあります。その時の様子をお話しします。真似をしてね、と言うことでは

          フリーランス翻訳者として単価アップを依頼したときのたいけん談

          100%マッチが支払い対象外なら非表示にしないと とてもじゃないけどおもしろ可笑しくってよ?

          こんなツイートに遭遇して首がもげました。 これ、これすぎる。いいですか、よく聞いてください。まずは次の前提でお話ししますよ。 一定以上の規模のクライアント、仕事量もそこそこ さまざまな立場で多くのリンギストが仕事に関わる ICEマッチは支払い対象外でロック済み 100%マッチは支払い対象外(ロックされていたり、されていなかったり) この状況なら、100%マッチは係数0.1でもいいので支払い対象にするべきなんです。支払い対象外にするなら、せめて翻訳対象ファイルから消

          100%マッチが支払い対象外なら非表示にしないと とてもじゃないけどおもしろ可笑しくってよ?

          ビジネス感覚は大事だけれど……コスト意識と翻訳と単価とレビューの話

          以前に何度か、レビュアーの立場として翻訳者さんに「このくらいの品質でお願いしたい(ほんとはもっと詳しく言っている)」と伝えたら「ペイしないので、現状のままでやらせてください(大意)」と言われたことがありました。 驚きすぎてなんと返答したか具体的には覚えていませんが、あまり気の利いたことは言えなかった気がします。このあたりのことを頭の整理もかねて書いてみたいと思います。 フリーランス翻訳者としてのコスト感覚は大事単価から希望する時給を割り出して、それを(トータルで)下回らな

          ビジネス感覚は大事だけれど……コスト意識と翻訳と単価とレビューの話

          コロナと妊婦ときょうだいとホテル療養のお話

          この記事は、父と妊婦である母、そしてきょうだい2人の合計4人家族がコロナと戦った記録です。誰かの参考になれば。ちなみに、普段は翻訳に関する記事を書いています。 #1 発熱から検査まで寒気 8/9 日の午前、父である私は字幕翻訳講座をやっていた。なにやら足首に寒気がしたのを覚えている。11:30頃に授業を終えて体温を測ると、タニタの30秒計は37.2度を示した。普段は妻と一緒に昼食を取るのだが、その日は念のため別々の部屋で食べることにした。午後2時からも同じ字幕の授業があり

          コロナと妊婦ときょうだいとホテル療養のお話

          Xbenchのチェックリストでタイポをはじく方法

          Xbench 3.0で説明します。Viewメニューから「Checklist Manager」を選択します。 白い画面の上を右クリックして「New」を選びます。 新規登録の画面が表示されます。最低限、Name と Target が入っていればOKです。下の例では「エクスベリエンス」というタイポを登録しています。 以上です。 これで、Xbenchを使って訳文をチェックした際に、訳文内に「エクスベリエンス」があれば指摘されます。

          Xbenchのチェックリストでタイポをはじく方法

          「カタカナ/ひらがな」をEnterキーにする方法

          ChangeKey を導入します。 非常駐型でキーの割り当てを変更するソフトです。 インストール不要です。ダウンロードして解凍したら、exe ファイルを管理者として実行してください。 表示された最初のキーボード(背景が緑)で「カタカナ/ひらがな」のキーを押します。背景が紫のキーボードが表示されます。そこで、「Enter」キーを押してください。 ChangeKey以外のアプリケーションをすべて閉じてください。 ChangeKeyの「登録」メニューを押して「現在の設定内容

          「カタカナ/ひらがな」をEnterキーにする方法

          CapsLockキーに引導を渡してF13キーを導入する

          修飾キー(modifier keys)という言葉を聞いたことがありますか? この名前を聞いたことがない人でも、「Ctrl、Shift、Alt、Winなど、ショートカットを使うときに押すキー」と言えばすぐにわかるでしょう(Windowsの場合のキーです)。 今回は新たに「自作の修飾キー」を作るというお話をしたいと思います。そんなことできるの?と思ったあなた、できるんです!😎 自作の修飾キーを作る過程で、既存のキーの中でも、1)押しやすい位置にあり、2)あまり使われていない

          CapsLockキーに引導を渡してF13キーを導入する