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著…水野敬也『運命の恋をかなえるスタンダール』

 昔、「おなべの中からボワッと!」なんて歌う曲が大ヒットしましたよね?

 この小説の場合は、スタンダールの本『恋愛論』の中からヌーッと!

 なんとスタンダールがわき出てきます!

 主人公は、聡子という名前の女性。

 スタンダールは聡子について、

 「女としての魅力は下り坂を転がり落ちている」

 「恋愛文学が好きなくせに男性から逃げ隠れしている臆病者」

 と超上から目線で批評を始めます。

 そのあまりの言いように、聡子は「でも、スタンダールって女の人に全然モテませんでしたよね?」と反撃。

 しかしスタンダールはめげずに「優れたプレイヤーが必ずしも優れたマネージャーになれるわけではない」と畳み掛けます。

 そのうち、なんとスタンダールは聡子のマネージャーに就任!

 スタンダールは聡子に「バルサミ子」とあだ名を付けました。

 なんというネーミングセンス…。

 名付けの理由は、「お前という赤ワインは誰にも飲んでもらえずに酸っぱいバルサミコのようになったから」という、これまた失礼な理由!

 しかし、スタンダールの聡子への助言(お説教とも言う)はいちいち的を射ています。

 「バルサミ子よ」と呼びかけながら、聡子が「結晶作用」の考え方を理解出来るよう刺激を与え、ヘアメイクやファッションを大幅にイメージチェンジ出来るようオネエ言葉まで駆使して徹底指導。

 この心強いスタンダールの正体を、是非この小説を読んで確かめてください。

 最後まで読むと、ああそうだったのか…と心が震えます。

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