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残るものは、野放図な爽快さ

また振り出しに戻り、note開始
リフォームした部屋に住むみたいなものかな

住むといえば
初めてのひとり暮らしは
ファミリー層が多いアパートだった

4月の暖かさで窓を開けると、下階から
子どもの甲高い声や、遠慮なく広がるテレビの音
玉ねぎを炒めた匂いが窓際に留まる

初めての町は、地理が分からないので
目印になるものを覚え、スーパーを探す
スマホがない時代は、探索して道を記憶した

引っ越し初日に作ったものは、関西風のお好み焼き

表面は焦げて、中は生焼け
青臭いもやしが口内を占領し
とんかつソースをたっぷりかけて、味を誤魔化す
その後の人生を物語るような出来合いだった

何もかもが、昨日と違う
誰かがやってくれることを自力で行う
帰宅しても暗いだけの部屋に返事はない
レースのカーテンから見える灯りが目に入る
「あそこには、まだ人が仕事している」

昨日までは、隣家の窓と屋根が並んだ光景が
今日からは、雑居ビルやお店が凸凹に佇む
わたしの細胞は一日分しか入れ替わりがないのに
田舎のネズミが、気分は垢抜けしたネズミになって
湧いてくる優越感と好奇心で満タンだった

今までこうして自分を構築してきたのだから
何も心配は要らない

noteの町、交差点をスキップしたって
転瞬で振り向かれ、一瞬で忘れられ
残るものは、野放図な爽快さ