見出し画像

感動の茶番「感動を与えたい」

夕方のラジオは、youtubeで飛躍した音楽家が
MCを務めていた

「皆さんに感動を与えられる曲を作りたい」

何目線で言っているのだろう
他人のために頑張る
音楽は自分が好きで始めたんじゃないの
感動する・しないは、こちらの自由

他人がオリンピックや試合で優勝する
ファンでもないので
そこから勇気や感動をもらわない
「結果が出せて、おめでとう」ぐらいかな

遠い人のことだもん
noteの創作大賞やコンテストで入賞した
この数年、一緒にnoteで過ごした仲間じゃない

わたしは捻くれているので
作られた感動は苦手で
「ほら、泣いてください」とばかりの映画の予告

感動ポイントが透けて見えると
「フラグが来た」シラけてしまう
演出が説明しすぎて、予想通りの展開
「はい、結婚するんですね」
「やっぱり死んだか」

予想通りが好きな人には良い
しかし読解力と理解力のある人には、退屈で
「作家はどんな人生経験や想像力なのか」
疑ってしまう

人気マンガ『進撃の巨人』完結編の最後
「エレン(主人公)だ!」ハッとするから感動であり
ミカサ(ヒロイン)が
繕うようなセリフが入っていたら
台無しになっていたと思う


不調の野球選手に戦力外通告が出る
夫を献身的に支える妻のテレビ番組も苦手
「ここで泣いて」聞こえてきそう

美談で丸め込み、本質を隠し
批判しづらい雰囲気の感動を演出
夏、恒例の障害者番組も
同じ障害で様々な事情の人が、障害の数だけいる
障害を持つ人は、それで心が動くのか

感動するのは、見る側に決めさせてほしい

そう思うのは、ずっと動画で追っている
旭山動物園のライオン、オリトファミリーを観て
泣いている自分がいるからかもしれない

ライオンのオリトファミリーは
父ライオンのオリト、母ライオンのイオ
オリトとイオの子、2歳の3姉妹
レイ、イト、フウから成る家族だ

今年11月
3姉妹のイトだけが家族から離され
円山動物園へ引っ越しとなった
ひとりぼっちになったイト

一方で、旭山動物園の母ライオン・イオは
イトを探し回っている
鉄板の向こう側にイトが居るのではないか
イオは必死で鉄板を引っ掻く
娘のフウが何度も、イオの背中に手をやる

淡々と事実だけが放送されていき
BGMくらいで余計な演出など、そこにはない

「感動を与えたい」
このセリフだけで、わたしとは人種が違う
はいはい、感受性、感受性
鼻白む気持ちで離れたくなる

体育祭や合唱コンクールで
「ちゃんとやりなさいよ」「皆で一丸となって」
自分達だけがノリに乗って
他人まで巻き込み、熱くなっているような

楽しんでやっている分には文句はない

しかし、偽善丸出し「みんな、感動してね」
動画再生回数や金儲け目的じゃない
「感動を与えたい」など言ううちは
美談前提の、感動の茶番しか作れない