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歌舞伎座裏で素敵なとんかつ店を訪れる〜「にし邑」の絶妙な豚汁

東銀座の歌舞伎座周辺、江戸時代の町名で言うと木挽町界隈には、美味しい店、美味しいであろう店が多数並ぶ。同じ銀座でも、昭和通りを挟んで歌舞伎座側は、なんとなくリーズナブルな気もする。

昨日書いた幕見の前に、腹ごなし。さてどの店を訪れようか。

インバウンド観光客も含めて、行列をなしている店もいくつかある。極めつけは「花山うどん」で、とんでもない行列ができている。なお、日本橋店を訪れる羽目になり、大変な思いをしたことについては、昨年末簡単に記した。

オムライスが有名な「YOU」、隣の「イマカツ」も入店待ち数名が路上にいる。私が選んだのはとんかつの「にし邑」。「もしかして行列かも?」と恐れたが、開店直後の11時過ぎということもあり4番目の客だった。

普通の町中のとんかつ店という佇まいがよい。こういうのがホッとする。店内の空気、店員さん達の様子も、雑な表現で申し訳ないが、“銀座“ではなくどこにでもある店内の雰囲気なのである。

新規開拓なので、やはりとんかつかと思ったのだが、「カキミックスかつ膳」(1400円)に惹かれ、思わず注文してしまう。

待つ間にカウンター内をながめていいたのだが、嬉しいのが大きなおひつ。大型の炊飯器で炊けたご飯を、おひつの中に投入。湯気がたち、おひつがご飯を包み込む。この光景だけで、十二分の前菜になる。

ほどなくお膳が登場。岩塩のソルトミル、テーブルにはキャベツ用にドレッシングも用意されているのが嬉しい。

カキフライ用にタルタルソースが添えられているので、これで食すと、ミルキーな牡蠣の味が広がる。ご飯はもちろん美味い! 円盤型のエビカツはプリプリ。チリソース的なものが添えられているが、塩で食す。カツは小ぶりで控えめ、これも塩が旨い。

そして特筆すべきは豚汁。酒粕が入った豚汁は、他では味わったことのない深みのある味。後でネットで検索すると、「dancyu」の記事が掲載されていた。二代目店主が、こう語っていた。

<「父が会社員だった頃、おかずはおいしいのにご飯や味噌汁が残念だなと思う定食が多かったそうで、“この二つが旨ければお客さんは来てくれる”と一念発起して始めたのがこの店」と、二代目で夜営業を担当する西村真一さん。「だからうちの店の主役はご飯と豚汁。とんかつは副菜なんですよ」。>

“とんかつは副菜“は謙遜だが、まさしく“ご飯と豚汁“だけでも満足できる店だ。しかも、値段を記載したが、銀座という土地、そしてクオリティから考えると本当に良心的な値段である。私が退店する11時半頃には、これまた“普通のランチ客“で満席となっていた。

今度はとんかつをしっかり食べよう。夜、ここで一杯呑むのもよいかもしれない。

木挽町で、また1軒、“美味しい店“を発見した


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